野の花・野の豚の自己研究に根ざす、社会的な共生の道を探求する発言・2015年7月1日から

野の花・野の豚の自己研究に根ざす、社会的な共生の道を探求する発言・2015年7月1日から

1974年作の詩






                                     燃える   ボタン雪が燃えながら落ちてくる
 手のひらほどもあるボタン雪が
 燃えながら落ちてくる
 燃えながら
 凍てついた大地に積み重なる
 溶けもせず
 溶けもせず
 茫々と降り積もる

 夢路走る
 髪を逆立て
 音も立てず 
 一つ一つの筋肉の動きとともに
 青白い光に輝かせながら
 燃える雪
 燃える雪の間をぬって
俺を振り向きもせず


 憎しみと愛を
 ふつふつとたぎらせて
 一瞬俺は奴を見送る
 そして重心を低くしながら
 いつのまにか俺は踏み出す
 熱い思いが全身を浸し
 俺は揺れる夢路を追う
 追いながら
 俺は燃える雪を喰らう
 雪を喰らいながら
 俺は忍者になる
 影になり冬の世界の地底を走り
地底を走りながら
 暴狼となり
 8匹の暴狼となって宙に舞う

 燃える雪
 燃える雪
 燃える雪
俺をしとど濡らす
燃える雪燃える雪である俺の愛

抱きしめたい
抱きたい
夢路とつながる
赤い血の吹き出す女たちの
いのちそのいのちにつながる
白く冷たい河
凍てついた河

8匹のオオセカムイとなって空を走り
地底を走る俺を  
まだら色の口を開け
あざ笑う夢路の心の奥深く
俺は届かぬ暗号を送る
それから苦い思いを込め
雪、燃える雪を叩き潰しながら
俺走る
雪みどりの血滴らせ
落ちてゆく、落ちてゆく
走り続ける俺の
足の下から
色のない冷たい悲しみが
少しずつ俺をひたす
俺を犯す

トルバ ランダリリ
ルルキシ ルルクス
ユタユタール クルキ
カサワウル ヤウア
そのとき暗号が伝わる
おののきながら夢路立ち止まる
おお、全てのものに身構えながら


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: