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紅蓮’s日記
第四十四話
「舞火ちゃん!」
木を倒し、体育館前に戻ってきた舞火は扇に呼び止められた。
「扇ちゃん、無事だったんだね。よかった~!」
扇の姿を見た舞火は荒れ果てた校庭の中で喜びのあまり
扇の手を取ってはしゃいだ。
「うん、わたしは大丈夫なんだけど、大地が………」
扇はそう言うと後ろを指差した。扇の後ろには大地が立っている。
だが、大地は扇にもたれかかってやっと立っている状態だった。
扇に比べて大きな傷が目立つ。
「わたしを庇って………大地、大丈夫?」
扇は不安そうに大地の顔を見つめる。
「大丈夫だよ。まだ動ける。」
大地は笑顔で言った。
だが、大地の息は荒く、明らかに無理をしていることが覗える。
「でも、二人とも無事でよかったね。」
舞火の後ろからやってきた光はそう言うと舞火の肩を叩いた。
舞火は先ほどまで
「みんな、大丈夫かな?まさか死んだりしてないよね?」
と繰り返し繰り返し独り言を呟き、
そして一人でかなり動揺していたのを光は一生懸命励ましていたのだ。
「うん、本当によかった。」
舞火は胸のつっかえがなくなったのか、満面の笑みで答えた。
「舞火ちゃ~ん!」
声のする方へ振り向くと、
今度は暗が手を振りながらこちらへやってくる姿が見えた。
後ろには連鎖と成人もいる。
さらに別方向からは風牙と忍の姿を確認できた。
舞火の心配の種は一挙に吹き飛んだ。
「っ!!」
その時だった。
舞火は大きな霊力の波動を感じた。
舞火だけではない。
この場にいるすべての者がこの霊力を感じていた。
大きな霊力は信じられないほどのスピードで舞火たちに近づいてくる。
舞火は瞬時に朱雀を武器化させた。
そして舞火は大きな霊力の方へ立ちはだかった。
「くぅぅぅぅぅぅ!」
舞火の左腕に大きな衝撃がのしかかる。
舞火の左腕に装着されている盾に光り輝く刃が
火花を散らしてぶつかっている。
舞火は左手に衝撃を感じた刹那に右手に握られた猛火の嘴細剣(ブレイズビルレイピア)を振り下ろした。
だが、光の刃はすぐに舞火との距離を取る為身を引いた。
「オレの一撃に反応できるようになったとはな………」
光の刃の持ち主が半分面白そうに笑みを浮かべていた。
同時に別方向から超高密度の灼熱の黒い炎球が
舞火たちに向かって飛んできた。
舞火たちは散開し、
目標を失った炎球は地面にぶつかり、巨大な火柱を上げた。
「………」
炎球の飛んできた方向に目を向けると、
一人の男がこれまた不気味な笑みを浮かべながらこちらを眺めていた。
「『破壊と滅亡の使者』タツ!
それに『必殺の一閃光(ひっさつのいちせんこう)』………」
二人の男の姿を見た連鎖は思わず声を漏らした。
タツと光一、連鎖が知る中で最強の力を持つ上位二名だ。
予測はしていたがこの二人をいざ目の前にすると体が震える。
「蜘蛛、暴食、木、砂漠………奴らを倒すとはさすがだな………」
タツは静かに歩み寄ってくる。
タツが一歩一歩近づいてくるごとに、
一言一言言葉を放つごとに針で刺されたような張り詰めた空気が強くなる。
「どうやら遊びすぎたようだ!!」
タツが目を大きく見開く。
同時に張り詰めていた空気がまるで重りのように舞火たちの体にのしかかる。
息が詰まる。体中から汗が噴出す。
そんな中、光一が姿を消した。いや、消したのではない。
見えないのだ。光一は一瞬で舞火の目の前に現れた。
右手に輝く光の刃、光龍剣(こうりゅうけん)を振り上げる。
「疾風爪の鋭斬撃(ゲイルクローシーザス)!!」
光龍剣(こうりゅうけん)が舞火に振り下ろされ様とした瞬間、
風牙の疾風の甲虎爪(ゲイルタイガークロー)が光龍剣を受け止めた。
「なに!?オレのスピードについてこれただと!?」
光一が驚きの一声を上げた。
だが、光一の顔から驚きの表情は一瞬にして消えた。
「どうやらスピードはなんとかついてこられるようになったようだが………」
光一は笑った。
風牙の疾風の甲虎爪(ゲイルタイガークロー)が音を立てて崩れた。
「パワーは敵わなかったようだな!」
光一の光の刃、光龍剣(こうりゅうけん)は
光一の全霊力を一点に注ぎ込んだ一撃必殺剣だ。
あの小ささからは考えられないほどの霊力が
光龍剣の中に高密度で詰められている。
密度が違ければ強度も変わる。
風牙の疾風の甲虎爪(ゲイルタイガークロー)は
光一の光龍剣(こうりゅうけん)の強度に負けたのだ。
光一は風牙と舞火、二人をまとめて斬りに掛かった。
だが、風牙の作った一瞬の時間が舞火に反撃の猶予を与えてくれた。
舞火は瞬時にレイピアを左腕の盾に押し込んだ。
盾は一秒と掛からず展開し、美しい弓へとその姿を変えた。
「渦巻く猛火の矢(スパイラルブレイズアロー)!!」
舞火は光一の至近距離で矢を放った。
「ちっ!」
光一は慌てて身を引き舞火の矢を避けた。
「忍、今よ!!」
声を上げると同時に暗が走り出す。
「シャドウ!不動の悪夢(アンムーヴドナイトメア)!!」
暗の声に反応した忍は右手の光一に向け、拳を強く握った。
同時に光一の体から自由が奪われた。
「忍、ナイス!リッチ、こっちもいくわよ!
全てを飲み込む闇(ディヴァウアーダーク)!!」
暗が巨大な鎌を振り、空間を切り裂く。
切り裂かれた空間の裂け目から闇が溢れ出し、波打ちながら光一を襲う。
「光龍!!」
光一は叫んだ。同時に光龍剣(こうりゅうけん)が眩い閃光を放つ。
光龍剣の閃光は光一を縛る影をかき消す。同時に光一の体に自由が戻る。
「飛光錘(ひこうすい)!!」
光一の光龍剣から尖った光の弾が放たれ、暗の闇を打ち破る。
「くそ!舐めるなぁぁぁぁぁぁ!」
光一は光龍剣(こうりゅうけん)を逆手に構えると暗に飛び掛ろうとした。
だが、光一は顔をしかめ、不意に後ろへ飛びのいた。
その瞬間、光一の元いた場所の地面が見えない力によって陥没した。
「この能力は………」
光一は上を見上げた。すると体育館の屋根の上に二人の人影が見える。
「貴様か!『重力の黒翼(じゅうりょくのこくよく)』!!」
体育館の屋根にいた二人の人影、それは翼と翼に肩を借りて立つ斬だった。
「まさかお前がオレたちを裏切るとはな………」
「裏切る!?お前たちはあたしを仲間なんて元から思っていないでしょ………
この人が………この人が教えてくれた………
あたしは利用されているだけだって………
あたしはもうあんたたちなんかに利用されない………
あたしはあたしを助けてくれたこの人と共にあなたたちと戦う………
あたしはあなたたちを許さない………」
メガネの奥の翼の瞳は闘志に燃えていた。
「重力増加地帯(グラビテイショナル.フィールド.ウェイル)!!」
翼は重力を操る一角(グラビティ.マニューバ)を振り上げた。
重力を操る一角(グラビティ.マニューバ)の先端の黒い翼が
優雅に広がった。
光一の付近一帯の重力が一気に増加する。
強力な重力に押しつぶされた光一は足を止めた。
「飛刃(ひじん).線(せん)!!」
斬の瞬斬(しゅんざん)が空を斬り、
強固な一線の半月型の霊力の刃を作り出す。
そして一直線に光一に向かって飛んでいく。
霊力の刃は動けない光一の右肩を切り裂いた。
「くっ!」
悲痛の声を上げたのは翼だった。
先ほどの戦いで多くの霊力を消費した翼は
長時間重力増加地帯(グラビテイショナル.フィールド.ウェイル)を維持するほどの霊力が残っていなかった。
力の供給を失った重力増加地帯(グラビテイショナル.フィールド.ウェイル)は消滅した。
「この、くそ女が!!」
光一は怒りのあまり翼に突進した。
だが、この怒りが光一に大きなスキを与えた。
「周りが見えていないぞ、『必殺の一閃光』!!
監禁の連鎖(インプリスメントチェーン)!!」
光一の背後から連鎖の三本の鎖が襲い掛かる。
三本の鎖は交わるように伸び、
網で光一を包み込むように光一を監禁する檻を形成した。
そのスキに翼は動けない斬を抱え体育館の屋根から飛び降り、
舞香たちの下へ斬を運んだ。
すぐさま風牙が斬の脇腹の傷を治癒しにかかった。
「合体!」
「攻撃!」
「二千本の大地と氷の釘針(ダブル.サウザント.アースアンドアイススパイク)!!」
大地が大地の巨大連接矛鎚(アースモーニングスター)を振り下ろすと
地面から千本もの針が隆起した。
さらに扇が扇子で吹雪を巻き起こし、
大地の針に氷を纏わせさらに千本もの氷を形成する。
二千本もの針が連鎖の檻ごと光一を貫く。
「じゃまだ!!」
光一は二千本もの針に襲われる寸前に連鎖の鎖を断ち切り、
檻から脱出し、ギリギリのところで針の森から抜け出した。
「いまいましい三頭犬め!」
光一は連鎖を殴り飛ばすとそのまま切り込みに掛かった。
連鎖は鎖で防御壁を展開するが、
防御壁はいとも簡単に切り刻まれ突破されてしまった。
「連鎖を守れ!キマイラ!!」
成人の合成精霊キマイラが光一に飛び掛った。
「ぐふっ!!」
キマイラの頭の立派な山羊の角が光一の腹部に深々と食い込む。
キマイラはそのまま光一を連鎖から引き離した。
「両断バサミ(シザーズチョッパー)!!」
キマイラの背中からサソリの精霊シザーの鋭いハサミが伸び、
光一の胸部を引き裂いた。
「この化け物め!」
光一がキマイラの頭目掛けて刃を振る。
キマイラは四体に分離してなんとか光一の攻撃を回避するが
山羊の精霊ゴートが頭部に傷を負ってしまった。
「つっ!」
成人の体に負荷がかかる。
精霊自身を傷つけられた成人は霊力を大幅に削られてしまったのだ。
光一はさらに成人の精霊たちに襲い掛かる。
「舞桜乱(ぶおうらん)!!」
そこへ鮮やかな桜吹雪と共に剣児が飛び込んできた。
さらに霊力砲の雨が光一を襲う。
光一が怯んだスキに成人は精霊たちを呼び戻した。
「ぶわっはっはっはっはっはっはっは!」
野太い笑い声と共にドーレンが光一の側面から霊力砲を乱射する。
さらに、
「でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
上空から切菜が三節大黒刀(さんせつだいこくとう).大黒丸(だいこくまる)を突き立てながら落下してきた。
光一はなんとか切菜の大黒丸(だいこくまる)を回避したものの、
大黒丸(だいこくまる)が地面に突き刺さったときの激しい衝撃波によって吹き飛ばされた。
「『桜閃』に『剛力』、それにドーレン メタボルトだと!?
まさかあの機械人形使い(マリオネットマスター)までやられたのか?」
光一は空中で体制を立て直すとなんとか地面に着地した。
「いける!!」
舞火は思わず叫んだ。
叫ばなかったが誰もがこの場でそう思っただろう。
あれほど圧倒的な力を誇っていた『必殺の一閃光の光一』をここまで追い込んだ。前回は手も足も出なかったあの光一をここまで追い詰めた。
ここにいるまでもが勝利という名の希望を胸していた。
「うなれ黒龍!滅炎(めつえん)!!」
だが、その希望は一瞬にして絶望へ変わった。
タツの放った炎球が舞火たちの中心で巨大な火柱を上げた。
敵は一人だけではない。まだもう一人いる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
炎球は地面を抉り、瓦礫を粉砕し、舞火たちを吹き飛ばした。
「ぐっ………負けるか………負けるもんか………龍太は………
龍太はあのとき命を賭けてみんなを………
わたしたちも含めてみんなを守ろうとしていた………なのに………
それなのにわたしたちがこんなところで音をあげるわけにはいかない………」
舞火は立ち上がった。全身が悲鳴を上げる。
霊力が底を尽き、疲労感が全身を襲う。ふらつく。目が翳む。
意識が今にも飛びそうだ。
だが舞火は倒れることもなく、弱音を吐くこともなく、
しっかりと立ち上がった。
「………ぶっ倒れてたまるか!!」
大地と風牙も体を起こす。
大地と風牙は体育館の壁を突き破り、体育館内まで吹き飛ばされていた。
「………これくらいでやられるオレじゃねぇぜ………」
足を引きずり、二人は必死に歩き出す。
体育館内の人々は誰一人として二人を助けようとはしなかった。
巻き込まれないようにと二人から遠ざかり、
また目を逸らし、知らん顔をする。
大地が自由の利かない自分の足につまずき転倒する。
体に限界がきているのは一目瞭然だった。
だが、それでも大地は立ち上がり、また歩き出す。
「げふっ!!」
血を吐く連鎖。だが、やはり彼も立ち上がる。
彼は校舎まで吹き飛ばされていた。
無数の窓の破片や尖った瓦礫が連鎖の背中に突き刺さり、
その傷から鮮やかな鮮血を流している。
あまりの痛々しさに校舎内の人々も彼から目を背けた。
「………っ!!」
舞火たちだけではない。
暗も、成人も、忍も剣児も、斬、光、切菜に扇、翼にドーレンも、
誰一人諦めることなく立ち上がった。
誰一人この戦いに勝機を見出していないだろう。
光一一人を追い込むのでさえ総掛かりの攻撃でやっとだ。
なのに敵は二人いる。しかも二人とも圧倒的な力を誇っている。
一方舞火たちはもう霊力は残されていない。
それどころか傷だらけでまともに動くことさえできない。
勝敗は目に見えている。
それでも彼ら、彼女らは引かなかった。引くことはなかった。
己の信念を貫く為に………
体育館の中、耐えられなくなった勲と極は壁の穴へと走り出した。
人込みを掻き分け、やっとこさ壁の穴に到着し、
初めて見る外の光景に勲と極は愕然とした。
そこはいつも見ている有然町の光景ではなかった。
木々は倒れ、建物は崩壊し黒煙を上げている。
校庭はいたるところで陥没やひび割れが起きている。
散乱するマリオネットたちの残骸。血しぶきの跡。
まさにそこは戦場だった。
そんな中、ボロボロになりながらも敵に向かっていく少年、少女たち、
そして一人の老人。
「勲、何やってるの!!」
「極、早くこっちに来なさい!!」
後ろから追いかけてきた二人の女性がそれぞれ勲、極の腕を掴み人込みの中に引き戻そうとする。
この女性たちは二人の母親だ。
だが、勲と極は動けない。
外の光景が目に焼き付いて離れない。
ひどい惨状。倒れても倒れても立ち上がる少年、少女たち。
体を張り少年、少女を助ける老人。思わず二人の瞳に涙が溢れる。
「………っ!!」
二人は親の手を振り払った。
そしてポケットから霊力砲を取り出し、霊力を注ぎ込む。
霊力砲は水を得たスポンジのように膨れ上がり、その姿を巨大化させる。
「だああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「うああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
勲と極は引き金を引いた。
「だああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「うああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
二人は手を休めることなく引き金を引き続けた。
「な、何してるの!!」
二人の母親たちは慌てて二人を止めに入る。
だが、二人は引き金を引く手を休めない。
「あそこに………あそこにいるのはオレたちの友達なんだ………仲間なんだ!!」
勲は叫んだ。
「あいつらはあんなになってもオレたちを守る為に戦っている………
あいつらはいつも影でオレたちを守ってくれていた………
命がけで守っていてくれたんだ………
なのに………なのにオレたちはあいつらを化け物扱いして………
蔑んで………傷つけてきた………」
極も声を震わせ、懸命に叫んだ。
「なのにあいつらはオレたちを傷つける奴らからオレたちを守ってくれている!!」
「なのにただ黙って見ているなんてオレと勲にはできない!!」
静かな体育館内に二人の声が響き渡り、木霊する。
今自分たちがいくら手を貸そうとも大して力にならないことは充分にわかっている。
むしろ足を匹パテいるかもしれない。
それでも、それでも二人は少しでも力になればと引き金を引く。
じっとしているなんてもうできない。
まだ霊力を完全にコントロールできていない二人は
すぐに体内の霊力を使いきってしまった。
大きな疲労感に負け、倒れこむ二人。
それでも、それでも、それでも二人は霊力砲に手を伸ばす。
「あああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
突然一人の有然中学生の男子が二人の下へ走ってきた。
そして二人の目の前の霊力砲を手にすると引き金を引いた。
霊力砲から弱々しい閃光が放たれ、二人の敵に向かって行った。
そして男子生徒はその場に倒れた。
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
さらに二人の男子生徒がやってきた。
さらに一人の女子生徒、五人の男子、七人の女子と次々に集まる子供たち。
弱々しい閃光を放ちその場に倒れこむ者、
大きな閃光を二発も放ち力尽きる者。
一人が倒れればまた別の一人が引き金を握る。
みんなわかっていた。
彼らが影で自分たちを守っていてくれたことを。
だが、みんなは認められなかったのだ。
悲化学的な、窺知しがたい彼らの能力を。
いつかその能力が自分たちに向けられてしまうのではないかとみんな恐れていたのだ。
みんな勇気がなかっただけなのだ。彼らと関わる勇気がなかっただけなのだ。
「く、低能な常人どもが!!」
とうとうタツの怒りが頂点に達した。
「常人の分際でこのオレの邪魔しやがって………」
タツの体から霊力が溢れる。
「黒龍!オレの霊力を食らうがいい!!」
タツの手にする剣滅(めつ)がすくみ上がるほどの雄叫びを上げ、
タツの霊力を吸っていく。滅(めつ)の刀身が黒い炎を上げる。
「大滅炎(だいめつえん).煉獄(れんごく)!!」
滅(めつ)の先端に黒い炎が集まり、巨大な球体を作り出した。
「地獄の業火よ。すべてを焼き尽くせ!!」
この有然中学の校舎すべてを飲み込んでしまうほど巨大な炎球がゆっくりと舞火たちに向かっていく。
舞火たちにはもう精霊を武器化させる力すら残っていない。
体育館から生徒たちが必死に霊力砲を炎球に打ち込むが、
まったく効いていない。煉獄(れんごく)は速度を落とすことなく向かってくる。
「させない!させるもんか!!」
舞火は両手を広げ、煉獄(れんごく)の前に立ちはだかった。
「見てください!きょ、巨大な炎が有然中学校の校庭に!!」
有然町上空を飛行するヘリコプターの中で必死に声を上げるレポーター。
「いったい下で何が………」
そのとき、レポーターは声を失った。
自分の横を、このヘリコプターの側を巨大な黄緑色の物体が猛スピードで抜けていった。
レポーターはその物体の上に一人の少年を姿を見た気がした。
「ハ~ハッハッハッハッハッハッハ!!」
タツの甲高い笑い声があたりに鳴り響く。
煉獄(れんごく)はまるでうなるような音を上げながら激しく燃え上がる。
「絶対………絶対やらせない!!」
舞火は体全体で煉獄(れんごく)を止めようと体を大きく広げる。
怖い。恐い。でもみんなを守る。なにがあっても絶対守ってみせる。
でも………やはり恐い。舞火は無意識に目をつぶった。
「炎龍撃(えんりゅうげき)!!」
そのとき、舞火は懐かしい声を聞いた気がした。
舞火はふと目を開いた。
突如飛来した巨大な霊力の塊が側面からタツの煉獄(れんごく)にぶつかる。
同時に激しい衝撃があたり一帯を震わす。
そして、大きな力と力がぶつかった衝撃でタツの煉獄(れんごく)は巨大な爆発とともに消滅した。
だが、あれほど大きな霊力で作り出した炎だ。
爆発の勢いも尋常ではない。爆発が舞火たちを包み込む。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
爆発の中、人々の悲鳴が乱れ飛ぶ。
だが、爆発の衝撃は思ったよりも小さい。
激しく舞い上がった爆煙が引いていく。
「そ、そんな………こ、これって………」
舞火は声を失った。舞火だけではない。
大地も風牙も、連鎖も剣児も皆声を失っていた。
なんと巨大な黄緑色の龍が大きな羽を広げ、舞火たちを爆発から守っていた。
細い体にエメラルドグリーンの目、それに大きな翼。
見覚えのあるこの姿。そして、
「オレの仲間に何しやがる!オレの仲間を、舞火を傷つける奴はゆるさねぇ!
この落し前しっかりつけてやるぜ!覚悟しろよ、タツ!」
気のせいではない。
しっかりと聞こえる懐かしい声。やさしい声。
この黄緑色の龍の足元に見える人影。
高い身長に、癖によって自然と立っている黒髪。
従えている精霊は五匹の龍。そこには龍太の姿があった。
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