バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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カテゴリ: 映画/エンタメ
 トニー・ガトリフ監督作品『ガスパール 君と過ごした季節』を観ました。棄てられた老婆、青年、家族を失った中年男、病む子持ちの薄幸な女。彼らが擬似家族を形成しながら、やがて人間的な絆を回復していく(というよりも、家族よりも濃い絆を“創出していく”)物語。ヒューマンタッチの優しいコメディ。
 うぅ、なんだろう。別に、トニー作品じゃなくても良いんじゃないか?なぜならこの作品、従来のように、監督自身のルーツでありテーマであるロマ(ジプシー)を扱っているワケでもなく。パッケージには、そんな関連を匂わせるコピーがついていましたけど、主人公が、いわゆる既存の共同体と絶縁してしまっていることと、それぞれの「自由」を求めているという以外に、ロマ的な要素は皆無ですし。ラストにしたって、あまりにベタ(トニー作品は基本的にはベタが多いのですが、その分かり安さの向こうに必ずディティールがまぶされてるんですけど)で、ちょっと驚いてしまうくらい。
 私はこの『ガスパール』は、これまでのトニー・ガトリフ作品の童話的な要素を目いっぱいに拡大して一本にした、そういう作品ではないかと思いました。もともと童話的な要素を持つ作品を撮ってきたトニーが、あえて作りたかった「真の童話」(『トランシルヴァニア』は大人の童話でしたね)。
 本当に、感じのいい小品、という印象。描かれる事実や背景は、シリアスだったり重かったりしますけど、それを深読みさせる作品じゃないなぁ。シンプルに観る。それがいいみたいです。
 あとになって振り返ると、この作品って、ハリウッド的な感覚とは違う意味で、親子で見たい映画、親子で観れる映画なのかも。そういう作品を作りたかったのかな。なんだか、絵本の読み聞かせを。親と子、両方が一緒に読み聞かせを楽しめる絵本のような作品、かな。
 その感触に大きく貢献しているのが、画面を埋め尽くすポップでカラフルな、色、色、色!!砂浜に並べられたガスパールたちの“夢の象徴”が、なんだか胸の奥の懐かしい部分を刺激します。
 そしてこの映画の決め手。いわば、勝ちが決まった瞬間。これはもう、冒頭、ジャンヌおばあちゃんとロバンソンが出会うシーン。あの互いの満面の笑顔。これで決まりですね。『ガスパール 君と過ごした季節』の良さはあのシーンで決まり、あのシーンに尽きた、そんな気がしました。(了)


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著作です: 何のために生き、死ぬの? 。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。





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Last updated  2008/06/05 03:26:08 PM
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