小市民の一日

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2006年08月25日
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カテゴリ: 雑感

 最近とんと騒がれなくなりましたが,「昭和天皇メモ騒動」はまだまだ記憶に新しいことでしょう。

 以前,富田氏のメモの利用の仕方について批判をしましたが,今日は別の観点から富田氏に欠けていたものを指摘してみたいと思います。

 同内容の指摘は既に各所でなされていると思いますが,何度指摘しても指摘しすぎるということはないでしょうし(それだけ責任が重い),ちょっとこれに関連して面白い記事を見つけたのでそれを紹介する意味も込めて,屋上屋を重ねる愚を犯す危険を顧みず書いている次第です。

 さて,富田氏に欠けていたものを指摘するにあたり,次の記事をご紹介します。シラク大統領の報道官を9年間勤めたカトリーヌ・コロナ氏の話です。

 彼女はフランス大統領選において,シラク氏の対抗馬であるジョスパン氏に投票するなど,個人的にはシラク大統領と考え方に相違がありました。実際彼女自身も「ハートはどちらかといえば左」と述べています。

 そのコロナ氏が報道官を辞めたときどうしたのか,以下がそのエピソードです。

=============

報道官時代のメモはすべて破棄 。「 私が仕えたのは国家 。それを個人的な目的に使うのは正しくない」と述べ,回想録の類を書くつもりもないそうだ。

 以上,「エリゼ宮物語」61 産経新聞 平成18年8月23日(水) 13面(執筆は同紙パリ市局長,山崎昌子氏)。

=============

 実に立派な職業意識ではないでしょうか。意見の相違にもかかわらずシラク大統領が重用しただけのことはあります。シラク氏には人を見る目があったというべきかもしれません。

 翻って,我が国の宮内庁長官の富田氏はどうでしょうか。

 天皇の発言はそれが大変な重みを持っているということは富田氏のようなエリートならば当然理解できたはず。その天皇に近い職業にいたものとしては,天皇の発言(内容の如何に関わらず)が外に出ることは望ましいことではないと容易に判断できたでしょう。

 そうであるならば,自分が宮内庁長官を辞めたときにコロナ氏がしたように彼はメモを燃やすべきではなかったのではないでしょうか。仮にやめるときは回顧録を書くつもりであったので残しておいた,というのならば,少なくとも回顧録を書くのを断念した時点,あるいはもう先が長くはなく,回顧録を書くことが物理的に不可能になった時点で焼却すべきではなかったでしょうか。それが宮内庁に勤めたものとしての職業倫理というものでしょう。

 富田氏は遺言で彼のメモは死後すべて焼却するようにと指示していたということですが,必ずしも遺族が故人の遺志に従うとは限らない以上,富田氏には少なくとも職業人として重大な過失があったといわざるを得ないと思います。

 何もコロナ氏のような国家に仕えたという意識までもてとはいいません。どうせ一部から「不健全なナショナリズム」だのなんだのとお決まりのセリフを聞く羽目になるでしょうから。

 しかしコロナ氏がもっていたよりもはるかに少ない程度の職業倫理さえ富田氏に備わっておれば,今回の騒動のようにメモが外に出て一騒動起きる,ということはなかったはずです。 

 そう考えてくると,メモが流出した当時,関係者が各紙にいっていたとおり,富田氏が人柄では一流だったとしても,職業人としては三流であったといわざるを得ないと思います。






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最終更新日  2006年08月25日 09時01分14秒
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Re:富田氏に欠けていたもの(08/25)  
aki   さん
コロナ氏、立派ですね・・・

(2006年08月25日 09時03分20秒)

Re:富田氏に欠けていたもの(08/25)  
はなびら  さん
人間、そう有りたいものですね。 (2006年08月25日 13時10分56秒)

同感  
たいげろ  さん
このことで、天皇陛下をはじめとして皇族は、もう誰も信用できなくなりました。
この件に関しての処罰を含め、国家としての姿勢を明らかにしない限り、国体護持の危機は免れないと思います。
そろそろ皇室典範問題も再浮上するころですし、次期政権にはフンドシをしめなおして皇族を守る手立てを考えてもらいたいです。 (2006年08月25日 17時02分49秒)

富田氏に欠けていたもの  
japa-n  さん
 コロナ氏は職業人の鑑ですな。斯くありたいモノですね。
 翻って富田氏は・・・。
 やはり回顧録で一発当てる気だったのでしょうかね。
 -弐号- (2006年08月26日 02時46分45秒)

Re[1]:富田氏に欠けていたもの(08/25)  
ti2669  さん
aki さん
>コロナ氏、立派ですね・・・
-----

 自分の思想より職務に忠実であったということでしょうね。
(2006年08月26日 17時39分10秒)

Re[1]:富田氏に欠けていたもの(08/25)  
ti2669  さん
はなびらさん
>人間、そう有りたいものですね。
-----

 ある職業に従事するもの全てに持っておいてもらいたい心構えですね。
(2006年08月26日 17時40分03秒)

Re:同感(08/25)  
ti2669  さん
たいげろさん
>このことで、天皇陛下をはじめとして皇族は、もう誰も信用できなくなりました。

 普通の生活でもいつ言葉を漏らされるかわからないような相手には腹蔵なく話などできないのですから,その言葉が国家を動かしてしまう皇族,まして天皇陛下ともなれば余計話をすることなどできないでしょうね。

>この件に関しての処罰を含め、国家としての姿勢を明らかにしない限り、国体護持の危機は免れないと思います。

 医師や弁護士と同じように守秘義務を設けるべきでしょうね。また今回のように家族が漏らすような事態も考えて一定範囲の家族にもこの義務を課すべきでしょう。
 そして,義務違反には刑罰で臨む。金に目のくらんだ現代人を押しとどめるにはこれくらい厳しい対処が必要でしょう。

>そろそろ皇室典範問題も再浮上するころですし、次期政権にはフンドシをしめなおして皇族を守る手立てを考えてもらいたいです。

 聞くところによると宮内庁はそれ固有の役人を持たないそうです。要するに,他の省庁からの出向の連中が多いそうです。
 そのようなサルノコシカケ状態では,今回のような事態が今後も続出しかねません。それゆえ,宮内庁がそれ固有の役人を登用するということが必要であると思います。 (2006年08月26日 17時46分59秒)

Re:富田氏に欠けていたもの(08/25)  
ti2669  さん
japa-nさん
> コロナ氏は職業人の鑑ですな。斯くありたいモノですね。
> 翻って富田氏は・・・。
> やはり回顧録で一発当てる気だったのでしょうかね。

 某氏は「こんなことをする奴はサイテーのやつなんだよ!」と激こうされておられましたが,自分も同感。
 スパイ防止法までの橋渡しもかねて,公務員の秘密漏示に関して厳しい刑罰をもって臨む公務員法の改正をしてはどうかなぁ,と思います。 (2006年08月26日 17時49分28秒)

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