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月村了衛 0
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W県警の悲劇【電子書籍】[ 葉真中顕 ] WというのはwomenのWだろうな。 県警監察官から出世の階段を上って警視正になり生活安全部長になった女性の話。 その間、いったん退職しながら再雇用される女性警察官やら本部暴対課の課長補佐の娘の警察官とか、様々登場してきて、まさに、W県警が坂道を下る状況が描かれている。 警察不祥事物語としても実に面白い内容だ。 だから、校正とか考証が必要なのだ。 そもそも生安部長が自分の車で捜索現場に赴くなどということは考えられない。 事件を送致しておしまいでは警察が第一次捜査機関としての責任を全うできない。 マル暴に対するガサ入れで撃たれるようなへまはしない。 女の子の行方不明事件を生安だけでするわけがない。 全署員体制だ。 その辺のリアルが欠けてしまうと、せっかくの警察不祥事も活き活きしない。 ただ毎度書いているけれど、この作家の筆力は素晴らしい。 おそらく彼女の取材源は、ありとあらゆる警察関係の書物なんだろうが、そこから先に行きついていない。 まさに百尺竿頭一歩が彼女には必要なんだと思う。 この辺の校正、考証をきちんとしてくれるマネジャーとか編集者がいないんだなということも彼女に関しては言えよう。 ん? 誰が彼女だって? そういやあ彼女、性別不明だったかな。(5/8記)
2024.07.29
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絶叫【電子書籍】[ 葉真中顕 ] これまた600ページ近くの大作。 すごい力量のある作家だね。 まだその謎のヴェールがはがされていないので、軽々に話すことはできないが、それでも本作は見事なミステリー作品だった。 それもこれも話を二重に三重に緻密に包み込んだゆえの結果で、話が600ページ近くになることは自明の理と言えようか。 これだけの大作読み終えてさぞ疲れたろうと言われそうだが、そんなことはない。 本作からミステリーの要素を除去したら、ある女の不幸な一代記で、不快そのものという評価になろう。 そこに鈴木陽子を追う女刑事がひたひたと迫るという設定だから、その辺も実に見事だ。 こういう話こそ映画化してほしいものだなと思う。 見た目には普通の家庭、しかしもうどこかで崩壊している家庭、そのような中で生きてきた陽子という女の戸籍遍歴を見れば、素人でも、うんこれは保険金殺人だという事に気付くだろう。 しかし日本に47の警察があるということは、本作のような事件を複雑化している。 いみじくも鈴木陽子が作中話している通り、違う警察の管轄で交通事故に偽装した殺人をおこせば、そう簡単にばれることはない。 まあしかし、よくよく材料を吟味してみれば、個人の異動識別など現代の科学捜査において間違うことはない。 そこを多くの作家は見逃している。 鑑識係も科捜研も本気の職人たちだ。 与えられた材料を決して見紛うことはない。 だから、鈴木陽子の犯罪は絶対にばれるということだ。(4/18記)
2024.07.10
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Blue(ブルー)【電子書籍】[ 葉真中顕 ] 本作は500ページ超えの大作。 それでも何とか読了できたのは、この作家の筆力の高さにある。 ただ、最後がドタバタしてしまった。 Blueは果たして死んだのか生きたのか。 最後くらいもう少し人をだますような書きっぷりじゃなくて、しっかりと読後の余韻が残るような書きっぷりにしてほしかったと私は思う。 それはともかく、うまく平成という時代をなぞることに成功した作品だった。 今、令和、もう平成すら昔のこと、古くなってしまったんだなと驚いている。 無戸籍、家庭崩壊、一体この国はどこへ進もうとしているのだろうか。 そんなことが見え隠れする作品だった。 前読、野比先生の、OFF、でも書いたが、少年事件は実に難しい。 法的解釈が年齢との競争になる。 Blueの犯罪が何歳の時だったかということ。 そこを無視して話が進めば、本作は崩壊する。 それだけ少年事件は難しい。 本作は、現実に起きてしまうような話だった。 つまり吾々はそのような、いつどこで殺されてしまうかわからないような危険な世界の中に生きているということになる。 そういう現実的な恐怖こそホラーじゃないのか。 世の中の不条理を一生懸命書きまくってくれた著者に、一種の拍手を!(4/15記)
2024.07.08
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コクーン【電子書籍】[ 葉真中顕 ] とにかくすごいストーリーテラーだ。 話は一筋縄で終わらない。 単純なミステリーの話ではない。 時間軸とかも含めた、信仰、宗教の話。 本作によれば、オウム真理教とは別のシンラと呼ばれるカルト宗教があって、これがオウムが仕掛けた同時期に、機関銃乱射のテロを犯す。 この二つのテロは、違う世界を舞台に起きた、という話だけれど、そういう結論に至るのは、最終盤だ。 その間、かなりわかりずらい人間関係が羅列されていく。 もとより私は、その人間関係を覚えようなんて気持ちはさらさらない。 勝手に話よ進め!というわけだ。 それでもきちんと最後話が収斂されていったからこの小説家の並々ならぬ筆力を感じる。 だから私はあえてこの葉真中顕という作家をカテゴライズした。 本作を読んでいると長編大作の抒情詩を読んでいるかのごとき錯覚に入る。 キーは、黄金の蝶ですな。 この蝶魔がそちこちを飛んで昔の記憶をたどったり今の夢に出てきたり、まあ、はっきり言って時間軸はバラバラで、章題に年号があるから何となく時間感覚を感じるわけだけれど、この話をしっかりグリップするのはとても難しいことだ。 それでも本作に魅力を感じるのは、その筆力の能力が常識を超えていて、この話を理解できない私が悪いのだと思い込めるからかもしれない。(4/8記)
2024.07.01
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。。ロスト・ケア【電子書籍】[ 葉真中顕 ] 傑作。 そして、私がこれまで度々書いてきた、原作VS.映画の論議を再燃するもの。 つまり映画は、夕顔絵夢二郎の江戸ハプ日記 240219 口ストケアのとおり既観だった。 そこで問題視したのは、長澤まさみの役不足、違和感だった。 なるほど、そうか、本作のヒーローたる検事、大沢は、男性だった。 これじゃあ話があらぬ方向に飛んでゆくよ。 本作で訴えたかったことは複雑で、映画で表現したうすっぺらなことではなかった。 まず大沢がクリスチャンだということ。 それゆえ、性善説に与する。 そんなのが検察官になったのだから大変だ。 佐久間という友人がいて、高校時代バスケを一緒にしていたが、最終戦最終盤佐久間の苦し紛れの投球を 受けとった大沢はそれを善意にとらえ、シュートして、逆転勝利につなげたのだった。 こんなのが映画では全く表現しきれていなかった。 ここは大事なところだったと私は思う。 さて、本論。 本件殺人の真意。 果たして殺されていい者などこの世にいるのだろうか。 邪魔者がようするに要介護者が殺されていいものかどうか。 43人は殺しすぎ。 しかし家族が望めばそれもありか。 原作は映画より深く今回も原作の勝ち。(3/26記)
2024.05.22
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