2004.01.21.wed








その日、仕事が終わって6時半に一旦帰宅し、友人と買い物に行くために7時過ぎに外出した。
買い物と軽く食事をして帰宅したのが9時を少し回ったところ。

鍵を差し込んでドアを引くとガチャーン!と内側からドアチェーンがかかっていた。「何・・・これ?どうして・・・?」混乱しつつも『・・・(元)彼?』とブツブツ言いながら真っ暗な室内に手を差し入れ、冷たいチェ-ンに触れた瞬間、バクッ!と心臓が高鳴った。『・・・いや、鍵は返してもらってる!』『仮に居たところで、真っ暗な中で、ましてチェーンなんかする人じゃない・・・』
すぐにドアを閉め、ベランダ側に回って見る。二面あるベランダの窓のうち、和室側の窓が暗い口を開け放し、薄いレースのカーテンがひらひらとはためいていた。

やられた!入られた・・・!

急いで車に戻り携帯で110番。警官の到着までの15分間が恐ろしく長く感じた。
我が家はマンションの一階角部屋で、その日はたまたまシーツを洗って干していた。出かける前に取り込まなきゃ・・・と思いつつ、時間に急かされすっかり忘れて干しっぱなしで出てしまっていた。それが侵入に容易な死角を作ってしまったのだ。

あの時こうしてれば・・・なんでちゃんとやらなかったのだろう・・・後悔が後から後からこみ上げる。でも、もしまだ室内に居たら?駐車場はベランダ側にある。あそこのカーテンの向こうから賊が出てきたら?どうしよう。窓のロックを確かめ、車内に武器代わりになりそうなものを探して(何もなかったのだが)、携帯を握り締めて息を潜めていた。

程なく数本の懐中電灯の明かりが近づいてきて・・・警察だ。車を飛び出した私を一人の警官が制して、別の3人の警官がベランダの手すりを乗り越え、室内に入る。「明かりをつけろ!早く!」「室内確認」「容疑者なし。逃亡の模様」
程なくして、呼ばれるまま室内に入った私の目に飛び込んできた光景。

扉と言う扉は開け放たれ、荷物が散乱している。フローリングの床には足跡。リビングに移ると、ダイニングテーブルの上には、印鑑を入れていた引き出しがひっくり返され、ビリビリに破かれた祝儀袋と何かのために取っておいた現金入りの札入れが無造作に捨ててあった。棚の上の日常使いの宝石を入れたジュエリーボックスも、扉と引き出しを全部開けられ、エメラルドやダイヤなどの石と、真珠の付いた宝飾品は全て無くなっていた。義母から頂いた水晶の念数珠まで持ち去られた。

急を聞いて駆けつけた彼に肩を抱かれたまま、私は悔しさのあまり泣いてしまった。
盗られた物も勿論だが、窓を割られ、他人に土足で室内を歩かれ物色され、グチャグチャになった現場の状況の方がショックだった。




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