あたしはあたしの道をいく

2007.04.10
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カテゴリ: 本@浅田次郎



面白かった~!!!

やっぱ、浅田次郎、好きだわ♪

電車の中で読むのがヤバイくらい、単純かつ下世話に面白かった。



浅田次郎の歴史物ものめりこむように面白いんだけど、

これはもう、単純に「笑え~」て感じで面白かった。



だけど、浅田節は健在。



それも、4巻全部(笑



主人公は偏屈な体育会系小説家。

無名時代の浅田次郎のペンネームそのままだってあとがきに書かれてるけど、

自嘲的にかなり重ねられてるんだろうなって思える節アリ。



下世話ってのは、本当にストレートな表現が多くてさ。

主人公の彼女(って言うのか?)なんか、「パープーお清」よ、「パープーお清」。

どーなの、その「パープー」って表現(笑



ンな表現が随所にあって、笑ってしまう。

これまであたしが読んできた浅田次郎が、固いものばっかりだったから、

この差が何とも言えず、面白くてさ。



でも、そんな下世話なトコも、しっかり考えられてる。



一言一句ゆるがせにできないって明言して修正を拒否するトコがあるんだけどね。

ゆっくり読んでみると、主人公の言葉がこの作品を貫いていることが分かる。




あたし、この本のことを「下世話に面白い」って書いたけど、

一文字たりともゆるがせに出来ないって作家のオーラみたいなのがね、

作品から滲み出してる気がするの。





それから。



この本、最終巻に誰もが認める優秀作と、マニア受けの作品を比べるところがあって、

主人公が、自分でその二つの作品の評価を口にするところがあるの。

優秀作の方は、傾向と対策をバッチリ押さえて書いた駄作で、

マニア本の方は、読んだ人の人生を変える傑作だって言うんだけどね。

もしかして、これって、浅田次郎本人が『プリズンホテル』と、

そのほかの硬い本とを比べて語ってるんじゃないかと思っちゃう。



蒼穹の昴とかって、まぎれもなく秀作なんだけど、

『プリズンホテル』こそ真骨頂、みたいな。



あと、作品自体を離れて考えたことなんだけど。



あたし、こんな感じで本の感想を書いてるけど、

一応、大学時代は赤ペン握って文庫本に傍線引きまくるような読み方してたのね。

それがまあ、ブンガクの研究の仕方だ、って感じでそれはそれで面白かったんだけど。



今のあたしも、小説とか、音楽とか、絵画とかってのは芸術だと思う。

それは赤ペン握って本とにらめっこしてた頃と変わらないんだけど、

それは結果論に過ぎなくて、本来は娯楽だったり、

生活の潤い的な余裕だったりするんだと思う。



ゲンジモノガタリなんて堅苦しい古典の最高峰、って感じだけど、

書かれた当時は「真名(漢文)」の時代なワケで、

「仮名」なんてのは娯楽にしか過ぎなかった筈なのよね。



それが、小説の本来の楽しみ方なんじゃないかなって思う。

受け手側(読者)がそれを、芸術だと言うのは受け手側の勝手だけれど、

それはあくまで結果の話にしか過ぎないんだよな、って。



なんか、この『プリズンホテル』にそんなことまで考えさせられちゃった。

小説は所詮、娯楽にしか過ぎないんだよって。

その娯楽の中に、人生があって真実があって、

それを説教くさく感じさせないのが、傑作ってモンだよって。











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Last updated  2007.04.10 12:36:00
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