その8 そして海へ!


眠い目をこすり、ショップに6時半頃集合する。
ハイエースに揺られて出発した。

海洋実習は白浜に行くんだと言う。
白浜って言えば温泉と海水浴場で有名な観光地。
そこの円月島というビーチで海洋実習をするん
だって、近畿人のくせに全然知らない地名。

白浜行ったのって小学校以来だもんなあ。
あの時は海水浴で白良浜(しららはま)に行った
っけ?

大概夏休みは母や父の実家で海に山にと遊んで
いたもんであまり近郊には行かない方だった。

今日は2人だけの講習かと思いきや、飛び入りで
1人男性が一緒に講習を受ける事になり、3人。
それと講習とは関係ないファンダイブで来た
おば様1人。そんなメンバー構成。インストラ
クターはおば様のファンダイブのため、2人が
引率だった。

その移動中、ふと疑問が浮かんだ。
「○○さ~ん」

「何ですか?」

「海って今の時期泳げるんですか?」

「年中泳げますよ。」

「そうなんですか~海開きしてないと泳げないと思ってた」

「?!!!!」

めちゃ笑われましたわ。でも真剣に海開きしてない時に
泳ぐと警察に捕まると思ってましたんで・・

そこで笑ってるあなた!
ちらっとでもそう思ってたんじゃないのぅ?

3時間程で車は到着。
早速着替えのため、宿に先に入った。
塔島館という民宿で少し薄暗い感じのするお
部屋(現在はリニューアルしてる)で、まあ
こんなもんかといった感じ。

おば様と私達2人の部屋構成。
おば様は見慣れない黄色い箱を持っていて、
組み立てを始めた。何だろう?

その組み上がった黄色い物はカメラだった。
この時が始めて見た水中カメラでSEA&SEAの
MX-10だった。

お手頃価格の水中用の銀塩カメラで6,7万
で買えると言う。

「お手頃でその価格ということは他のカメラは
もっとするんでしょうか?」

「そうだねえ、ハウジングだけで中のカメラと
同じ位するねえ。30万、40万なんて話よ」

「ええっそんな高い?!とっても無理だなあ。」

「もっと高いのは100万位するのもあるのよ」

「・・・やっぱりダイビングってお金持ちの
するもんなんだなあ」

なんだか自分が場違いな所に来たような気がして
実習へのやる気が削がれた気がした。

自分には水中カメラなんて縁がないと本気で思った。
まだこの頃は水中にたまたま自分の持ってるデジカメ
のオリンパスC-2020zoomが純正ハウジングで安いのが
出るなんて知らなかったのだから。

「すごいんですねえ」

「あなた達、講習受けてCカード取ってある程度
たったらアドバンスを受けなさいよ。そしたら世界中
どこにでも潜られるのよ。
私はタンク本数50本位で受けたわね。」

そうなのだ。今回取るのは一番初心者のダイバー認定
カードなんだ。認定団体によって名前は違うけどこの
ショップはNAUIなのでスキューバーダイバーという
カードが今回の発行Cカード。PADIでいうオープン
ウォーターのランクと同等。

この最初に認定されるカードには制限があって水深
18m以上潜ったらだめとか夜は潜ってはいけないと
かの本当にダイバーの入り口のカードにすぎない。

さて、水着に着替え準備完了。
海の前で器材の使い方の再説明をする。
タンクのバルブにレギュレターをつける。
レギュレターとオクトパスを右、ゲージは左っと。
それでBCへの空気の供給、排出を行うインフレー
ターにホースをつなぐ。そしてタンクの栓を緩める
とぷしゅっと音が鳴ってホースがピンと張る。

器材のセットの仕方の次は器材を背負わずマスク、
シュノーケル、フィンの3点セットを持って波打ち
際へ

「まずはスキンダイブを行います。」
ふーんシュノーケリングするんだ~
波打ち際からのエントリーのやり方を教えてもらい
少しずつ海に入っていく。じわじわと水の感触が伝
わってくる。

そしてスキンダイブトレーニングが始まった。

つづく



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