家庭保育室太陽

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障害児保育②発達遅滞について


ここでは、「発達遅滞児」に付いて触れてみたい。
当時はこの子達を「智恵遅れ」と呼んでいた。
私が「3歳児」を担任している時だった。丸々太ったK君。笑顔がとても可愛い!人なつっこくて、いつもにこにこ。入園前の母子面接の時はママが暗い顔をしているにもかかわらず、初めての場所にも拘わらず、一人園内探索をしている。
私は直感的に「多動性がある」と思ったがまずは、お母さんの思いを聞く事にした。やはり、家でもじっとしている事は無く言葉も無い。保健所から「保育園に入れた方が良い」と言われたので。と言うことだった。
当時は「障害児」加配も無く、20人(K君も含めて)を 保育しなければならなかった。4月の保育に自信が無く、とりあえず、母子同伴通園をしてもらう事と成る。
他児たちは、始めは「どうして?」との重いが有ったようだが、3歳児に、解りやすいように話すことによって、「母子通園」は2ヶ月ほど続いた。
ようやく、母子分離がスムーズになったが正直保育中に突然飛び出す。「ちょっとまててね!」と言いつつ追いかける。こんな繰り返しをしつつ、午睡開始。
私に懐いてくれたK君は何をするにもベッタリで、特に午睡時は傍に居ないと入眠できない。子どもたちも其れが解っているからなるべくK君の近くに自分の布団を敷きたがった。つまり、K君の近くは先生の近くだから。
K君が休みの日は、「先生!今日は誰と寝るの?」いじらしい位可愛い子どもたち。ある時K君が「センセイ!」と小さな声で呼んだ。(感激!!)子どもたちも「Kちゃん、センセイっていわはった!」と喜んだ(子どもってすばらしい感性!!これまた、感激!!)その日お迎えの時にお母さんに伝えると喜んでは呉れたが少し寂しげに「まだ、お母さんっていわないんです・・・」「大丈夫よ!人の話は理解してるから」まだまだ、言葉の理解度は浅いが必ず話せるようになる。私は自信を持ってお母さんを励ました。
K君はその後ドンドンと言葉の数は増えていった。しかし、感情表現には乏しさが見られる。K君は、嬉しい時は全身で相手に体を全力でぶつけて来る。ある日私の後ろから、助走をしながら走ってきてドーン!吃驚して振り向くと彼はにこにこ可愛い笑顔で立っている。叱れない。「後ろからだと吃驚するから前から来てね!」と ゆっくり丁寧に話すと頷いて、数メートル前に立ち「先生!」と言うや否や走り出した。私は両手を広げて腰を下げ構えて「おいで!」タッタタッタと走ってくる終始笑顔で。ドーン!!しっかりと胸に受け止める。そして、ギュット抱きしめる。子どものふくよかな体のぬくもりが私の胸を締め付けた。
こんなゆっくりな歩みからK君との信頼関係は強固なものになり、1年間の保育が無事すんだ。彼はその数年後地域の小学校に普通に進んだ。



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