バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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カテゴリ: アート

 今回の展示には、結構好きなテイストの作風が多く、絵の具のかすかな匂いが「久しぶりに濃ゆ~い絵を描きたいなぁ」という気分にさせてくれました。
 色使いは暖色やアーシーなモノが多いような気がしましたが、これはトレンドなのでしょうか?また、比較的多く散見された名作へのオマージュ的な作品も趣向が凝らせれており、単なるギミックを超えたマスターピースに仕上がっていました。恩師の作品はと言えば、この恩師、もうライフワークのように長崎の原爆をモチーフにした作品を創り続けており、今回もまた同じテーマでしたが、蛍光色など鮮烈な色使いの向こうに、単なる感傷とは違う、厳しく寂しい“故郷の悲劇”に対する“念”のようなものが込められているように感じました。
 美術館を後にし、ストリートパフォーマンスを横切って、駅に向かっているとふと目に入った国立西洋美術館の看板。『キアロスクーロ-ルネッサンスとバロックの多色木版画-』展。ムムム。かな~り、興味ある。時間はまだ早い。思わず飛び込みました。
 この聞き慣れないキアロスクーロとは、イタリア語で「明暗」を意味するそうで、16世紀ヨーロッパのルネッサンス爛熟で平面における表現技法に新たな可能性が次々と生まれた時代に、ドイツで生まれた木版画の技法。同系色の版を重ねることで、立体感を表現することに成功した、と説明には書いてありますが、要は“エッチングで原画(原版)を作って多色刷りしたプリントゴッコ(懐かしいです)”のようなイメージです。
 事実、その精緻な表現力は、作品の大きさを感じさせない(版画なので、サイズは小さいのです)描写力で、思わず引き込まれます。どのような順番で刷るのか、これは作品によりマチマチですが、トーンを別刷りするのはある意味マンガやコミックの原型的な描写ですし、また一方で新聞の原型のような感触もあります。
 このキアロスクーロは、ドイツからフランドル地方(現在のベルギーとオランダの南のあたり)にも伝播し、オランダ、フランス、イギリスにも広がり、コレクター達の嗜好をくすぐったそうです(展示の最後では、やがてカラー印刷に似た多色刷りへと表現法が変遷して行く様が分かります)。
 間近で見れば見るほど、その凹凸のある紙面から、製作者の技倆の高さがそこはかとなく醸し出され、美術と職人芸の中間で繁栄進歩した版画の世界のダナミズムが感じ取れます。
 思いがけず、普段とは違うジャンルの作品に触れることが出来て、かなり充実できました。いつも観るのは絵画ばかり、という方にもオススメです。

 駅で財布を空けて吃驚。お札もキアロスクーロの進化型じゃないか!!(了)

*写真は、一番お気に入りの作品、ハンス・ブルクマイアー(父)『聖ゲオルギウス』。








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Last updated  2005/10/30 06:46:53 PM
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