濫読屋雑記

濫読屋雑記

2008年01月07日
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カテゴリ: 手に取った本
みなさま、お久しぶりです 。そして、 新年おめでとうございます 本年も、鬱と戦いながら、また~りと自分のペースで生きて行きたいと思っております

それにしても、何ヶ月ぶりの更新となったのでしょうか?去年の8月あたりから書いてないような気がするので、半年近く放置していたのか!鬱と気に食わない同僚との闘いと、自動車での通勤による脳の磨耗で家に帰ってからはただ食事してダラリとテレビを見たり。パラリと本を捲ったり、調子の良い時は書を書いたりして、日付が変わる前には寝るという何とも健康的な(精神は荒み切っていましたが)生活を営んでおりました。

で、何で今日更新しようかと思い立ったのは、一つ、正月明けたら絶対にブログを復活させるぞと、仏前と神前で誓ったこと。二つ、今日、ようやく我が家に光ケーブルが到達し、開通したという喜ばしき事があったからです。ちなみに今日は図書館は休館日。定年退職した父親と一緒になって工事とインターネットの接続作業を見守り、自分で無線LANをセッテングしてこうして気分晴れやかにブログに書き込んでいる、という状況なのであります。

さて、私事はこのぐらいにしておいて、本のお話を少ししましょう。今日紹介する本は、 佐野絵里子 さんが描いた漫画『 たまゆら童子 』(2004年、リイド社)です。



佐野さんの漫画は、敬愛する 森薫 シャーリー 』の新作が載っていた『 雑誌 コミックビーム「フェローズ」Vol2 』の中にあった『 嵯峨野の月影~竹取物語絵伝 』という短編作品で、その絵風に引かれていたのですが、去年、偶然にも新しくオープンしたあおい書店名古屋本店で、この絵風に良く似た本が面出しで売られていたので、即買いこんで読み込んだという一冊です。(ご覧のように、表紙からも綺麗で且つ繊細な絵であることがお分かりいただけるかと思います。本の中のカラーページも見事です。)

さて、購入してさらに全三巻そろえて読んでみると、本当に独特な雰囲気を持った鳥獣戯画の流れを引き継いだともいえるような、「純日本」製と呼べる絵巻物的な雰囲気さえ漂う一品だと感じました。まさしく絵巻物を思わせる画面構成に、作者自身が丹念に選んだ面相筆によるシンプルな線の画線美。そしてそこから生まれる漫画の体裁を整えながら、決して漫画に収まらない佐野さんの独自の作風。三巻しか出版されていない、というか終わってしまっているのが惜しい、もっと読みたい、眺めたいと思う作品です。

さて、そんな佐野さんの描く作品の主人公は、この世のものではない不思議な童子さま。その童子が、平安京の御世から鎌倉時代初期にかけての京の都を舞台に活躍(?)するお話です。登場人物も多彩で、都の一庶民から牛飼い童、侍、女人、さらには、歴史上の人物、紫式部や清少納言、藤原定家に小野道風、平清盛、変わったところでは安部清明まで登場します。さらに、菅原道真の都の館にあった梅の精や比叡の山の御神猿、さらには八百万の神様までお出ましとなるスケールの大きさ。ファンタジーの要素もたっぷりと加味されています。

では、少しながら私の好きなエピソードを二つほど取り上げてみましょう。

一つ目は、二巻目に収録されている「 梅の淡雪 」。これは、先に紹介した菅原道真の都の館にあった梅の精が、怨霊となって都人に恐れられているのを嘆き悲しんでいるところへ童子がやって来て、梅の精を道真が配流された大宰府まで一緒に連れて行くというお話です。天神様として、書の神様として崇められる道真と梅の精との関係を題材としたほんわかとなるお話です。

二つ目は、同じく二巻目になるのですが「 水鏡 」。小野道風と藤原佐理とのおはなしです。若き頃から家柄に恵まれず書、一筋に励んで、老いてついに昇殿(宮中に正式に上がる事)栄誉をてにした道風が、同じく昇殿した藤原家の佐理の若く才能溢れる書を見て、己を何度も何度も飛び上がってやっと柳の枝にしがみ付いた蛙と嘆き、佐理を苦も無く柳の高みに燕に例えて、努力とは何ぞやと、己に問いかけている場面に、童子が現れ、佐理とて燕の雛のように最初から飛べたわけではないと、水鏡でその幼き日の姿を見せるというお話です。日本の三筆として称えられる和様の書を作り上げた小野道風(おののどうふう)と、それを受け継ぎ独自に昇華させた藤原佐理(ふじわらのさり)。書を書いている私にとって、どれも心に引っかかり、筆を持つ時にフッと思い出してしまうエピソードです。

このように、 この漫画の世界観は、とにかく読んでいくうちにいつのまにか引き込まれていくような感じで、多く語りすぎず、舌足らずでもないという読み手が最も心地よく思える、ちょうどよい表現だと思います とにかく、この漫画の世界観というか、雰囲気は本当に心地よいものがあります。日本人なら、この雰囲気に馴染んで魅了されてしまう人が多いと断言できます ですので、一度は読んでみることを是非におすすめします






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最終更新日  2008年01月07日 21時16分07秒
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