傷だらけのドア



 揺れ動くこころの中で

 わけもわからず

 ドアに手をかけた。


 だけど

 開けることはできなかった。


 何度目だろう。

 そのドアに手をかけたのは。


 傷だらけのドア。


 乾ききっているそのドアには

 僕の言葉が書いてあるよ。

 読めない文字で書いてある。

 僕にしか読めない。


 子どものときに書いた言葉。

 『さようなら。』


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