たかたに社会保険労務士事務所

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調停離婚の手続について



1. 調停前置主義
 裁判上の離婚をするには、まず家庭裁判所にて調停申立てをし、自主的に解決を図る努力をする必要がある。


2. 調停を申し立てる理由
 必ずしも法律上の離婚理由は必要ではない。自ら不貞行為をした場合でも、一概に却下されるものではない。

3. 調停の場で取り決めがなされる内容
・離婚解決
・未成年者に対する親権者
・監護の決定
・財産分与
・慰謝料
・養育費
・その他離婚の際に問題になる金銭面の取り決めなど、離婚に関する書面第を同時に解決できる。

4. 申し立てる家庭裁判所
 原則として調停を申し立てる相手方住所を管轄する家裁に申し立てる必要がある。ただし、相手方の管轄裁判所が遠方で、かつ、出頭しようにも小さな子供がある場合などの特別事情があるときは、申立人の住所管轄家庭裁判所に対し上申することができる。

5. 調停は本人出頭主義
 婚姻関係は夫婦の意思が尊重されるべきものだから、代理人による調停進行もできるが、それは基本的には金銭面についての話し合いのみ。そのため、離婚するか否かの話し合いは本人が出頭し決定することとなる。

6. 出頭しなければ出頭勧告がなされる
 出頭勧告をし、正当な理由なく出頭しないときは5万円以下の過料に処せられる。訴訟と違い、欠席裁判はすることができない。調停を取り下げるか、調停不成立で調停は終らざるを得ない。

7. 確実に慰謝料を取る予防措置
◎「調停前の仮処分申請」
 相手方から、まとまった慰謝料をとりたい場合、相手方の財産処分の制限を加えることができる。(例:相手方名義の不動産の処分を禁止するなど)
 ただし、この仮処分には民事訴訟上の仮処分のような強制的な執行力(違反して処分しても違法行為として効力を生じない)はない。(話し合って解決しようという調停において、強制的な措置を伴う処分は制度にそぐわないからため)
 ただし、仮処分に反して処分したときは、「10万円以下の過料」に処せられる。

8. 調停に必要な期間
 調停が一回で成立することは殆どなく、妥当な合意に達するためには、10日から30日の間をおいて調停期日を決めて、調停が繰り返される。
 約80パーセントは調停開始後6箇月以内に結論が出ている。

9. 調停が成立した場合の効力
 調停が成立すれば、決定事項を調停調書に記載されることになる。
 なお、この調停調書に記載される事項は、本裁判における判決書に相当する。
 その効果は絶対で、確定した判決と同じ効力がある。控訴するとか上告するという不服の手段はない。

10. 調停が終了する場合
調停に代わる審判がなされる場合を除き、話し合いによる解決が見込めないときは調停不成立という措置により事件を終了させる。あとは、最後の手段である訴訟までやるかどうかとなる。
 また、いったん申し立てた調停でも何時でも自由に取り下げることができる。

11. 調停後の届出
 離婚の調停が成立し、調停調書にその事項が記載されたときでも離婚届は必要である。
・ 届出人・・・調停を申し立てた者
・ 届出地・・・夫婦の本籍地又は届出人の所在地の市区町村役場
・ 届出期間・・・調停成立の日から10日以内(遅れた場合は、過料に処せられる)
・ 添付書類・・・戸籍謄本のほかに必ず調停調書に謄本が必要


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