むかしむかし あるところに
お爺さんとお婆さんが住んでいました。
しかし、時は戦国乱世。
お爺さんは、戦場に人斬りに、
お婆さんは、川に返り血を浴びた服を洗濯に行きました。
お婆さんが、川で洗濯をしていると
上流から大きな桃が、
どんぶらこどんぶらこと流れてきました。
しかし、お婆さんが桃を取ろうとすると、
桃は、有り得ない角度で急旋回 ヽ((◎д◎ ))ゝ
桃は、お婆さんの山姥の様な形相を察したのか、
向こう岸で洗濯をしている、
人の良さそうなお婆さんの方へと、
逃げるように流れて行ってしまいました。(ノ_-。)
山姥なお婆さんは、
向こう岸の人の良さそうなお婆さんを、
罵倒しようと思いまいしたが・・・
相手は、この辺りで一番人の良いお婆さん
悪口1つ思いつきませんでした。o(_ _*)o
「忌々しい、忌々しい」
お婆さんが、嘆いていると、
今度は、落ち武者の生首が、
どんぶらこどんぶらこと流れてきました。
時は戦国乱世。
「あの気品溢れる儚い表情。
きっとえらいお侍様の首に違いない!」
お婆さんは、そう思い、今度は急旋回せぬよう、
素早く棒で生首を手繰り寄せました。
お婆さんの山姥の様な形相に気づいた武将の生首は、(゚Ω゚;)
「待ってくれ!待ってくれ!」
と騒ぎましたが、時すでに遅し。
「生首が喋るなんて往生際が悪い!」
と、叱りつけるとお婆さんは素早く洗濯桶に、
武将の生首をしまい込みました。
そして「恩賞♪恩賞♪」と家へと急ぎました。
山姥なお婆さんが家に帰るとすでに、
人斬りのお爺さんは戦場から、帰っておりました。
「爺さんや爺さん、見ておくれ、この生首、
この気品、えらいお侍様に違いない」
「(;`Д´)<お゙お゙!お゙お゙!
これはウチの殿様ではないかい!
戦場で見たことがある!」
「工工工エエエエエエェェェェェェ(゚Д゚)ェェェェェェエエエエエエ工工工
乱世に生き残るには優しすぎると、
お噂のあの殿様ですか、嘆かわしい・・・この様なお姿に」
山姥なお婆さんは驚き嘆きました。
「解ってくれたか!我が良民」
と殿様の生首が安堵したのも束の間。
「しかーし、爺さんや、
この首を新しい殿様に持っていけば、
恩賞をたんまり頂ける」ヾ(@^▽^@)ノ ヾ(@^▽^@)ノ
人斬りのお爺さんと、山姥なお婆さんは、
大喜びしました。(ノ^^)八(^^ )ノ
「ご老人たち・・・待たれよ。
余は城を落とされ、家臣を失い、命を失った。
そして、今は生首の身。
さらに、この首を晒される辱めには耐えられぬ。
どうかそれだけは、考えを改めて欲しい」
生首の殿様は言いました。
しかし、人斬りのお爺さんは、
「弓矢を持つ者の習わし、ご覚悟を」
と戒めました。
「えっ・・・そんな・・・
そうじゃ。助けてくれたら褒美を遣わそう」
「褒美?」(*^o^)乂(^-^*)
「いざと言う時の埋蔵金じゃ」
「埋蔵金ー!」 \(゜□゜)/ \(゜□゜)/
「埋蔵金に比ぶれば、
余の首を届けた時にもらえる恩賞など、雀の涙。
それほどの金額の埋蔵金じゃ。」
人斬りのお爺さんと、山姥のようなお婆さんは色めきました。
「余は使う間もなく、滅んでしまったが・・・
どうかこの首 、余の菩提寺まで運んではくれぬか?」
「お爺さん、行きましょうよ。埋蔵金褒美にくれるって言うんですよ」
「しかしな・・・この殿の首を持っている事を、
新しい殿の軍勢に見つかったら、
わしらの身が危ない」
「その時は、余を差し出すがいい。
そのくらいの覚悟は出来ておる」
殿様の生首は言った。
人斬りのお爺さんと、山姥なお婆さんは、
「それなら・・・」と殿の菩提寺に向かうことにした。
お爺さんとお婆さんは荷車の桶に団子を詰め、
生首を一番奥の樽に隠し、出かけることにした。
生首の殿様の領地では、残党狩りが行われていた。
樽の中の生首の殿様にも、捕縛された家臣の怒声が、
聞き取れた。「すまぬ」生首の殿様は呟いた。
「当地名物の、お団子はいらんかね~」
人斬りのお爺さんと山姥なお婆さんは、
愛想を振りまきながら荷車を引いた。
菩提寺に着いたのは、夕刻だった。
そして、菩提寺は戦いの末、焼け落ちていた。
焼け野原の火はまだくすぶっていた。
樽の中から出された生首の殿様は、呆然とした。
生首の殿様は、
日が暮れるまで焼け野原の火を見つめていた。
夜空に満月が上がる頃、
しびれを切らした山姥なお婆さんが、
「殿様・・・そろそろ埋蔵金の在り処を・・・。」
と口にした。
すると生首の殿様は、静かに話し始めた。
「余は荷車に揺られながら夢を見た。
この乱世が終わり、
いつの日か太平の世が来る夢を
人々は、桜が咲き乱れるなか、
戦乱に怯えることなく、酒を飲み踊り狂っていた。
それはとても、やわらかな表情だった。
ご老人たち・・・頼みがある。
埋蔵金はここの裏山にある。
その使い道だが、
この焼け野原と化した廃寺に桜をたくさん植えて欲しい。
余や余の家臣領民が、生き得なかった
やわらかな時代への想いを込めて
桜をたくさん植えて欲しい。
自己満足かもしれんが、どんな形であれ、
そんな、やわらかな時代と関わりたい。
埋蔵金は、桜を植えても、100年じゃ使いきれんほどの額だ。
残った金は、二人でどう使ってもいい・・・頼む」
「然と」
と人斬りのお爺さんは答えた。
植えた桜が成長し、
廃寺に桜が満開になるには時間が掛かった。
人斬りのお爺さんと山姥なお婆さんは、
満開な桜を見ることなく、この世を去った。
しかし、育っていく桜を見続けている内に、
山姥の様な形相のお婆さんの表情は、
桜の精が、のりうつったかの様に、
華やかな表情へと変わっていった。
そして、その変化を、
人を斬らなくなったお爺さんは、
見過ごさなかった。
おしまい
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