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最終話「愛を貫いて」

周瑩(シュウエイ)は西太后と光緒(コウショ)帝に拝謁した。
最初は上々だったが、最後にうっかり″変法″の標語を引用してしまう。
「太后のご不興を買ったかも…」
謁見を終えた周瑩は趙白石(チョウハクセキ)に申し訳なさそうに伝えたが、そこへ崔(サイ)太監が駆けつけた。
皇太后が周瑩を気に入って褒美に東阿阿膠(トウアアキョウ)を与え、さらに爵位を授けると命じたという。
周瑩は安堵すると、次は趙白石が拝謁する番となった。
趙白石はこの機に沈星移(シンセイイ)から託された日昌和(ニッショウワ)の仕訳帳を提出、これを見た西太后と皇帝は郡王が戸部を利用して私腹を肥やしていたと知る。


趙白石は別院に周瑩を訪ねた。
ついに皇太后が郡王を排除するという。
周瑩はこれで死んだ人たちも浮かばれると感慨無量だったが、話はそれだけではなかった。
「もう1つ、深刻な知らせだ…
 沈星移が涇陽(ケイヨウ)の街で目撃された、奴から連絡は?」
フル(・_・ ))(( ・_・)フル
周瑩は沈星移が自分に会いに来ると期待したが、趙白石は恐らく狙いは皇太后と皇帝だと教えた。
皇太后と皇帝の暗殺を企てている組織があるが、その組織の中心人物が沈星移だという。
「いいか、これは一大事だ、決して感情で動くなよ?
 沈星移の情報が入ったらすぐに知らせろ
 もし両陛下が東院で暗殺されれば、我らや懐先(カイセン)はもちろん、

すると趙白石は懐先を自分の屋敷に連れて行くと決めた。
「にゃん?!」
「一緒に行って」
「明日、両陛下が発御されたら懐先を返す」

周瑩は没落した沈家を訪ねた。

周瑩は侍女として暮らしていた沈星移の寝殿に入ると、しみじみあれからずい分と遠くへ来てしまったと実感した。

その頃、呉家の厨房に野菜を搬入する使用人の姿があった。
男は野菜を届けると、こっそり身を隠す。
その使用人とは西院の呉沢(ゴタク)だった。

その夜、周瑩は胸騒ぎがして眠れなかった。
なぜか沈星移が来る気がしてふと戸の前に立ってみたが、その時、使用人になりすました沈星移が本当に入ってくる。
2人は固く抱き合い、再会をかみしめた。
しかし周瑩はふと冷静になり、暗殺を思いとどまるよう説得する。
「星移、革命のために私や自分を顧みずとも、他の人のことは考えて
 暗殺は止めないけど、東院では手を下さないで」

周瑩は呉家の人間が皆殺しになると心配したが、沈星移は策なら考えてあるという。
「君や懐先はもちろん、東院の者にも害は及ばない…」
すると突然、沈星移は短刀で周瑩の肩を突き刺し、衝撃を受けた周瑩に口づけした。

沈星移は怪我をした周瑩を椅子に座らせ、縄で縛り始めた。
これなら暗殺事件が起こっても、周瑩が責められることはない。
しかしその時、夜回りしていた趙白石が周瑩の部屋の灯りに気がついた。
「周瑩、まだ起きているのか?」
「ぁ…もう休むわ、大哥も休んで!」
「分かった、では行くよ」
一方、時を同じくして、呉沢も西太后を暗殺すべく、東院へ向かっていた。

沈星移は周瑩を縛り付け、ついに出て行くことにした。
しかし戸を開けると、帳(トバリ)の内側で待ち構えていた趙白石が剣を突きつけ入ってくる。
趙白石は先ほど周瑩が懐先のことを何も聞かなかったため、異変を感じたという。
「趙白石、戸を閉めろ」
すると沈星移は趙白石に銃を向けた。

趙白石は仕方なく戸を閉めて剣を捨てた。
そこで沈星移は正房まで案内するよう脅したが、趙白石は自分を撃てという。
驚いた周瑩は沈星移にあきらめるよう訴えた。
趙白石の性分なら自分の命に代えても暗殺を阻止するだろう。
周瑩はこれ以上、家族を失いたくないと訴え、このままでは二人とも死んでしまうと嘆いた。
「大哥、これは私からの最初で最後のお願いよ、星移を逃してあげて」
周瑩の悲痛な叫びに沈星移は銃を下ろし、趙白石も沈星移を逃すと決める。
しかし趙白石が戸を開けると、帳の向こうから官兵たちが刺客が現れたと話している声が聞こえた。
(#≧ꇴ≦)もぉぉぉ!呉沢ーーーっ💢

刺客が別院へ逃げ込んできた。
趙白石は自ら刺客と剣を交え、刺客の覆面を外したが、その正体が呉沢だと知る。
すると呉沢は趙白石が驚いて手を止めた隙に、周瑩の部屋に逃げ込んだ。
趙白石は焦って官兵たちを制止、自分に任せろと叫んで部屋に入る。
こうして周瑩の寝殿には奇しくも沈星移と呉沢、そして趙白石が揃うことになった。

趙白石は呉沢を突き飛ばし、軽率な行動をとがめた。
「呉家の人間が東院で暗殺だと?!」
「陛下を救う最後の機会だ、行かせてくれ、皇上が政権を握れば国は救われる」
しかしすでに屋敷は官兵が包囲していた。
呉沢はもはや殺されるか捕まるかの二択しかない。
このまま呉家の人間が刺客として捕まれば一族連座となり、呉家が滅ぼされること必至だ。
「もう誰も逃げられぬ」
趙白石は最悪の事態を覚悟したが、その時、沈星移が方法があると言った。

沈星移は呉沢の覆面を外して自分の顔につけ、呉沢の剣を手にした。
そして趙白石に銃を投げ渡すと、いきなり手刀で趙白石の首を突き、意識を失わせる。
「星移…行ってはダメよ…」
しかし沈星移は何も言わず、いきなり外へ飛び出してしまう。
周瑩は呆然としたまま庭から聞こえる剣戟(ケンゲキ)の音や、官兵たちの怒号に胸が痛んだ。
やがて外は静かになる。
周瑩は沈星移の最期を悟り、ひとり涙に暮れた。

翌朝、呉家一族は西太后と光緒帝の見送りに出た。
すると皇太后はひざまつく周瑩に気づき、声をかける。
「何年、寡婦を貫いた?」
「お答えいたします、太后、14年です」
「…私は39年だ」
西太后は共に女として一族を支えてきた周瑩の苦労に共鳴し、呉家をあとにした。

趙白石は呉沢を人知れず呉家から出し、埠頭まで送った。
呉沢や呉家数百人の命を救った沈星移、趙白石はそんな沈星移の死を無駄にしないよう、これからは自身を大切にしろと助言する。
「お前は?まだこの泥沼の中を漂い続けるのか?」
「これからもこの道で踏ん張り続けようと思う」
「…行くよ」
「元気でな」


周瑩は懐先(カイセン)の見送りで上海の埠頭にいた。
すると一緒に来ていた趙白石から端郡王・載漪(サイイ)一家が新疆(シンキョウ)へ流刑処分になったと聞く。
周瑩はふとあの時、東院でもし皇太后が殺されていたら、懐先をどうしていたのか尋ねた。
しかし趙白石はただ懐先を我が子同然に思っているとだけ答える。
そこへ懐先が戻ってきた。
「にゃん!舅舅!そろそろ乗船します!」

周瑩は懐先を船の入り口まで送ったが、複雑な心境だった。
「私はこれまで多くの別れを経験してきたの、呉聘(ゴヘイ)、父上、私の父、そしてあの人…
 今度はあなたとお別れするのね」
「安心してください、僕はまた帰って来ます」
「早く帰ってきて」
「母上、2年などあっという間です!その時には僕もこの国も変わっているはずです!」
こうして懐先は旅立って行った。

…周瑩は1869年、陝西三原(センセイサンゲン)県の周家に生まれた
…幼い頃から才知と人徳を兼ね備え
…17歳で涇陽(ケイヨウ)安呉堡(アンゴホウ)村の呉家に嫁ぎ、呉聘の妻となる
…結婚後は夫と義父を相次いで亡くし、幼い養子の懐先を抱え、呉家の商いを一手に担った
…周瑩は仁義や信用を重んじ
…人材を上手に使う柔軟な経営手腕で呉家東院を比類なき大商家にのし上げる
…また学業支援や廟の建築、道路および橋の修繕、造船などに貢献
…さらに災民や貧民を救済し、多くの慈善事業を行った
…そして1908年、周瑩は40歳でこの世を去り、一品の誥命(コウメイ)夫人に封じられる
…周瑩が商売で起こした奇跡や人助けの心
…それらは陝西商人の新しい道を切り開く勇気や、信用を守る精神として今日まで伝えられている






( ๑≧ꇴ≦)長かった~!女子学堂の開校で終わりで良かったと思うな〜
それにしても上海埠頭が小さ過ぎない?←最後の感想がこれかw





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最終更新日  2020.04.21 14:52:23
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