葉山まなびや物語

葉山まなびや物語

原風景


妻と二人で、二つの施設を車で行き来した。

認知症がすすんでいる叔母は、車の中で、移りゆく風景を眺めながら、

「昔はこんな家がなかったのにね」「マンションなかったのに」

と、昔の風景を思い出しているようだった。

きっと、認知症の方はどなたも、直近のことより、ずっと昔の記憶の方が
確実に残っているに違いない。

自分がどんな会社で活躍していたか、どんな学校を卒業したか、

残念ながら、そんな記憶は早くになくなってしまう。

ずっと残るのは、子どもの頃、近所で遊んだ場所、風景だ。

人間にとっての「原風景」とも言える、子どもの頃(3歳くらい~10歳くらい)

に過ごした場所や遊びのシーンがその人を決定づける。


今、地域の総合体験プログラムを展開している。

この活動は、本当に大切なことなんだ、と改めて思った。

子どもの頃、友だちや親といっしょにメダカを捕まえたこと、

海でもぐって魚を見たこと、

野菜を育てて畑でもぎたての

トマトを食べたことなど、

そんな思い出のシーンを残してあげたい。

テレビゲームが流行っていたこと、塾の勉強が大変だったことが

子どもの頃の原風景ではかわいそうだ。
(2007年8月)


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