ヒッパルコスの空

ビックリップ


2003年、「宇宙は全ての物理的構造がバラバラになってしまうビッグリップ (big rip)によって終焉する」という論文が Robert R. Caldwell、Marc Kamionkowski、Nevin N. Weinberg によって Physical Review Letters 誌に掲載された。
この仮説では宇宙定数が時間の増加関数になっているため、宇宙の膨張は通常のドジッター宇宙的加速膨張以上のペースで加速される。この強力な加速膨張により、宇宙膨張と切り離されて現在安定に存在している銀河や人間、バクテリア、砂粒に至るありとあらゆる物理的構造がいずれ素粒子にまでバラバラになってしまう。かくして宇宙は、永遠に加速しながらお互いから遠ざかる素粒子だけになってしまうと主張している。

しかし現在のところ、宇宙定数が時間の定数なのか、時間とともに変化するのかはまだ明らかになっていない。

宇宙の終焉
20世紀初めまで、宇宙に関する科学的描像の主流は「宇宙は永遠に変化をしないまま存在し続ける」というものであった。このような宇宙モデルは現在では定常宇宙論として知られている。しかし1920年代にハッブルが宇宙の膨張を発見したことで、宇宙の始まりと終わりが科学的研究の重要な対象となった。
宇宙の始まりはビッグバンと広く呼ばれている。宇宙の終焉に関する理論は大まかに三つのグループに分けられる。
終焉はない:
現在の観測結果にも関わらず、宇宙はかつて信じられていたように永遠のものである。

  • 定常宇宙論


  • 一時的事象として終焉を迎える:
    ビッグバンの前にはビッグクランチがあった。宇宙は将来再びビッグクランチを迎え、続くビッグバンで再び膨張する。このような振動が永遠に続く。
  • 振動宇宙論


  • 永久的な事象として終焉を迎える:
    宇宙自体に終焉はないが、宇宙内部の存在全てが一様な平衡状態に達して生命活動が維持不可能になる。
  • 宇宙の熱的死

  • ビッグリップ(Big Rip)

  • 宇宙の低温死 (Big Freeze / Big Chill / Cold Death)

  • ある時点で重力が宇宙膨張に打ち勝ち、宇宙は収縮に転じて一点に潰れる。
  • ビッグクランチ


  • 現代の理論は全て、宇宙論的推測を行うための共通の背景を与えている一般相対性理論を受け入れなくてはならない。上記の理論のほとんどは一般相対論の方程式の解であり、宇宙の平均密度や宇宙定数の値といったパラメータのみが異なっている。

    初めの二つのグループについては、宇宙の終焉そのものを否定している。これらの理論では、何らかの意味のある活動がこの宇宙で永遠に続き得るとされる。


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