のんびり・ゆっくりダイエット

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2025/07/24
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二見ケ岡農場

網走刑務所二見ヶ浦農場は明治29年に設置され
刑務所としては日本一広い面積です・・
16,181,266㎡の土地を有効に活用しながら
受刑者に働く喜びを体験させ健全な心身を作ることを目標として
独自の農園訓練規定を設け寒冷農業に取り組んでいます・・





この風景は春の開墾・種まき・夏の草取り・秋の収穫を再現したもので
農機具や馬橇(ばそり)金輪荷馬車(かなわにばしゃ)は
当時の農作業で使用されていたものです・・





全体像をお借りしました・・
これだとよくわかりますね・・





舎房及び中央見張り所(重要文化財)

この建物は木造平家建 
中央見張所を中心に側面から後方に放射状に建つ五つの舎房からなり
間を渡り廊下で接続しているため五翼放射状房と呼ばれています・・
舎房外壁は下見板張で屋根は桟瓦葺でしたが現在は鉄板葺となっています・・
舎房は北から順に第一舎から第五舎とし
桁行きは第1・3・5舎が58.2m第2・4舎72.7mです・・
内部は中央を通る向かい房
第4舎80房と第5舎奥の20房を1.5坪の独居房とする以外は
各棟3坪の雑居房で226房の構成です・・
厚さ7mmの明り取り窓が第1・3・5舎は2ケ所・第2・4舎は各3ケ所付いています・・
壁を破られないよう壁内の柱は雑居房で約30cm間隔
独居房は約21cm間隔で密に立てられています・・





小屋組は下弦材を鉄筋でつないだクイーンポストトラスの小屋組
中央部分は逆Yの字の鉄筋の開き止めを露出させています・・
床は煉瓦敷の土間・房は板敷きで各房の隅に便所用の枠を設け
房内の壁は木摺漆喰塗りで房天井は厚さ15mmの板を張った鏡天井です・・
通路と房を隔てる壁は中央を木製扉・両脇を竪格子・上部に鉄格子付きの窓が付いています・・
竪格子は平行四辺形断面もしくは「く」の字形断面の格子となっていて
換気や暖房に配慮しつつ向かい房同士が見通せない工夫がなされています・・
木製の扉は片開きの框戸で上部に鉄格子付きの視察孔
下部に食器口を設け大型の鉄錠がつけられています・・
房内の壁側は床から1.5mの高さに欄間付き引違ガラス窓で外に鉄格子がつけられています・・

この舎房は明治42年の火災で焼失後
それまでの並列型の舎房に変わって同45年に再建されました・・
放射状の旧網走監獄 舎房です・・









中央見張りを中心に雑居房・独房・鎧格子・矢筈格子といった
独特の建築技法を採用し昭和59年9月まで使用されていました・・
明治時代の獄舎の名残を完全にとどめる舎房としては国内最大規模で
ことに木造では現存する我が国最北端の監獄として学術的に貴重なものとされています・・





中央見張りから5つの舎房がすべて見渡せるようになっています・・





中から見るとこんな感じで見通せます・・









視察孔(しさつこう)

網走刑務所の建物は重警備刑務所として
簡単に脱獄できないように工夫されています・・
舎房扉の鉄格子も破壊が不可能なように二重ボルトで締められています・・
しかし
長い歴史の中でただ一人この鉄格子を破壊し脱獄した人物がいました・・
それが昭和の脱獄魔白鳥由栄(しらとりよしえ)です・・

白鳥由栄は青森刑務所を脱獄(これが初めての脱獄です)
青森刑務所では劣悪な刑務所の待遇に抗議するも
逆に懲罰房に入れられます・・
最初の脱獄理由は「俺の悪口を行った看守を懲らしめてやる」という
軽い気持ちだったようです・・
いじめられた看守への復讐が動機で翌日自首しますが無期懲役になります・・

宮城刑務所・小菅刑務所
1937年(昭和12年)4月白鳥は宮城刑務所を経て
1940年(昭和15年)4月小菅刑務所(現:東京拘置所)に移監されます・・
小菅刑務所では普通の受刑者としての扱いを受けていました・・
その時小林良蔵という看守長に白鳥は心服し模範囚だったようです・・

1941年(昭和16年)10月戦時罪因移送令に基づき秋田刑務所に移監されます・・
脱獄の経験があるため特別房入りの待遇でしたが
高さ3メートルの牢屋の壁には銅板が張られ
天窓があるだけというものでした・・
さらに一日中正座をさせられ少しでも崩すと看守に怒鳴られ
余りの寒さに防寒着を要求するものの拒否され脱獄を決意します・・
1942年(昭和17年)6月暴風雨に紛れて鉄格子を外し天井より脱獄・・
刑務所の工場の丸太を足場にして塀を乗り越えて脱走(2回目の脱獄・白鳥34歳)

3か月後、白鳥は服や食べ物の窃盗をしながら
尊敬する東京の小林良蔵主任に会いに行き刑務所の現状を訴えました・・
小林は芋とお茶を出して話を聞いてくれました・・
小林に付き添われて小菅刑務所に自首・・

収監の期間はさらに延長され難攻不落と言われる網走刑務所に移監
凶悪犯専用の特別房に入れられます・・
時折 看守の態度に腹を立てて手錠を力任せに引きちぎっため
真冬でも夏物の単衣一枚の着用
夏には逆に厚着をさせられるという虐待を受けます・・
20キロ近い手錠や足錠はほとんど外されず蛆が湧いてきます・・
この対応に死を覚悟し脱獄を決意・・

手錠と視察孔の釘に味噌汁を一年間吹き掛け続け含まれる塩分で腐食させ
この過程で手錠のナットを取るために歯を2本折ったそうです・・
釘を外し関節を脱臼させ監獄の天窓を頭突きで破り
煙突を引き抜いて4.5mの塀を超えて1944年(昭和19年)8月26日脱獄
3回目の脱獄・白鳥37歳






その後終戦まで身を潜めていましたが終戦後
畑泥棒と間違えられ農家に袋叩きにされ逆に相手を殺害してしまう・・
1946年(昭和21年)8月10日滝川市近郊で逮捕されます・・
札幌地裁から死刑判決が出たために脱獄を決意・・

札幌刑務所では過去3回も脱獄経験のある白鳥だけに
特別房が用意され・扉・窓・鉄格子・採光窓など全てが補強され
看守6人1組で厳重に監視されました・・
視線を上に向けて誤魔化しながら洗面所から入手した金属片で
ノコギリを作り床板を切断・・
切りくずはホコリと混ぜて誤魔化しました・・
道具は便器の底に隠して看守の取り調べを避けていました・・

1947年(昭和22年)3月31日 床下と土には60センチほどの空間があり
食器で床下から2mほどのトンネルを掘り脱走・・
積雪が足場となり塀を乗り越えて逃走(4回目の脱獄。白鳥39歳)

最後に捕まった際には警官から当時貴重品だった煙草を与えられたことがきっかけとなり
あっさり自分は脱獄囚であると明かし自首しました・
これまで移送された刑務所では度々不良囚として扱われ
およそ人間的な対応をされなかった白鳥は
煙草をもらうという親切な扱いを受けたことで心が動いたと話しています・・
札幌高裁で審理が再開し苛烈な待遇や虐待の事実など
一部白鳥の主張が認められ懲役20年となります・・

連合国軍最高司令官総司令部指令により
専用の貨車を借り切り厳重な警備のもとで府中刑務所に護送されました・・
府中刑務所では白鳥を一般の受刑者と同様に扱ったため
白鳥は模範囚として刑に服しました・・
1961年(昭和36年)に仮釈放・・
出所後は建設作業員として就労・・
1979年(昭和54年)2月24日心筋梗塞で死去しました・・71歳没・・
白鳥は無縁仏として供養されそうになりますが
白鳥が仮出所した際に近所に住んでいて
仲良くしていた女性が引き取り埋葬されました・・





哨舎(しょうしゃ)登録有形文化財

見張り所のことで1880年に内務省が制定した図面に基づいて造られています・・



続く・・


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Last updated  2025/07/24 03:49:41 PM
コメント(9) | コメントを書く


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Re:北海道・道北の旅・・(6)(07/24)  
dreamrose  さん
こんにちは。

網走刑務所ってとてもクラシックで素敵な建物なんですね。
刑務所って感じがしませんね。
今北海道がすごく暑くなってますね。
涼しいうちに行ってよかったですね。(^▽^)/ (2025/07/24 04:29:09 PM)

Re:北海道・道北の旅・・(6)(07/24)  
歩世亜  さん
今晩は。

脱獄するために身を削っての脱獄だったのですね。

犯罪以外に使えばかなり優秀な人材になっていたでしょうね。 (2025/07/24 05:24:01 PM)

Re:北海道・道北の旅・・(6)(07/24)  
いいホテルで良かったね♪
グレードアップだなんて、最高!
食事もおいしそう。

網走刑務所。
しっかり見学したんじゃね。
私、4回北海道行ったけど「あそこが網走刑務所後です」と入り口を2回見ただけかな。
添乗員がしっかり説明してくれたけどね。あの辺りの国道は全部「囚人たちが掘り起こして作り上げました」とか。

暑くなる前でほんと良かったね!



(2025/07/24 06:30:18 PM)

Re:北海道・道北の旅・・(6)(07/24)  
いつもありがとうございます。
独特の全体像ですね。
廊下の雰囲気は見覚えがあるけどゴールデンカムイに出てたのかな
(2025/07/24 06:49:16 PM)

Re:北海道・道北の旅・・(6)(07/24)  
chiichan60  さん
今晩は。

網走刑務所の事をこんなに詳しく教えてくださってどうもありがとうございます。
北の地に網走刑務所があったという事しか知らなかったですが、昭和の脱獄魔白鳥由栄(しらとりよしえ)の事は全く知らなかったので興味深く拝読しました。

この知恵を何かほかの事に向ければすごい人になっていたんではないかと思うほどです。
建物内部や外観などよくわかりました。

いいねをしていきますね。 (2025/07/24 06:58:46 PM)

Re:北海道・道北の旅・・(6)(07/24)  
きらら ♪  さん
昭和の脱獄魔 初めてしりました。
こんな人がいたのですね。それにしても何度も脱獄を成功させるなんて、すごいです!感心してはいけないかもしれないけれど。

この夏は、網走辺りも40度とか!
暑すぎますよね。冷房を設置しない地域だといいますから
ほんとうに、大変でしょうね。 (2025/07/24 08:32:47 PM)

Re:北海道・道北の旅・・(6)(07/24)  
naomin0203  さん
放射線状に立てられた舎房、すごいですね。
歴史的建造物です。

昭和の脱獄魔白鳥由栄のお話、まったく知りませんでした。
すごい話があったのね。
それも事実。

脱獄に変える執念、すごすぎる。 (2025/07/25 04:10:38 AM)

Re:北海道・道北の旅・・(6)(07/24)  
エンスト新  さん
こんにちは
今でも同じような形は東京にある小菅拘置所にも活かされていますね。 (2025/07/25 02:30:48 PM)

Re:北海道・道北の旅・・(6)(07/24)  
網走刑務所・・やっぱり実物が見たいなあとあらためて思いましたわ

素敵なところと言ってはいけませんが、建築物としては魅力的なところですね

脱獄するということが抗議のためだったのに無視されたんですね
そしてよりひどい扱いをされた・・
昔はそういうことが当たり前だったのでしょうに・・
人間扱いされないというか・・

今でも時々そういう事件が起こっていますから・・ (2025/07/25 05:55:56 PM)

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