断乳断念日記★
『１週間は母乳を止めてください』医者の一言。
絶句した。自業自得であるが、頭が真っ白になった。
薬が処方される。
吐き気が辛いが、それよりも授乳できないことに対する不安が大きい。
『時期が早くなったと思うしかないやんか』パパは慰める。
『と、いうことは今日のお昼寝の添い乳が最後だったわけ？』
私のきゅうきょ決定した断乳計画であった。
１１月１６日…
そもそもことのはじまりは夜中の体調不良であった。
突然、吐き気はやってきた。ツワリ！？かと思ったがどうも違う。
何度も吐くし…辛い。悪寒もする。
グズる瑞喜を横に、トイレへダッシュ～！！…の繰り返し。
『夜間病院あいとるかな』…時計は夜中１２時を過ぎていた。
パパはお酒を飲んでいたので、『救急車呼ぶ？』と心配してくれたが
はっきりいって恥ずかしい。（←と思える余裕があった）
『裏口から入ってね』
以前お世話になった病院へ電話したら診察していただけるということだった。
パパと瑞喜に同乗してもらい、自分の運転で５分ほどの病院へ。
自分の運転に酔い、さらに悪化。
到着したはいいが、
『カルテが見当たらんのよ』と警備員さん。
うぅぅぅ～早く次の波がくるまでに診察室へ案内してくれィィ。
夜間救急（いそぐ）ではないのか！？…落着いた対応であった（笑）
やっと診察室へ。
その結果…原因は急性胃腸炎…恥ずかしながら何かにあたったらしい。
点滴と筋注をされ、落着いた。
『母乳は副作用が出るからやめてね』
このコトバを大ゴトにうけとってしまった私であった。
母乳だめなんだ＝断乳
方程式をつくってしまい、決意した。
まぁ、歯がはえて痛くなってきたし、夜中も何度もおきるからな…と
楽な方向への誘惑にも負けてきていた私も頭の中でウロウロしてたけど…
瑞喜も１０ケ月になるし…以前から少しは考えていたので
早めの断乳へとなったのだ。
しかし、体調不良ではじめるのは本当に良くない。
一日目はパパの抱っこでグズる瑞喜を寝かしつける事ができたが、
問題は二日目であった。
私の乳房がカチンコチンになり、大きなしこりができ微熱が出たのだ。
悪寒もする。ヤバイ。搾乳も上手にできない。
保冷剤をタオルで巻いて、両ワキにはさんでみた。全くダメ。
さすがに二日目はパパも疲れている。
『瑞喜ねんねだよ～』という声も昨日と違うし…。
私はおっぱいが痛くてイライラしていて、
二人の気持ちが瑞喜に伝わってしまったのか？昨日以上にグズるのだ。
ヘトヘトだった。
三日目の朝に私はとうとうダウンしてしまった。
夫に無理をいって休みをとってもらう。
保健センターの保健婦さんに電話した。
事情を話し、近くに乳房マッサージや母乳育児を奨励している産婦人科を
教えてもらおうと思ったからだ。
折り返し電話がきた。
一番近くて３０分先の病院の助産婦さんが有名らしい。
夫にお願いして連れて行ってもらった。車の少々の揺れさえも
辛いほどの痛み。涙が出そうだった。
『さっき電話くれた方やね、どうぞ』
とても暖かいスタッフさん達でホッとした。まずは問診票を記入。
これまでのいきさつを話、断乳を決めた事を話す。
『乳房をエコーで見ますね』
エコーさえも触られると痛い～。
『あちゃ～こりゃ炎症おこしとるな』とセンセイ。
次に血液検査があり、その後
乳房マッサージをしていただくため別室へむかう。
まずは搾乳をしていただいたが、これが飛び上がるほど痛かった。
両方で１３０ｃｃほど搾乳。嘘のようにすっきりした。
カチコチだったのに…やっぱり違う！
その後、乳房マッサージをしていただく。
『赤ちゃんはいくつ？』
『１０ケ月にもうすぐなります』
『もう断乳するの？』
『…はい。薬も処方されたし…歯もはえて痛いし…えっと…』オドオド…
『ちゃんと赤ちゃんに断乳するお話はしたの？』
『？？？えっと、予定はあったけれど…きちんと話はしてないです』
…１０ケ月の赤ちゃんだし、わからないだろうし…軽く考えていた。
『不安だと思うわよ、赤ちゃん。どうして急にお母さんはおっぱいくれないのかって』
『……』
『母乳は栄養だけではなくて、精神面でも赤ちゃんの大きな支えになっているの』
『…そうなんですね…』
マッサージをしながら、親身に話をしてくれる助産婦さん。
『断乳するのは赤ちゃんがしっかり歩けるようになったとき。さらにいいのは
大人と同じ食事ができるようになった頃が一番やね。』
『でも…まだはっきりわからない今の方が断乳しやすいかなと思ってました』
『おっぱいはナイナイねって言えば、確かに「イヤ」という年頃やけど、
それが大事なのよ。赤ちゃんが自分でおっぱいとさよならできることが大事なの』
『！』なるほど…
『赤ちゃんが何もわかっていないと思わないでね。』
『……』
なんだか瑞喜を思うと申し訳ないやら、せつないやらで気づいたら涙が出てた。
『母子間の信頼はね、将来の赤ちゃんの成長に大きく影響するのよ。
薬はいつ最後に飲んだの？』
『昨夜っきりです。朝も飲まなくちゃいけなかったけど、乳房の痛さで
飲み忘れてました…』
『でも、体調はもういいんでしょ？』
『ですね、胃腸炎はなんとか…吐き気もないし…でも薬の副作用が…』
『もう、全部搾乳して薬なんて無いわよ～。それに全部おっぱいに出るわけではないの。
お母さんのおしっこでも出てしまうんだから』
『え？…そうなんだ…それじゃいつから授乳できるんですか？』
『この後にすぐあげていいのよ』
『！？』
『よし、決まった。断乳の予定で進めてたけど。もう少し頑張ろう』
助産婦さんの一言で決まった。
『乳腺炎のトラブルがあるから、葛根湯を処方するからね。』
そして、母乳育児を頑張り、先々無理のない断乳をすすめるためにこれから
私は助産婦さんと相談して月１回の乳房マッサージに通うことに決めた。
助産婦さんは待合室で待つ、パパと瑞喜にもその旨を説明してくれたらしい。
『今日からまたお母さんのおっぱいもらえるよ。
二日間はね、病気してたからあげられなかったのよ。よかったね』
処置室からボロボロ泣いた顔で出てきた私に
『そんなにマッサージって痛かったん！？』とやや引き気味のパパに
『助産婦さんの言葉に感激した。うぅぅぅ。語りがウマすぎる～。涙を誘う～』と私。
……あきれていた。
炎症がおこっているため週末は診察へ行く事になる。
あんなに断乳、断乳とせっぱつまっていたのは何だったんだろう？
夜中、くだらないケンカもしたっけ…。
パパも私もなんだかおかしくなって
車に乗るとき笑ってしまった。
『一人で断乳、するしないと騒いでごめん。がんばるから。』
あいかわらず調子がよい。
『いいんやけど…俺の二日間は何だったんだ！？…って結局、どっちにしろ体調不良で
母乳あげれんかったか（笑）』
『断乳の予行練習ということで…』
『はい、はい』
来る時のモヤモヤ気分が、嘘のようにすっきりしていた。
しかし、助産婦さんってスゴイな。魔法の手だ！！
乳房がおモチのようになってしまった★（表現がうまくできないけど…）
『これからちょっと遠いけどさ、月１回通うのつきあってね～』
『週末だったらいけるし、ドライブ気分でいけばいいやんか』
途中で見つけたおいしそうなうどん屋をチェックしつつ…
帰路についた。
断乳断念…ま、長い育児生活…壁にぶつかってぶつかって…
有言不実行でもいいではないか（←多すぎだけど）
『しかし、お前って意思弱すぎ』
最後にパパの一言で終わった。トホホ。
帰ってから、グズる瑞喜におっぱいをあげる仕草をしたら
キャハキャハいいながらハイハイしてきた様子を見て
幸せをあらめてかみしめる私。
おっぱいをあげれるって母親の特権だ！
…でも心なしか…この二日間おっぱいあげてなかったし
パパにずっとお世話してもらっていたから
パパにベッタリでコバンザメ状態の瑞喜である。
ママを忘れた…？
★おまけの話★
夜間診療の帰りである。駐車場を出た後にパパがボソリ…
『さっきさ、２階の診察室でた時さ。エレベーター探すのに
はじめ右見てさ、左見たやろ』
『あぁ…見たかも』
『見えんかった？』
『？？？？』
『………見間違えかもしれんけど、でも見えた。』
『何が？』
『左側の病室の前あたり…スーッと子供が走っていった…』
『マジで！？』…吐き気がひどく全くそんな気配に気づかない。
（いや、吐き気がなくてもわかんなかったかも）
ふと車の時計を見ると深夜２時を回っていた。
『病院って怖いよね』
パパは酔いが覚めたようである。
吐き気もひいたよ。
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