息子の入学式の出来事

これは 平成7年のミニ講演の時にお話した内容です。
『 息子の入学式の出来事 』

おはようございます。
私は皆さんは 知っておられると思いますが、中途失聴者です。
大人になってから耳が聞こえなくなって来ました。今でも、年々検査ごとに聞こえなくなっているのがわかります。

大人になってからの失聴ですので、話す声 話し方は 健聴の皆さんと同じです。
でも 話せるけれどきこえない。
 だから 私は学校の懇談会や講演会の時は サークルの方たちに 手話通訳をお願いしている訳です。

そして、私の場合、まだ残聴能力といって 補聴器があれば聞く力も少しは残っているので、ループと通訳の2つあわせてお話を聞いています。

先日は、K先生の講演でループを使っていただき ありがとうございました。
ここのサークルでは 初めての経験だったそうで 色々ご迷惑をおかけいたしましたが、私としてはとても嬉しかったです。
 又、機会があればよろしくお願い致します。

そのループと手話通訳ですが、先日 こんな事がありました。

市の福祉課の担当N氏は 現在 通訳も兼ねて仕事をしています。
サークルのメンバーの中には手話通訳奉仕員の資格を持った人もいるのですが、みんなお仕事を持っている方が殆んどなので、平日の昼間の通訳がなかなかできません。
 今まではまだ 聞こうと思えば 補聴器で少なからずとも聞く事が出来る、後で 友達に「なんやった?」って 教えてもらえる。
だから 通訳の必要な 聾唖の方が優先!!と思って 少し控えてきました。

 でも今年、私の息子が高校に入学しました。
今まで、小・中と上がって来たので、私の聞こえを助けてくれる友達が何人かいました。
しかし、今回 息子の学校は 市外にあり、今まで、お願いしていたN氏は 市に関する通訳なので 市外にある 学校からは通訳の依頼が出来ないのです。

 それに今まで、助けてもらっていた友達の子供たちもそれぞれの高校に行ってしまったので、私を 助けてくれる友達も無く 一人で入学式へ行かなくてはならなくなりました。
 たまたま サークルのMさんの息子さんが 2年生におられて 学校と私の間を取り持って頂いて、ループと手話通訳の依頼ができることになりました。
 学校としても初めての事で あちらこちらへと TELして教えてもらいながら用意をしていただ来ました。

入学式の当日。

「本当にだいじょうぶか?」 と心配する主人に
「大丈夫!! 今日は 通訳もループも付いてるし!!」といって 出かけたのですが・・・・

 式は10時からです。
早い目に行って 9時過ぎに受付を済ませて、先生の案内でループ席に着きました。

先ず、ループのテストから始めました。
 でも、「ん!?」 何にも聞こえてこないのです。
先生方も慌てて いろいろ調べて下さったのですが、原因がわかりません。
 誰か直しに来てくれるのかな? 通訳の人遅いなあ などと思いながら待っていました。

10時になり式が始まってしまいました。

中間で 先生が聞きに来て下さったので

「手話通訳の方は まだですか?」
「手話通訳は依頼していません。」

と書かれた紙が渡されました。
「・・・・・・」
もう 本当に ビックリしてしまいました。

結局、最後まで通訳なし!! ループなし!!
全くわからないまま 式は終わってしまいました。

その後、親にだけのお話がなされていましたがそれもわからないまま終わってしまいました。
 普通は それで終わりなのですが、息子の入った高校は 寮のある学校で、お昼から入寮式が残っていました。

それまでの間に、どうにかしなくっちゃ!!と思い 福祉課のN氏に相談しょうと思い
TELしました。

 ところが 実はこの日 N氏はお休みをとっていました。

次に、サークルの代表のコンさんにTEL!!
これも留守!!
もう 不安で 頭の中が メチャクチャ!! パニック!!

どうしょう・・・ どうしょう・・・・

と思っていたところへ 用事で来ていたMさんに バッタリ!!
もう うれしくて!!うれしくて Mさんに 飛びついてしまいました。
 Mさんに説明して とにかく一緒に行動をお願いしました。

先ず、何をしていいのかわからず、とにかく学校に必要なものを買いに行きました。
 でもなんかおかしい!!
そう 周りに他のお母さん方が 一人もいない・・・???

買い物終わって さあ どこへ行こう??

「先ずは 息子の教室へいこう!!」となって 行ってみると 教室の中には
お父さんお母さん方が みんな先生のお話を聞いているのです。

たぶん 先の親への話のときに説明があったのでしょう。
聞こえていなかったので その事を知らなかったのです。

で、 Mさんが 通訳をはじめてくれたのですが、5分も経たないうちに お話は終わってしまいました。

本当に 私は今日 何しにここへ来たんだろ・・・・・     つくづく思いました。

担任の先生に挨拶をすませて 昼食を食べている間に Mさんが もう一度
代表のコンさんに 連絡をとってくれました。
すぐに コンさんがとんで来てくれました。

午後からの 入寮の説明会は、通訳も付き 横に息子も一緒に座る事ができ 冗談を言いながら 楽しく説明を聞く事が出来ました。

なぜ?こんなことになったのか 不思議です。

学校の方も はじめての経験だったのと 運悪く お願いしていた先生が 学校を変わられて 新しい先生との連絡ミスになってしまったようでした。
 とにかく困りました。

先日、福祉課のN氏と一緒に 学校へ改めて 通訳の依頼などをお願いしてきました。

今回で つくづく思ったのは サークルのメンバーのありがたさでした。

面倒がらずに 当たり前のような顔をして 動き回ってくれたMさん、そして 外から帰って 疲れていたでしょうにホッとするまもなく来てくれたコンさん!!

 手話サークルに入っていて良かった!!
改めて思った入学式でした。


☆このときに助けてくれたお二人には 本当に 感謝しています。

                     平成14年6月20日 更新







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