寒さも 和らいだらと思ったら また寒くなるようですね 。やれやれです、。ところで、私の勤めている高校の学校図書館では今、3年生の担任や3年生の教科を主に持っていた先生方が、本を借りにやって来ます。その理由は、3年生が自宅学習に入り、成績入力や卒業に関する諸作業にひと段落ついて、暇ができたからです。そこで、忙しくて本が読めなかったこれまでの分を取り戻すかのように、本を借りて読んでいます。東野圭吾や宮部みゆきなどが人気作で、よく借りていかれますね。ところが、 生徒の貸出は、前回書いたように伸び悩んでいるのが現状 。 今年度は、年度当初に些か飛ばしすぎて、この時期になって図書館の活動に少々息切れ、或いはマンネリ化が出てきたのではないかと愚考しています 。 と言っても、ネタは出し切ったし・・・。来年度は、もっと緩急をつけた図書館活動の計画を練らねばならないと、年間反省を書きながら思った次第です 。
さて、そんな反省を踏まえて来年度の新入生、図書館オリエンテーションで活用しようと購入したのが、 モーリーン・サワ 文、 ビル・スレイヴィン 絵、 宮木陽子 訳、 小谷正子 訳『 【送料無料】本と図書館の歴史 ラクダの移動図書館から電子書籍まで 』(西村書店、2010年12月)です。
【送料無料】本と図書館の歴史
ラクダの移動図書館から電子書籍まで
』の内容紹介と解説に入っていきましょう。まず、この本の作者の モーリン・サワ
さんなのですが、この人、 図書館司書
なのです。 カナダ・ハミルトン公共図書館の公共サービス、および地域振興担当責任者で、カナダ児童書司書協会会長という立派な経歴をお持ちの司書さんなのです
。 そんな方が書いた、本と図書館の歴史とは一体どのようなものなのか、読む前から興味深々で表紙めくりました
。
さて、この本なのですが、大きく分けて5つのパートに分かれます。第1章が「 古代図書館の誕生 」、第2章が「 破壊と崩壊の暗黒時代 」、第3章が「 印刷機がもたらした黄金時代 」、第4章「 新大陸へ 」、そして第5章、「 バック・トゥ・ザ・フューチャー 」となっています。そして、最後に「 インターネットで調べてみよう 」という、インターネットで家にいながら世界中の図書館のことを調べられることができるので、その中から優れた図書館、 大英図書館 や アメリカ議会図書館 、日本の 国立国会図書館 などのサイトを紹介した部分に分かれています。
それでは、第1章から紹介&解説を進めていきましょう。第1章の「 古代図書館の誕生 」では、かの有名な古代エジプトの アレクサンドリア図書館 が取り上げられています。 アレクサンドリア図書館 が最も古い図書館ではないのですが、まぁ、皆さん承知の通り最も有名な古代の図書館であることは疑いないところでしょう。この図書館に、エジプトの支配者たちは、本、今の本とは違って巻子本(かんすほん、つまり巻物)をアテネ等の重要都市から借りてきては、写字生に書き写させ、図書館に所蔵しました。また、アレクサンドリアに寄港する船を拘束・臨検し、巻子本があると押収して書き写すという事までしました。そして、その書き写した間違いだらけの写本を持ち主に返却して、原本はしっかり図書館に収蔵するということまでして蔵書を増やし、その数はやがて40万冊にもなりました。こうして、当時の知られた本を収蔵することができた アレキサンドリア図書館 は、様々な学者や研究者が利用することになり、その結果、優れた研究成果が生み出されていくこととなります。
勿論、古代にもアレクサンドリアだけではなく、他にも図書館はありました。紀元前1700年には、 ハンムラビ王 が ボルッシパ図書館 を作っています。この図書館に所蔵されていたのは、粘土や石の書字版で、その中で、最も有名なのが「 ハンムラビ法典 」です。これらは、もろいパピルス紙ではなく石版に刻まれていたため何世紀も記録が残されてきました。また、古代ギリシャには アリストテレスの図書館 がありました。これは、ギリシャ世界で最も知られた初期の図書館です。この図書館では、学生が誰でも手軽に利用できるように、アリストテレス哲学学校の中にあったと考えられています。そして、アリストテレスの死後も、長期間、その規模や重要性が書き記されるほど大きな図書館でした。また、アリストテレスはエジプトの王たちに、書物を集めて分類する方法を教えました。当時の巻子本は、今日の本と違って書名や著者名を記す背表紙がありませんでした。そこで、アリストテレスはなんらかの巻子本を系統立てて分類する方法を考案したのです。その内容は、現在に伝わっていませんが。
このようにして発展してきた図書館は、ローマ時代にも受け継がれます。 ローマ時代初期の図書館は、アリストテレスの図書館のように個人の蔵書によるものです 。作家や哲学者、知識人は大抵が多くの書物を所蔵していました。 個人の蔵書はステイタス・シンボルだったので、友人や同僚には自由に利用させました 。しかし、このような図書館に関しては、戦争や天災によって図書館そのものが消失したため、当時の記述などの間接的情報でしか知ることは出来ません。ところが、考古学というのは素晴らしいもので、なんと当時の図書館が発掘されたのです。これはかの有名な ユリウス・カエサル の義父、 ルキウス・カルプルニウス・ピソ という人物が所有していたものです。 ピソ は、ヘルクラネウムという町に住んでいたのですが、彼の死後、西暦79年にベスビオ火山の噴火によって ピソ の住んでいた大邸宅もろとも図書館が深さ30mの泥や溶岩の下に埋没してしまいます。ところが、そのおかげで自然災害や風化から守られ、1700年の半ばになって発見されます。そこからは、 様々な遺物ともに木製の書棚と本箱が発見され、その中に何とパピルス紙の巻子本が1800冊もあったのです 。現在、これらの巻子本の多くはナポリの国立考古学研究所に展示され、とくに傷みの激しいもの、中には完全に炭化して判読不明なものもあるそうですが、について、研究者がデジタル映像技術を用いて判読しようとしているそうです。
この ピソ の図書館は個人の所有でしたが、義理の息子の カエサル は図書館をより多くの人に利用してもらいたいと考え、暗殺される紀元前44年の少し前に、大きな図書館を2館作り、一般に公開する計画を発表します。1つはギリシャ語の、もう1つはラテン語の書物を所蔵するためでした。この計画は、 カエサル の死後に一旦中断しますが、紀元前39年には、ローマで最初の公共図書館が誕生します。 この図書館の驚くべきことは、今日の我々が利用する公共図書館と同様に、専門書よりも文学書が主な蔵書だったという点です 。読書は、ローマ市民がゆったりとくつろいで、時間をつぶすためのものでした。ローマの公共図書館の多くが都市の公共浴場に設置されていることからもそれが窺えます。当時の公共浴場は現在のコミュニティセンターのような場所で、運動室やゲーム室、ミニコンサート室など、市民のストレスを解消するのに必要なものが何でもそろっていたのです。
このように、 カエサルの時代に始まった、庶民に図書館を利用させるという発想は、これまでにない新しいものでした 。 古代世界で、知識の探求がいかに大切に思われていたのかを示すものでしょう 。しかし、ローマ帝国は不幸にも西暦200年代に衰退し始め、476年に崩壊します。その結果、ヨーロッパでは文明が衰え、ギリシャ・ローマ時代に生まれた学問の多くは失われてしまいます。読み書きする人も少なくなり、学問が軽んじられ、ほかの多くの文化施設同様、図書館も姿を消し始めます。「 暗黒時代 」の到来です。
このような感じで、 各章ごとに詳しく本と図書館の歴史がわかりやすく解説されたこの本は、 「 図書館は何ぞや 」 という質問に答えるのに最適な本だと思います 。 とくに挿絵がすべてカラーで見やすく、本文のほかに記憶媒体である紙や本、活版印刷などの豆知識が紹介されているところも魅力です 。 という感じで、今日は第1章の紹介をしてみましたが、どうにもまだ、この本を紹介したいという欲求が収まらないので、次もこの本について書いていきたいと思います 。
『死神を食べた少女』のお話 2013年02月21日 コメント(2)
『ハクメイとミコチ』小人たちのフツーの… 2013年02月08日
久々の更新は『図説英国ティーカップの歴… 2012年11月29日 コメント(2)
PR
コメント新着
カレンダー
キーワードサーチ