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Drive Hoard
2頁 戦い
鍵 『そうだ、ここは・・・あの時の夢の』
目の前には以前、夢で見た混沌の世界が広がっていた。
相変わらず殺風景で薄暗い。
あたりを見渡すと例の2人がいた。あの時と同様、まったく動いていない。
そして、あの時と同じようにまた一陣の風が吹く。
風が合図のように2人は会話をはじめ、戦う。
まるでビデオを巻き戻したように同じセリフをいい、同じ戦い方をする。
鍵 『そうか、これは夢なんだ。街が黒いのに覆われたのも、黒い空間に吸い込まれたのも』
鍵 『・・小羽を・・・・助けれなかったのも・・・・全部』
俺は自分でも分かるくらい弱々しく言った。
だが、小羽が救えなかったのが夢だと思うと心の痛みが和らぐ。
すると、どこからともなく声が聞こえた。
女性 『お願い、闇から私達を助けて!!』
あの時の女性の声だ。あの時は母さんが起こしてくれた。
母によるといつも起こしてくれているのだが、俺は起きないらしい。
自分がなかなか起きないのは知っていたがそこまでとは思ってもいなかった。
起こすのに叩いたのはこの前が初めてだ。だが、アレで起きることを知った母はきっとまた叩くはず。
またしても時が止まったように2人の動きが止まる。もう何時間が経った?
一向に母さんが叩いた時の痛みが感じとれない。代わりに違和感を感じた。
2人の戦いを見る。戦いは再開していて、より激しくなってもう何がどうなっているのか理解不能なぐらい未知な力で戦っていた。
女性 『気になる? どうして2人があんな戦いができるのか、どうしてあなたがこんな夢を見るのか?』
鍵 『!!・・誰だ!』
なにもなかった空間が人型に歪んでいる。姿は見えない。
だが、声の主は確かにあの女性の声だ。夢の続きか?
女性 『答えが気になるのなら自分の道を歩んで。私は今のあなたは必要じゃない』
鍵 『何を言ってるんだ!お前は誰・・・』
薄暗い空間が目の前から消える。
女性 『・・・強くなって、・・・・・・』
消える瞬間、女性が何かをつぶやいた。
だがなんといったのかは聞こえなかった。
俺は寝てたのか?と意識が戻る。そして、目をあけた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
正直驚いた。夢ならまず最初に天井が見えるはずだ。もしくは壁か机。
目をあけて最初に見えたのは緑いっぱいの平野だった。
草や花がきれいで日太陽がまぶしかった。
少しの間、同じ体勢で自然を見つめる。
鍵 ((何がどうなってんだ?))
放心状態で何も受けいることができなかった。
すると、首筋に息がかかった。俺は顔を横に向ける。
鍵 『・・・はっ!?・・えっ、え、え?どうなってんだーーーー!!!』
俺は跳び跳ねるように急いで起きた。なぜかって?
隣に女性が寝ていたからだ。
最初は結衣かと思った。だが違うと言える。
なぜなら、髪の色が赤っぽく・・・変な服装、コスプレというのか?をしていたからだ。
だが、結衣に似ている。でも、あいつは染めてない。あいつは色が少し抜けた黒髪だ。
俺は否定を続けた。だが、俺は答えを知ってしまった。正直知らなかった方がよかったかもな・・・・
結衣 『ん、んーーー!よく寝たー。あれ?・・・もしかして鍵?』
声は結衣のそのものだった。知らなかった方がよかった。
だがその反面、結衣だと分かるとなぜこんな服装してるのか気になった。
鍵 『なあ結衣、だよな。何でそんな格好してんだ髪も』
結衣は少し驚いたような顔をした。そしてすぐ自分の服を見て、手鏡を取り出すと髪も見た。
驚いたような顔を浮かべている。
結衣 『どうして私まで!?何でこんな格好にこんな髪・・・でも似合うからいいわ!』
鍵 『いや、よくないだろう・・・・あれ?・・私・・「まで」?』
俺は結衣の言葉に疑問を抱いた。急いで自分の服を見る。変な服を着ていた。
結衣から手鏡を奪い顔を見る。結衣が文句を言っている。
無視。
驚いた。髪も服も何もかもが今までと違っていた。
結衣 『鍵の髪は多分
シエナ
って色ね。私は
オレンジレッド
より赤に近い色みたいね』
結衣は髪の正確な色を言った。当然といえば当然だ。
結衣は中学から美術部に入部しており、高校生となった今も続けている。
その実力は県のコンクールで金賞をもらえるほどだった。
結衣『ねえ、1つ訊きたい事があるんだけど』
結衣が急に話を持ち出す。だが、内容は容易に想像できる。
普通の人ならばこう思うはずだ。少なくとも俺はそう考えている。
鍵 『奇遇だな、実は俺も。』
俺たちはせーの、と息を合わせる。
2人同時に言った。
鍵、結衣 『ここはどこだ!!?』
大きな声で叫んだせいか、あたりに響く。
俺たちは同じことを考えてたみたいで、はもった。
結衣も俺と同じ神経の持ち主だったってことだ。
正直、結衣のことだから私が寝ている間何もしなかったでしょうねというと思った。
心で思っていたことだが一応謝っとこう、心の中で。
結衣 『もう一つ言いたいことがあるんだけど、寝ている間、私に何もしなかったでしょうね?』
前言撤回。
? 『・・・!!人の声だ!・・・あっちかな?』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2人であれこれ考えてみた。だが何も思いつかなかった。
しかたなく、俺と結衣はこれまでのことをまとめてみた。
今日は3人で買い物に出かけた。まず、あの変な本に書いてあった現象が起きる。
その後、結衣は気絶し俺が助ける。だが小羽を助けることができず、その後、俺も気絶。
何をどうまとめても自分の髪や服が変わったことが分からない。
結衣 『というか、まずここはどこよ』
服が変わったのにも驚いたが、都会ほどではないがある程度発達していた街からいきなり平野になったのだ。
どうして?
結衣 『いろんなことが1度に起こり過ぎよ。何がどうなってるのか分からないわ』
俺も結衣もパニック状態に陥った。せめてここがどこか分かれば助かるのだが・・・
? 『こ、ここは・・・「ディルス平野」だよ』
結衣の問いかけに何者かが応える。俺と結衣は急いで振り向く。
・・・だが人の姿は見当たらない。
? 『おーい下、下。こっちだよ』
下に視線を向けると赤ちゃんより小さい白い動物が浮いていた。
頭が少しでかく、尻尾には青い玉がついている。
耳も少し長く、小さい羽が生えている。
だが、その羽で飛んでいるのではなく自分の身体より大きい青の玉に乗って浮いている。
鍵 『え?・・・ど、動物がしゃべってる!?』
シルス『ボクはシルスって言うよ。あ、あのさ単刀直入に言うけどあいつ倒してくれない?』
あいつ、と指の指された方を見る。指はとても小さかった。
少しここから距離をおいたところに人影がある。
あいつ 『うぉぉぉぉおおおおおーーー!!』
鍵と結衣 『!!!』
マントをかぶり、右手に剣を持っている人型の骨がいた。背中にもう1つ剣をしょっている。
骨が出すとは思えない雄叫びを上げている。
いや、そもそも骨はしゃべらない、ならなぜ?
シルス 『どう倒せそう?ボクさっきからあいつに追われてるんだ。このままじゃ殺されちゃうよ・・・え?』
俺はシルスという謎の生き物を掴むと結衣と一緒に走る。
もちろん、骨もこちらに向かい走ってくる。ものすごい表情だ。
そもそも骨に表情なんてものが存在するのだろうか?
必死に現実逃避するが悲しいことに仕切れない。
しかたないのでどんなに現実離れしていようが受け入れることにした。
結衣と俺は体力には自信があった。と言うか無理にでも頑張らなくては殺されると思った。
骨は全速力でこちらに向かってきた。身体に似合わぬ早い足を持っているようだ。
歯がゆれ、カタカタと音が鳴っている。
俺たちも平野を走って逃げる。だが、一向に距離は縮まらない。
シルス 『あの、あいつは身体能力が優れていて、体力は計り知れないよ』
結衣 『そ、そういうことは早く言いなさいよ!!』
結衣は走りながらもシルスにきつく言う。
鍵の右手に持たれているシルスは耳をたるませ落ち込む。何気に愛らしい。
だが、今はそんなことを考えている場合ではなかった。
鍵 ((くそっ、体力が化け物なら、このままじゃこっちが先にばてる。それなら・・・))
俺は走っていた足を止めた。ざざーと足が草ですべる。
この音に結衣も走っていた足を止め振り向く。
結衣 『ちょっと、鍵何してんの追いつかれるわよ。』
鍵 『結衣!こいつを持ってそこの大きな岩の陰に隠れといて。今から俺があいつを何とかする』
ぽいっとシルスを投げる。結衣は見事にキャッチした。
そして俺は結衣を1回にらむ。
結衣は何かを言いたげにしたが岩陰に隠れた。シルスも隠れる。
骨 『うぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお』
ついに俺たちに追いついた骨は雄叫びを上げ立ち止まる。
右手に持った剣を1回たてに振り構える。
相手は剣を持っている、戦況的には武器を持っていない俺が不利だ。
しかもあいつの武器は剣なので油断すると殺される。
俺は一回大きく深呼吸をする。
ふぅ。
鍵 『来いよ、骨マント』
骨マントとはマントを着ている骨という意味だ。
挑発のつもりだ。
骨 『カタカタカタカタ』
骨は歯を震わせながら大地を思いきり蹴り上げ俺に突っ込んできた。
右上に構えた剣を左下に振る。
突っ込んで来るスピードも剣を振るスピードも早かった。
鍵 ((いける!))
そのスピードに反応できた俺は斬撃を後ろに跳び交わす。
ひゅっと一瞬だが刃が風を切る。
骨 『カタカタ』
骨もよけた俺に反応し、剣を完全には振らず途中で止める。
そのまま剣を俺のほうに向け突き攻撃をしてきた。
俺はその突き攻撃をなるべく最小限の動きで右に交わす。
鍵 『はっ』
そのまま間合いをつめ、骨の顔を殴る。
骨は左手で顔を抑え一歩下がる。
鍵 『うぉりゃ』
俺はそのまま続けてわき腹の部分の骨を蹴る。連続攻撃は成功した。
骨はダメージにより前かがみになる。隙ができた。
俺はその隙に背中にしょった剣を奪う。
骨 『うぉおおおお』
骨は肘うちをして俺を吹っ飛ばした。
まともにくらった俺はダメージを負ったが剣を奪うことに成功した。
剣で対抗できるといいのだが・・・
結衣 『す、すごいわ、鍵ってあんなにすごかったっけ?』
シルス 『すごいよ。あの人!!ソードキラー相手に素手であそこまで戦えるなんて』
結衣 『ソードキラーって言うのあいつ?なんなのあの化け物』
シルス 『何って魔物だよ、ソードキラーって言うんだ。』
鍵 ((外見はああでもなんとか対抗できるな))
シルスという謎の生物の言ったとうり、身体能力はすごかった。
それだけでなく1つ1つの動きが正確で見た目からは想像もできないほどの力の持ち主でもあった。
油断したら殺される、そう思った。
そもそも安全な所にいたはずなのになぜこんな生死を賭けた戦いをしなくてはならないのか。
考えことをしていた俺に骨が迫ってきた。
剣を振ってきたのでこちらも骨から奪った剣で対応する。
キン、キィン、カン、鉄と鉄とがぶつかり合い独特な高い音を出す。
しばらくの間激しい攻防が続いた。
骨はおそらく今、俺を殺す思いでいっぱいだろう。殺気が感じ取れた。
対する俺は攻撃を防いではいるが今、俺の身体は平野で骨と戦っているが心・・精神は違うところにあった。
鍵 ((こんな奴がいるところに小羽を一人にした・・・俺は・・俺は・・))
余計なことを考えていたせいか押されていた。
骨は渾身の一撃を放つ、俺も防いだはいいがあまりの剣撃にしりもちをついた。
終わりか、そんなことを思う。
結衣 『こらー、鍵ってば何とかするって見栄はったんだから何とかしなさいよ。』
岩陰に隠れていた結衣が岩から身体を出し大声で叫ぶ。
その言葉で我に返る。
鍵 『・・・そうだな・・なんとかしなきゃな』
鍵 ((そうだ、小羽だけじゃなく結衣も助けなきゃな))
骨 『うぉぉぉおおおおおおお!!』
気合と共に一撃を繰り出す。
鍵 『小羽を助けて、みんなで元の世界に戻んなきゃいけないんだ。こんなとこでーー!!』
俺は攻撃を交わし、相手に剣を振るった。攻撃していたせいか、隙だらけだった。
骨の頭部に剣を突き刺した。刺した周辺がひび割れる。
俺は剣を引き抜いた。
骨 『カタカタ・・か・・た・か』
歯を震わせパリーンと鏡が割れたような音と共に骨は消えた。
俺が奪った剣、骨が持ってた剣も灰になり消えた。
シルス 『すごいよ、ソードキラーを倒すなんて』
岩陰に隠れていた1人と1匹がこちらに向かって来た。
結衣は少し駆け足で、シルスは球体に乗りながら1m50cmぐらい浮いて来る。
結衣 『ほんとっ、化け物を倒せるなんてね。動きもすごかったわよ』
鍵 『そ、そうかな』
結衣 『でも・・何であんな自然に剣を振れたの?』
鍵 『・・それは、その・・・』
少し戸惑いながらも少しづつ続きを言う。
だが、言葉は途中で遮られた。
? 『ソードキラーを倒し我が同胞を助けたものとその連れよ』
突然、少ししゃがれた声が聞こえ、鍵と結衣は振り向く。
またも人ではないが少し老いた何らかの生物がいた。俺はすぐ戦闘の時の様に構える。
シルス 『大丈夫だよ、この人は僕の里の長老でいい人だよ』
結衣 『これのどこが人よ!人ってのは私たち見たいのを言うのよ』
結衣が反発する。
長老 『安心せい、ワシはおぬし達を襲ったりはせぬ。それにワシは混血とはいえ獣人族の端くれ、立派な人じゃ』
俺は混血、獣人族という単語に疑問を抱き質問しようとした。
あの・・、だがこれより途中は結衣に遮られた。
結衣 『獣人!?って獣よ獣、人じゃないわ、どうかしてる!!』
結衣 『それに何ここ?変な生き物ばっかりまるで地球じゃないみたいだわ』
長老 『!! 地球じゃと!まさかおぬし等・・・・詳しいことを聞きたければワシについて来い。行くぞシルス』
突然自分の名前が呼ばれたのか、びくっと反応し歩き出す長老についていた。
鍵 『ついて来いってどこに行くんですか?』
シルス 『僕たちの里【ディシアの里】だよ』
長老の代わりにシルスが応える。
結衣 『そんな危ないとこ行くわけないでしょ、ねっ鍵?』
俺は少し間をを置き応えた。
鍵 『俺は行くよ。ここにいても何も始まんないし。ここの事知りたい。それにシルスと長老は悪い奴じゃなさそうだし』
俺は長老たちの元へ走った。
地面に生えた草が足に踏み潰される。
結衣 『鍵・・・ちょ、ちょっと待ってよ』
結衣も続いて鍵と2人の元へ走り出した。
このあと、僕たちはここがなんなのか知ることになった。
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