難聴子供の頃 | 雫の音色

難聴　子供の頃

　　　　　　　　　　　　　　『難聴　子供の頃』

なんで雫は　難聴に生まれたんだろ？

うん　雫は三人姉妹の末っ子に生まれたの。
上のねえさん達は普通に　育ったんだけど何故か雫だけが　難聴になっちゃったんだ。

父親側の祖父が難聴で　母親側の祖母も難聴だったの。
その２人が　兄妹だったから。
だからね、うちはさ　両親がいとこ結婚だったの・・・

　だけどね　大学病院で調べてもらったら　遺伝は関係ないって・・・
でもね　雫の周りには　難聴のおじさんやおばさんが何人か居るんだ。いとこも１人　この子は殆んど聾なんだ。

何故か解らないけど　年が３０過ぎたら聞こえなくなってしまったんだよ。
みんな・・・

雫の場合は　ちょっと早かったみたいだ。

でもさ　これも考え様なんだと思うの　だってね　みんなもいずれは聞こえにくくなっていくかも知れないじゃない。
老人性難聴になってから　聞こえにくくなったら　誰ともお話できなくなるもん。

だけどさ　雫は早く聞こえなくなったけど　その代わりに手話を早く覚える事ができたんだ。
何にも無しで聞こえなくなるよりは　良いかなあー　なあーーんてね。
物は考え様なんだと思うんだ！！

でもね　ひとつ　母親に申し訳なかったなあって思う事があるの。

それはね、雫はいつも人に「なんできこえなくなったの？」って聞かれたら「たぶん遺伝だと思う」って言ってたんだ。
その言葉が　母親を傷つけてたって知らなかったんだけど。

病院で違うって言われたって言った時　ほっとしたような顔をしたんだ。
雫が難聴になったのは自分のせいだと思ってたみたい。

雫もさ　時々「上の姉さん達が　いいとこ全部持っていっちゃったから　雫にはカスしか残ってなかったんだ！！」なんてね　ふざけてるけどさ。

雫は　未熟児で生まれたらしい･･･
これってなんか　関係あるのかなあ？？

赤ちゃんの頃に　顔面神経麻痺にもなったらしい・・・
ないていても片方だけが　表情が無かったんだって。

昔の事だから　針に行って治したとか･････

雫はね　母親の話だと　小学校の１年２年辺りまでは　参観日に母親が行くといつも下向いて悪さしてるんだけど　先生に当てられたら　ちゃんと答えを言っていたって言うんだ。
だからその頃はまだ聞こえていたんだろうね。

ううーんとね　この前にいじめがあったっていったんだけど・・・

これについても少々お話を。
ひとつだけどうしても忘れられない思い出があるの。
それはね、お友達が無かった雫はね　転校生が来るのがうれしかったの。
何でかいうとね　新しく来た子ならお友達になってもらえるかも？？･･･って思ってたんだよ。
その子のお誕生日会にみんなと一緒に誘ってもらって　雫は凄く喜んだの。

で、プレゼントを用意して楽しみにしてたのね。
だけど　お誕生日会は中止になったとか言われて・・・・
でもさ　せっかくプレゼント用意したんだからと思って　その子の家に届けに行ったんだ。

そしたらね　みんなが集まってお誕生日会してたの。
凄くショックだった。

小学校６年にもなってたら　そこそこには感情も育ってるよ。
「なんで　嘘ついたの？」って聞いたら　クラスの女の子達が　「雫ちゃんと　仲良くしたら　クラスのみんなと遊んでもらえないよ！！」って言われたんだって。
そうなんだよね　その頃の雫は　お友達が１人も居なくてね・・・そう言うことだったんだよ。

その頃のいじめは　今みたいに陰湿じゃなくて
帰り道を待ち伏せされたりとか　殴るけるの暴力が常にあったの。
でも　逆さに目立ったとは思うけどね。

やかんのお湯を背中にかけられたときは　
さすがに父親が怒って　ガキ大将の家まで　怒鳴り込んでくれたよ。

それからは　そう言ういじめは少しは減っていった。
中学校は　学校が離れたし　良かったんだ。
でも　それが原因かはわからないけど　雫は男子が苦手になったの。

だから高校も地元じゃなくて　離れた私立の女子校に行ったんだ。
そこは女の園だったから　自由に伸び伸びと　高校生活が送れたよ。

雫の中では一番楽しかった時期だなあ。

そのときに一番最初にお友達になった子は　今でもズウーーと続いているよ。
毎日のように　ネットでメール交換してるんだ。
関東の方に居るけど　ちっとも遠いって気がしないね。
お友達は確かに普通の人よりは少ないと思うけど　数は少なくても　中身で勝負！！なんだよ。雫は！！

ちょっと暗い話になっちゃったけど　こんな風に聞こえない事によって　偉そうにしてるとか　誤解されちゃうんだよね。
無視してるんじゃなくて聞こえなくて知らなかっただけなのに誤解されたりすることもあるんだ。
もしさ　あなたの周りで　何回　言っても返事の無い人は　もしかしたら耳の不自由な人かも知れないね。

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