何をしているんだろう

お母さんシリーズ3



  今年38歳になったばかりの彼女から、ちょっと憂いのある書き方の
 メールが届いた。「大分悩んだけれど、自分のような生き方をする女
 性(ひと)がいても良いと決心しました」と始っていた。現在、小学
 1年生の女の子を頭に、年子の男の子、年少さんの女の子、オシメが
 取れたばかりのお嬢さんの4人のママだ。
  出会ったときから、物事をはっきりとした口調で言い切り、受けた
 話は淡々と必ずやりきる。その爪の垢をもらおうかと真面目に思う女
 性だ。同じ勉強会で同じグループに入り、夜遅くまで、話し込むのは、
 いつものこと。知り合ってから間もないが、お互いをよく知っている
 と言える一人だ。

  ご主人は単身赴任。保育園に預けたい希望と、元来仕事好きだった
 ことから、自宅でネットワークビジネスのまとめ役を始めたのが6年
 前。子育て真っ最中のフットワークは電話とネットで賄い、時には、
 車にお子さんを乗せて、20名ほどのグループをまとめている。来春は
 一番下の子も保育園に預けて、自分の時間を充実させようと算段をし
 ていたときのご懐妊。メールの行間に憂いが漂うのも無理はないかと
 思った。SOHOの定義が「家が仕事場で規模が小さな仕事」ならば、彼
 女も立派な経営者だ。仕入れを管理し、経費を抑え、利益率と次の戦
 略を読みながら、自分で月次決算まで出していた。

  そんな彼女は、この頃、地域の子育て支援サークルを立ち上げる、
 お世話役を買って出て、仲間と邁進していた。テーマは「地方の子育
 て支援の充実」。地方都市の近くであっても、田舎の部類に入る住む
 まちで、子育てを支援するってなに?どういうこと?から考えていた。
 ご主人の単身赴任が、2006年まで延長となり、妊娠がわかった今。彼
 女がこの支援を一番必要としてる住民なのだと、関る全ての人が実感
 をし、リアルタイムの意見を出せる住民スタッフとして、より深い参
 加を乞われたという。思いがけないことに、彼女が喜んだことは言う
 までもない。

  手始めは、意見を吸い上げるWEBサイトを作るとの、相談を受けた。
 プロが作るのもいいが、関る人が見栄えより思いを持って作った方が
 良いものができるよと提案した。無駄に見えるが、遠回りの時間が、
 立ち上げには大きな意味を持つ。妊婦であることを「これも一つの資
 格よね」と言う彼女。やっぱり最初(プレの時代)から関ることが大
 事だよねと、5回目のプレママの姿を見て思った。



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