(続)スーツケースにこめた愛


想像してしまうほど、空想力抜群の妻が
望んでいたのは、心から「ゴメン」の一言
だった。

けど、私の奇襲攻撃に目をまん丸くして
突っ立ったままの夫の口から出た言葉は、

「Yes,I did. But I have no excuse」
(そう、使ったよ。でも言い訳はしない)

というものだった。
それが、何だかとても薄情な捨て台詞の
ように聞こえ、妻の妄想に拍車がかかる。

私は本気で、こんなことを言うようなら
もう「Good Relationship」を続ける気が
ないんだと思った。

だから、「日本に帰って仕事を見つける」
「お給料の中から家のローン代送るから」
とだけ言って、子どもたちと一緒に寝た。

こんな時でも、失業中の夫の住む場所が
無くならないように心配している自分に
ちょっとあきれたけどね。

翌日、次男のパスポートを早速申込み、
スーツケースに思い付くままの荷物を
バンバン詰め込んだ。

結婚前や新婚時代は、ケンカしても
怒った私の機嫌をとってくれた夫も
今ではそんなことはしてくれない。

タンカを切ったところで、所詮は
放っておかれるのが関の山だ。

だからこそ、本気だということを
解らせなくてはいけない。

「仕事は、もう今日で辞めるから」

仕事はどうするんだと、ピントが
ずれた質問をする夫に言い放つ。

さあ、どうなる、Happydays。
このまま「Unhappydays」と名前を
変えて、再出発するのか?

期待を持たせて悪いけど、次回の
「スーツケースにこめた愛」最終回
をお楽しみに。

あれっ、「お楽しみ」なのか?


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