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Mar 31, 2015
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テーマ: 短編を作る(405)
カテゴリ: 短編小説

むかしむかし あるところに

お爺さんとお婆さんが住んでいました。


しかし、時は戦国乱世。


お爺さんは、戦場に人斬りに、

お婆さんは、川に返り血を浴びた服を洗濯に行きました。



お婆さんが、川で洗濯をしていると

上流から大きな桃が、

どんぶらこどんぶらこと流れてきました。


しかし、お婆さんが桃を取ろうとすると、

桃は、有り得ない角度で急旋回 ヽ((◎д◎ ))ゝ


桃は、お婆さんの山姥の様な形相を察したのか、

向こう岸で洗濯をしている、

人の良さそうなお婆さんの方へと、

逃げるように流れて行ってしまいました。(ノ_-。)


山姥なお婆さんは、

向こう岸の人の良さそうなお婆さんを、

罵倒しようと思いまいしたが・・・

相手は、この辺りで一番人の良いお婆さん

悪口1つ思いつきませんでした。o(_ _*)o


「忌々しい、忌々しい」


お婆さんが、嘆いていると、

今度は、落ち武者の生首が、

どんぶらこどんぶらこと流れてきました。


時は戦国乱世。


「あの気品溢れる儚い表情。

きっとえらいお侍様の首に違いない!」


お婆さんは、そう思い、今度は急旋回せぬよう、

素早く棒で生首を手繰り寄せました。


お婆さんの山姥の様な形相に気づいた武将の生首は、(゚Ω゚;)

「待ってくれ!待ってくれ!」

と騒ぎましたが、時すでに遅し。


「生首が喋るなんて往生際が悪い!」

と、叱りつけるとお婆さんは素早く洗濯桶に、

武将の生首をしまい込みました。


そして「恩賞♪恩賞♪」と家へと急ぎました。



山姥なお婆さんが家に帰るとすでに、

人斬りのお爺さんは戦場から、帰っておりました。


「爺さんや爺さん、見ておくれ、この生首、

この気品、えらいお侍様に違いない」


「(;`Д´)<お゙お゙!お゙お゙!

これはウチの殿様ではないかい!

戦場で見たことがある!」


「工工工エエエエエエェェェェェェ(゚Д゚)ェェェェェェエエエエエエ工工工

乱世に生き残るには優しすぎると、

お噂のあの殿様ですか、嘆かわしい・・・この様なお姿に」


山姥なお婆さんは驚き嘆きました。



「解ってくれたか!我が良民」

と殿様の生首が安堵したのも束の間。


「しかーし、爺さんや、

この首を新しい殿様に持っていけば、

恩賞をたんまり頂ける」ヾ(@^▽^@)ノ ヾ(@^▽^@)ノ


人斬りのお爺さんと、山姥なお婆さんは、

大喜びしました。(ノ^^)八(^^ )ノ



「ご老人たち・・・待たれよ。

余は城を落とされ、家臣を失い、命を失った。

そして、今は生首の身。

さらに、この首を晒される辱めには耐えられぬ。

どうかそれだけは、考えを改めて欲しい」


生首の殿様は言いました。


しかし、人斬りのお爺さんは、

「弓矢を持つ者の習わし、ご覚悟を」

と戒めました。


「えっ・・・そんな・・・

そうじゃ。助けてくれたら褒美を遣わそう」


「褒美?」(*^o^)乂(^-^*)


「いざと言う時の埋蔵金じゃ」


「埋蔵金ー!」 \(゜□゜)/ \(゜□゜)/


「埋蔵金に比ぶれば、

余の首を届けた時にもらえる恩賞など、雀の涙。

それほどの金額の埋蔵金じゃ。」


人斬りのお爺さんと、山姥のようなお婆さんは色めきました。

びっくりびっくり


「余は使う間もなく、滅んでしまったが・・・

どうかこの首 、余の菩提寺まで運んではくれぬか?」


「お爺さん、行きましょうよ。埋蔵金褒美にくれるって言うんですよ」


「しかしな・・・この殿の首を持っている事を、

新しい殿の軍勢に見つかったら、

わしらの身が危ない」


「その時は、余を差し出すがいい。

そのくらいの覚悟は出来ておる」

殿様の生首は言った。


人斬りのお爺さんと、山姥なお婆さんは、

「それなら・・・」と殿の菩提寺に向かうことにした。


お爺さんとお婆さんは荷車の桶に団子を詰め、

生首を一番奥の樽に隠し、出かけることにした。



生首の殿様の領地では、残党狩りが行われていた。

樽の中の生首の殿様にも、捕縛された家臣の怒声が、

聞き取れた。「すまぬ」生首の殿様は呟いた。



「当地名物の、お団子はいらんかね~」

人斬りのお爺さんと山姥なお婆さんは、

愛想を振りまきながら荷車を引いた。



菩提寺に着いたのは、夕刻だった。

そして、菩提寺は戦いの末、焼け落ちていた。

焼け野原の火はまだくすぶっていた。


樽の中から出された生首の殿様は、呆然とした。


生首の殿様は、

日が暮れるまで焼け野原の火を見つめていた。


夜空に満月が上がる頃、

しびれを切らした山姥なお婆さんが、

「殿様・・・そろそろ埋蔵金の在り処を・・・。」

と口にした。


すると生首の殿様は、静かに話し始めた。

「余は荷車に揺られながら夢を見た。

この乱世が終わり、

いつの日か太平の世が来る夢を

人々は、桜が咲き乱れるなか、

戦乱に怯えることなく、酒を飲み踊り狂っていた。

それはとても、やわらかな表情だった。


ご老人たち・・・頼みがある。

埋蔵金はここの裏山にある。

その使い道だが、

この焼け野原と化した廃寺に桜をたくさん植えて欲しい。


余や余の家臣領民が、生き得なかった

やわらかな時代への想いを込めて

桜をたくさん植えて欲しい。

自己満足かもしれんが、どんな形であれ、

そんな、やわらかな時代と関わりたい。


埋蔵金は、桜を植えても、100年じゃ使いきれんほどの額だ。

残った金は、二人でどう使ってもいい・・・頼む」


「然と」

と人斬りのお爺さんは答えた。





植えた桜が成長し、

廃寺に桜が満開になるには時間が掛かった。


人斬りのお爺さんと山姥なお婆さんは、

満開な桜を見ることなく、この世を去った。


しかし、育っていく桜を見続けている内に、

山姥の様な形相のお婆さんの表情は、

桜の精が、のりうつったかの様に、

華やかな表情へと変わっていった。


そして、その変化を、

人を斬らなくなったお爺さんは、

見過ごさなかった。



おしまい



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最終更新日  Apr 1, 2015 03:17:20 AM
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