俺とユーロとC.D.と・・・(何

第9話『友達として・・・』



いつまでも、友達でいようと約束した心菜。

正直に「好きだ」と、改めて私に言ってくれた泰斗。

そして私の幸せの日々は、幕を開ける事になる・・・。


ある日、いきなり心菜からのメールがやって来た。
それもたった一行で・・・。突拍子も無くやってきたモノだから
私も思わず慌ててしまったのは当たり前なのだが。

『今度の日曜日、空いてる?』

いきなり何を言い出すかと思えば・・・と、カレンダーを確認してみる。
幸い日曜日は空欄で、未だ何も予定が入っていなかった。
私は確認した後、そっと微笑みながら「OK」と返信した。

「私は、本当に心菜と、また親友になれたんだよね・・・」

あの時、突如として私に話した心菜の告白。
そして、私をも恨んだという心菜の強い恋心。

でもいつでも、元気で明るく笑っていられた心菜・・・。

考えただけでも、今の心菜は私によってそこまで人生を曲げられて
しまったんだなぁと、多々後悔する事があった。
やはり私に譲ってくれたとは言え、以前として心菜は心の底では
負けたくなかったっていう恋心があるのかもしれない・・・。

私は、ちょっと不安になった。

そう言っている内に一週間はあっという間に過ぎ、例の日曜日がやってきた。
何処で待ち合わせという言葉さえも聞いていなかったので、私は更に
不安になっていた・・・。

ピンポーン・・・

インターホンの音がしたので、思わずドアを開けてみる。

『はーい・・・』

と私が声をかけてみると、そこに立っていたのは心菜だった。

『ん、久しぶり~。元気にしてた?』

『元気にしてた?って、してなきゃここにいないじゃん・・・』

『いや、でもさぁ、何となくこういう時って言ってみたくなるんだよね。何故か。』

『まぁここで立ち話ってもアレだから、とりあえず私の部屋で・・・』

とりあえず心菜を家に呼び、私の部屋へと招待する。
久しぶりに出会った心菜。過去のどんな時の顔よりも、今が
輝いて見えていた。

『でね、その本題ってヤツなんだけど・・・』

本題?じゃあここで遊ぶ訳じゃないの?と何故か疑問が多く残る私。
まあ考えていても仕方が無いと、純粋に心菜の話を聞く。

『実はさぁ、卒業前までに二人で沢山行った場所に、
もう一度でいいから、行ってみようかな・・・なんて思っててさ。』

『・・いや、別にいいんだけど、何故唐突にそんな事を?』

『実はね、あの時からやっぱり泰斗君の事を考えていて、
どうしても今のように素直になれなかった。
だから、もうちょっと明るく振るって、せめて飛織の前では・・・って
ずっと思ってたの。』

『心菜・・・』

私は改めて心菜に感謝しなければいけないのかもしれない、と思った。
確かにあの時の心菜はいつにも増して明るく、元気に振舞っていた。
でもその裏では密かに泰斗との話を続け、私について携帯とかで
ずっと話し続けていたらしい・・・。
私はどうお礼をすればいいのか、分からなくなった。
そこまでやってくれた心菜に、少しでもお礼をする方法は無いのかと、
私は必死になって探し続けた。

『・・だからね、また親友になれた証として、
  もう一回でいいから行かないかな?って事で・・・』

心菜らしい提案だった。いざという時は行動に表して
いつでも私をリードしてくれる心菜からの、お願いだった。
私はお礼として、心菜と最大限に付き合ってあげれば
何とかなるよね・・・と、自分に言い聞かせた。

『いいよ。別に断る理由だってないし、
   私達は、昔から親友・・・でしょ?』

ちょっと弱気ではあったけれど、心菜に押されて生きてきた自分なんだから
今だけはと、自分に自信を持って私は言った。
これだけで本当に気持ちが伝わったかどうかは分からない。でも、
せめてものお返しを心菜にしてあげたいと、私は思っていた。

『・・・うん!じゃあ、早速行こうよ。』

『んもぅ、気が早いなぁ、心菜は・・・』

そんな会話を交しながら家を出る。外はいつもの見慣れた風景が
広がり、幼馴染だったあの時を思い出す。
そんな間もなく心菜に引かれ、私は前にも行ったあの道、この道を
心菜と一緒に歩いていた。


『中学の時は、ここも良く歩いてたよねー。』


そう言って歩いている場所は、中学生の時に利用した通学路。
心菜と一緒に登校したあの日々は、今でも忘れられない、日常の中に
見つけた宝物だ。

『あー、そういえばここで心菜が転んだっけ?一回。』

『嫌だなぁ、そんな昔の事思い出させないでよぉ~』

『いや、だってさ、思いっきりあそこでズテッ!っていったのが未だに忘れられなくて・・・』

『今となっては思い出として話せるもんねぇ~・・ふふっ』

毎日が楽しくて、嬉しくて、幸せだった。
卒業式を目前に控えた一ヶ月前の大変動までは、私も心菜も
同じ親友として、ずーっと付き合っていた。
どんな時だって心菜がいればやる気が出てきたし、心菜の笑顔を見るだけで
私は本当に「生きていて良かった」と思えた。
だからこそ、今でも掛け替えの無い親友として、私と心菜は此処にいる。

『そう言えば、こんな裏道も良く通ったよね。』

『コッチは小学生の頃以来だね。結構昔は使ってたっけ?』

『昔ながらだけど、そこら辺のモノとか拾って良く遊び道具に
してたもんね。懐かしいなぁ・・・』

『枝の先っぽにタバコの箱付けて何故か遊んでた時期があったねぇ~・・』

『あぁ!アレかぁ・・・アレはアレである意味面白かったよ。』

『ある意味!?じゃ、じゃぁ、本当はどう思ってたワケ~?』

『そそそ、そんなに顔を近づけないでよぉ、心菜ぁ・・・』

『・・ふふっ、うっそーん。でも、これはこれで楽しかったね。』

どんな時も一緒にいてくれた心菜。勿論遊ぶときだって
何をして遊ぶか、どんな風に遊ぶかという細かい事まで
私とずーっと考えてくれていた。やっぱり心菜は何にも換えられない
「親友」という名の宝物であるという事を、改めて実感した。

やがて裏道を越え、国道に戻ると街並みが見えてきた。
イマドキと言えばそんな感じの、女子高生や女子大生の笑い声が
ひたすら響くこの街。昔ながらの風流を残しつつも、現代の文化との
融合を果たした、というイメージが見受けられる。

『街だねぇ~・・・卒業式前は、ココにも結構来たっけ?』

『以外と場所探しっとか言いながら、やっぱり頼るべき場所は
この街が多かったねぇ。結局街がいいかな~?みたいな。』

『色々お店とかあるもんねぇ、ここら辺は。
家の方がアレって事もあってか、この街には世話になったね。』

街はやはり住民にとっての「助け」だった。
様々な店舗が揃っており、いかなる時でも商品が買える。
そして、どんなに欲しいモノであろうと、お金さえあれば買う事が出来る。
現代では当たり前だけど、昔は絶対そんなの無理だったよね~・・・なんて
私は考えていた。

『あ、そうそう!街と言えばアレだよ、アレ!
飛織~、もう一度、あそこでプリクラ撮ってかない?』

『あぁ~、良いねぇ。それじゃ、行くとしようかっ。』

心菜の提案に思い切って答えた私。この時の心菜の期待に膨らんだ
パーッとした笑顔は、いつ見ても綺麗だ・・・。
そんな心菜を見つめながら、再びプリクラがある場所へと向かった。

何時も通り、笑顔とピースで思いっきり近づき、心菜と写真を撮る。
この時の心菜の顔は、非常に可愛らしげで、また明るかった。

『・・・お、今回も好調!って感じだね。
一発でここまで綺麗に撮れるのは滅多に無いんじゃない?』

『・・んー、そうだね。美化する必要も無いってくらいに
心菜が綺麗に写ってるよ。』

『え、私?な、何でそんな私ばっかりぃ・・・。
飛織だって、いつものふにふに感と可愛げが綺麗に表れてていいと思うよ。』

『ふにふに感って、またふにふにする気なんでしょ~?』

『・・・え、バレちゃった?えへへへ・・・。』

そんな会話がまた続く。
今回もまた、ここで撮った二人の笑顔は、掛け替えの無い
永遠の宝物となるだろうと、私は笑いながらそう思った。

『・・・あ、気がつけばもう5時!?』

『早かったねぇ~・・・昔の場所ばっかり行ってたらもうこんな時間かぁ。』

『・・じゃぁ、心菜の家まで送って行こうか?
どうせ私、帰ってもあまりやる事ないからさぁ・・・』

『・・・そ、そう?
じゃぁ、お言葉に甘えて・・・っと♪』

ルンルン気分で家へと向かう心菜。
明るく元気で、可愛く綺麗・・・そして、どんな時でも
一緒にいてくれる、掛け替えのない親友・・・。
やっぱり心菜がいなきゃ私は生きていけないと、改めて実感しつつも
私は心菜の持つその「強さ」にただただ感激していた。

やがて、心菜の家に着いた。
どうせならお茶でも・・・と心菜は言っていたが、私も
家に帰らないといけないし・・と、ちょっと拒んでしまった。

『・・・ん、そう。じゃ、また今度ね~♪』

『そうだね。今度は、もっと色んな場所に行こうね!約束だよ!』

『・・うん!飛織がそう言うなら、今度はもっと行っちゃうぞ~!』

『じゃぁね~!』

・・・明るく手を振り、笑顔で見送った私。
心菜がいたから、心菜がいるから出来るこの笑顔。
やっぱり私は、いかなる状況下でも心菜がいれば頑張れると
改めて胸にその志を伝えた。



・・・心菜がいて、私は本当に幸せだよ・・・





番外編その2っ!昨日風呂で考えたネタをそのまま書いてみました(^^;
因みにこれまでのアレンジと違い、コチラは完全オリジナルですよ、えぇ。
ただキャラの性格が微妙に異なってます^^;つーか飛織ちゃんが微妙にハジけてるよ!(何
心菜ちゃんの方は個人的にそんな雰囲気がしたのでそのキャラ性でいってるのですが、明るすぎたかも?^^;
何はともあれ「会話」がメインになってしまいました・・・。しかも下手だしorz

2006年5月7日製作


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