INFINITE SKY

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第4話



~第4話~
「部員集め!」


入学してから、6日目

明日から部活動が始まる

赤奈は、珍しく早起きしていた。

時間通りに登校するが

赤奈の頭の中には、ある不安がよぎっていた。


(あの香川ってやつは、なんで俺の事知ってんだ)


教室に行くと、その不安も消えた。
照と香川が、何やら相談していた。

(まぁ、本人に聞いてみるのが1番早いな)

赤奈は、照と香川の相談に割り込んだ。

照と香川は、話に夢中で
赤奈が割り込んでくるまで、赤奈がいた事を知らなかった。

「おはよー!」
照の、明るくかわいい声が赤奈の耳に入ってくる。
「おう!」
香川の、低く太い声も耳に入ってくる。

「あっ、おはよぅ」
赤奈も、一応あいさつを返す。

「なぁ、おっさん!
土曜日以来、赤奈は香川のことを
「おっさん」と呼んでいる。
まぁ、あれだけ低く太い声なら仕方ないだろう。

「ん?なんだ?」

「なんで、俺たちがキャッチボールしてたこと知ってんの?」
赤奈が、香川の目を睨みつけて言う。

「香川先輩は、屋上から見てたんだって!」
赤奈の殺気を感じて、香川より早く
照が答えた。

「あぁ~?屋上?」
照が、窓から指を指している。
「あそこですよね?先輩!」

香川は、意味あり気にニヤリと笑って言った。
「そうだ。」

「嘘は、よくないぜ!おっさん!」
赤奈が、ニヤリを笑いながら言う。
「照とキャッチャボールしたときに、あの屋上にいたのは
変な茶髪の男と、体の小さい丸坊主の男だけだ。」
香川の眉が、ピクっと動く。

「ほぉ・・・」
香川が、笑いながら赤奈の肩を叩く。

「よく見えたな!」
照は、まだ何が何がわかっていない。

「あれは、俺の弟だよ!」
香川が、2人に説明し始める。

「俺の、双子の弟さ!一応、野球部に所属しているがな・・・」
香川の口がにごる。
「去年の怪我以来、練習に来ない。」

「でも、そんな弟がお前らを見つけてくれた!
弟も、部員さえ集まれば野球をしてくれるといっている!
だから、頼む!」

香川が、照と赤奈に頭を下げる。

「先輩・・・」


キーンコーンカーンコーン


ベルが鳴った。


香川は、2年の校舎に戻っていく。
照と赤奈は、自分の席に着く。

昼休み・・・

赤奈と照は、屋上でご飯を食べていた。
お互い、話があまり進まない。

この、緊張の空気の中に1人の男が
屋上に上がってきた。

「す、すいません!」
照と、同じくらいの身長で
多分、1年生だろう。

「神上君と吉永君ですよね?」
少年が、恐る恐る聞く。

「何か用か?ガキ!」
金髪で、ピアスを開けている赤奈が
ちょっと脅かす。

「やめろよ!赤奈ちゃん!」
照が、なんとか赤奈をとめる。

「で、何か用?」
照が、暖かい声で少年に尋ねた。

少年は、おどおどしながらも答えた。
「今日の朝、3人が話してるのを聞きました。」
どうやら、香川との話のことを聞いていたらしい。

「あの・・・僕も、野球部に入りたいんですけど・・・」

少年は、何とか照だけを見ようとしていた。
赤奈を見ると、確実に飲み込まれるとでも思っているのだろう。

「マジ!?」
照が、大声を叫ぶ。

「もちろん!入ってくれよ!」
照が、少年に握手を求めようとした瞬間に
金髪の恐い男が、口を開いた。

「まだ、野球部はないんだろ?」
赤奈は、立ち上がって少年のほうに歩き出した。

「だから、部員集めて来いよ!なっ?」
赤奈が、脅す。

「バカっ!みんなで集めるんだよ!」
照が、少年と赤奈を遠ざける。

「今日中に、俺たちだけで5人!」
照が、満面の笑みで少年と赤奈に言う。

「はぁ~?」
赤奈は、薄いリアクションをする。

「だから~、5人部員を集めるんだよ!」
照は、まだ笑っている。

「なるほどっ!わかりました!」
少年は、すぐさま校舎へと走って戻っていく。

「あっ、名前はっ?」
照が、走る少年にたずねた。

「小林 太一です!」
そう言うと、もう少年の姿は見えなくなっていた。

「早いな・・・」
照が感心したように言う。

「パシリ決定だな。」
赤奈も続けて、感心したように言う。

これで、野球部の部員は4人。
あと、5人でやっと9人そろう。
そして、部員がそろうと
香川の弟も入部する。

みんなが、簡単に思っていた。


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