あたしはあたしの道をいく

2008.11.18
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カテゴリ: 本@浅田次郎

霧笛荘夜話

浅田次郎の本。



霧笛荘というのは、中国大陸出身の老婆が営む古いアパートの名前。

老婆本人からして、ワケのわからない謎の存在だから、

当然(?)、住人も偽名だらけの謎だらけ。



自殺志願者。

ホステス。

ヤクザくずれ。

オナベ。

ギター弾き。





今はもう、部屋を出て行ってしまった彼らの話を、

空き部屋を求めてやってきた者に、老婆が部屋を見せながらする、という仕立て。



一つ部屋につき1編、の短編形式ながら、

読み進めるにつれて彼らの繋がりが見えてくる。

全くの他人である彼らが、それぞれにお互いを思いやりながら生活している。

隣人との行き来が無い孤立したマンションからは考えられない、

昔ながらの繋がりのようなものが、そこにはある。



登場人物たちは過去を捨てて、霧笛荘にたどり着き、それぞれに昇華していく。

現実味は全然無いんだけど、良いな、こういうの。



日常生活の全てを捨てたくなることって、あるでしょう?

日々の繰り返しに飽きたってワケじゃないけど、



現実にはそんなこと、とてもじゃないけど無理なんだけど。



でも、この登場人物たちは、それをやってしまう。

特に、女性陣ね。

そして、全くの別人になっていく。



ねえ、そんなことがあるって思うだけで、いいじゃない?






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Last updated  2008.11.18 12:36:08
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