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どうも、今回は前のサイトで連載していた小説を投稿したいと思います。決して翠旋に文才がある訳ではありませんが…ま、大目に見てやってください(ぉではまずプロローグです。どうぞ。――プロローグ――――――ヒュオオォォォ……!!「…さむ」今の季節は本当に春なのだろうか。冷たい風が吹き、そのあまりの寒さに肩をすぼまらせる。長旅で既に疲れ切っているこの体に対して、この突風は大いなる障害だ。全く、こんな町にくるのなら防寒着の一つくらい持ってくればよかったかな。前もって現地の気候を調べておくべきだったと、ここに来てやっと実感した。「もう…遅いんだけどね…」寒さの所為だろう、抱えている荷物が妙に重く感じる。だがコンビニも喫茶店も無いこの辺である以上、どこかで体を休める事もできず、結局僕はこの重い荷物たちを背負いながらのしんどい坂上りをえんやこらと継続しなければならなかった。「しっかし…まあ……」僕、霧生清吾(きりゅうせいご)のこのしんどい長旅の目的地である全寮制の高校、蒼翔学院(そうしょうがくいん)。この坂を上りきればそれが見えてくる、と親切な駅のお爺さんに聞いたのではあるが―――「本当か…?」一向に、この坂に終わりが来るようには見えなかった。×××「―――つ…っかれたあ…」あれから十五分ぐらい経過してようやく終わった坂上り。まさかこんなところまで来て軽いハイキング気分を満喫するとは思ってもいなかった。中腰の体勢もいい加減辛くなってきたので、冷たいコンクリの道路ではあったが、その場に腰を落とす。汗の染みた尻のあたりがなんとも不快だったが、つぎの瞬間にはそれも吹き飛んでいた。坂の上から見える景色。「…へぇ」一つのコンクリートの建造物、恐らくは学校舎から一本の広めの並木道が伸びており、その終わりから道が六つに分かれていた。一つは、今僕のたっている坂道に。もう一つは、ここからも良く見えるアーケード街に。残りの道は―――よく確認できないが、恐らく全て民家や寮なんかへと繋がっているのだろう。突風でさわさわと揺れる桜並木は寒い気候の所為でまだ本格的な色合いは見せていないが、薄っすらとピンク色に染まっているのが見て取れる。学校が始まる頃には花も咲き始めるだろうと、勝手に結論付けて心に仕舞い込んだ。抱えていたボストンバッグの中から、予め駅の売店で買っておいたスポーツドリンクのペットボトルを取り出し、一口だけ口に含む。突然ではあるが、俺には両親がいない。今回こんな所にはるばるやって来たのもそれがきっかけだ。両親は俺が生まれて間も無く、事故で死んでしまった。何の変哲も無い。ただの交通事故だった。僕がこの世に生を受けてから二ヶ月ぐらいのときそれが起こったと、叔父に教えられている。僕の出産と打って変わったかのように母方の祖母が亡くなり、その葬式場である母の実家に向かう途中だったらしい。話によれば僕もその場にいた。車の中で、母さんに抱かれながらも。いい感じに暮れだしたネオンの中、路地を曲がると同時にトラックと正面衝突し、爆発炎上。即死だったそうだ。母さんに抱かれていた僕は何とか命だけは助かったようだが、腹部に鉄片がぶつかり、大きなお土産を残して行ってくれた。両親の返り血を浴びて真っ赤になりながらも、僕は瓦礫の下で泣いてたらしい。そして親類同士の話し合いの結果、僕は母さんの兄に、つまりは叔父に預けられた。今の僕のこの「霧生」という苗字も、叔父のものだ。不幸中の幸いとでも言うのだろうか、叔父のお勤めは某金融企業の専務。生活費、育児費ともに困ることは一切無かったらしいのだが――。中学も卒業し、ようやく自我というのも成熟した僕にとって、そのまま叔父の家に居続けるのはあまりに苦痛だった。いや、別に叔父が嫌いになった訳ではない。一緒にいて、迷惑を掛けたくなかっただけなのだ。この町に一人で、全寮制の蒼翔学院の寮で暮らしたいという話を持ちかけたときも、叔父は微笑みながら頷いてくれた。決して家から近かった訳でも無いと言うのに、叔父は気前良く許してくれた。あの時は本当に、良い叔父を持って良かったと思ったものだ。荷物をまとめたのはつい昨日のこと。そして。現在に到るという訳だ。しかしここまで来てみて分かったことだが、例え移動の半分が電車だったにしろ、長旅ってのは結構疲れるものだ。握っているペットボトルを、ほとんど虚ろな視線のまま二口ほどに飲んだ。まったく、ここから歩きだすのは骨が折れそ――「―――良い眺めですよね♪」突然背後から掛けられる、子守唄のような優しい声。「ぅあいぃ!?」「きゃっ!」流石の僕もいきなりのことに、失礼ながらも情けない悲鳴を上げてしまい、声の主を驚かせてしまった。「す、すいません、驚かせてしまって…」申し訳無さそうにぺこぺこと頭を下げる女性。俺より年上だろうか、意外と綺麗な顔立ちだった。「いえ、こちらこそ、勝手にびっくりしてしまって」音も無く背後に居られたのには滅茶苦茶にびっくりしたが、流石にそれを言ってしまうと悪いような。ようやく頭を下げるのをやめた女性はもう一度小さく「すいません…」と呟くと、学院の方角を向いたので、僕も習ってそちらを向いた。「…本当に良い眺め…。私、ここから見るこの風景が一番好きなんです。」今度は少し弱めの風が吹き、静かにさらさらと流れるような彼女の髪で遊んでいる。「ってことは、この辺の人ですか?」ふふっ、とこぼす女性。「この辺も何も、あそこの生徒なんです、私」なるほど。物腰柔らかに答えてくれたこの女性はあそこの生徒、と言う事は待てよ?つまりはまた学院で会えるかもしれないと言う事だ。おお、初日そうそうなんてラッキーなんだ僕。「…そろそろ行かなくちゃ」心の中で御神輿を担ぐ僕とは対照的に、腕時計を見ながら物憂げに呟く美女。どうやら彼女に与えられた時間に余裕が無くなってしまったようだ。ふわりとブロンズの髪を揺らして振り返ると、もと来た道を戻っていく。二、三歩歩くと何か思い出したように「あ、そうそう」と振り返り、「私、伊達島って言います。学院で会ったら声をかけてみてくださいね♪」いきなり何を言われたのか分からなく、それが彼女の名前だと認識するのには十五秒ほどかかってしまい、「――え、あ、」僕が返答をしようと口を開いた頃には、伊達島と名乗った彼女は視界から消えてしまっていた。「………」どうせまた会えるだろう。改めて先程の伊達島さんもイチオシという風景を見てみる。質素な、だがよく見ると若干青味がかったようにも見える校舎から伸びる桜並木。ここからでもよく見える、学院の庭。意外と隅まで手がかかっているのがわかる。しかも目を凝らして見てみれば学院の後ろ側には蒼い水平線が伸びており、そこから幾つもの雲が煙のように立ち上っている。確かに、いい景色かもしれない。蒼翔学院。全寮制であるあの学校が、僕の、一生一度の高校生活の場。そう思うと柄にも無く期待や不安がこみ上げてきて、不意に心臓が強く脈打つ。誰も顔見知りのいないこの場所で、本当に僕はきちんと生活していく事ができるのだろうか?まともに友人を作れて、寮での生活には馴染めるのだろうか?町に来てまだ半日と経っていないと言うのに不安だけが募っていき、いきなり心に影が差す。だけど―――。僕のすぐ横を通った一際強い風に煽られ、一切の不安はそれと共に吹き飛んで行ってしまった。―――これからのことはこれから決めれば良いさ。今の風がそう言ってくれた様な気がして。――妙に詩的なことを考えてしまった自分が可笑しく思えて、意図せず頬が緩んだ。残るは全て下り坂。何故だかその坂が全ての始まりのようにさえ思えてくる。そう、この坂が、僕、霧生清吾の新しい日々の始まりなのだ。「…よし」声を出して一つ気合をいれると、一陣の風が吹き抜けたのと共に一歩を踏み出した。―――背負い直した荷物は、不思議と軽かった。―――――一次創作小説 蒼のかなたへ ―――――
2007.01.26
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はじめまして御覧の皆様。 今日よりここ、楽天様によるご提供でブログを始めることにしました、翠旋(すいせん)です。 以前は別の名でライブドア様のブログをやっていたのですが、 都合によりこちらに引っ越すことにしました。 最近の出来事に関する記事が盛りだくさんで、中にはかなりマニアックな記事も有りかと思われます。そういう人間です。ハイ。 声優への興味と知識が若干ながらにあり、少しは詳しいです。 中でも力丸乃りこ様or後藤邑子様をとても尊敬しており、一日一回はお二人の声を聞かないと高確率で死にます。 翠旋は週刊少年サンデーに大人気連載中&最近アニメ化も決定した 「ハヤテのごとく!」にかなり溺れています。 趣味で小説を書いています。たまに投稿しますが、上手くは無いかと。 前回のブログに載せていた小説もいずれこちらに持ってきます。 そんなこんなで始まります。 どうかこれからもお見知りおきを…
2007.01.24
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