素直なココロ



彼は彼女と別れた。
それは驚く選択だった。
もちろん私を思ってのことでは当然ない。

けど。
カレと私で部屋で話していた時、このまま二人とも死ぬのかなぁって、
そんな雰囲気すらあった。
全てがマイナスに動いてるとしか思えない状況に飲み込まれていたんだ。

カレと私はなんだかその時暗い部分で共鳴しすぎてて、こわかった。
私は止める術を知らなかったから。
落ちるなら落ちればいいって思ってた。

けど、友達がそれを止めてくれた。

多分大きな一歩を全員が踏み出すための友達の言葉たち。
私はその時ぼっ~っと聞いていて、
実際はなにもココロに届いていなかったかもしれない。

だけど・・・
その言葉達がいつしか、私のココロを癒しはじめて
それはカレのココロにも大きな変化を与えた。

運命を分けるというとおおげさだけど・・・。

私達はそれからすごく変わり始めた。

すぐには全てはいい方向にはいかないけれど、
私は風向きが変わったことを肌で感じてる。

私は笑顔が増えた。
人が愛しく思えるようになった。
純粋に人を見れるように・・・。

あれからカレとは普通に話してるし、接してる。
それが素直にうれしい。
普通に笑える事実が、とっても大事なことのように感じるんだ、今は。

傍からみればなにも変わらない。
けどなにかが内側から大きく変わりはじめてる。
私はその細部までが見えるかのように感じるんだ。

未来はわからない。
どんな感情を、誰にもつのか、それは誰も・・・。

今は流れに身をまかせて、穏やかに過ごしていたい。
誰にも縛られず、自分のままであり続ける。
そして、
カレが思い出になって、違う自分でカレを好きになるように。
或いはいい友達であり続けられるように。

それが私の初めての恋の結末。


「ねぇ、後悔は少しもしてないんだ。

 不思議だね。あんなに傷ついたと思ったことなのに。

 きっと今も胸は痛いままだけど。

 私はひとつ知ったんだ。

 「永遠」なんて存在しない。

 未来は真っ白で、希望に満ちているはずで。

 毎日、なにかが少しずつ形を変えていく。

 それは悲しいことかもしれないけれど、

 私は感じることを素直に受け止める。

 今を生きてるのはわたし。

 誰でもない、私だから。

 ねぇ、出会えてよかったとココロから思うから、

 ありがとうを素直に伝えるよ。

 見えない明日に怯えるよりも、

 見えてる今をどう生きるか・・・。

 それを教えてくれた人だから。

 きっとずっと忘れない。」


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