○・。Ｍooncalfの絵本。・○

06-10

6■■さわって　ふれて■■

どこにいるの
あなたはよくそう言う
私はいつだってあなたの横にいる
あなたの横にしか
私のパズルのピースははまらない
なのにあなたは不安がる

ならば
さわって
ふれて
私がここにいることを
確かめて
私のパズルのピースが
あなたの横にしかはまらないのを
確かめて

だから
さわって
ふれて

7■■雑踏の中の探しもの■■

人は皆、もう一人の自分を探してる
影となり　光となり
自分を支えてくれる
もう一人の自分を

人は皆、自分の片割れを探してる
陽となり　月となり
満たされないものを満たしてくれる
たった一人だけの片割れを

そして今日もまた
会いたいのに遠のいて
探しているのにすれ違う

8■■窓の外の雨■■

私は雨が好き
閑散とした街が
潤って見えるから

だけど彼は嫌いだと言う
寂しい街が
余計寂しく見えるから、と

そう二人で雨を眺めていた日々は
遙か遠くへ
流れてしまったけど
雨は今も降り続く

あなたは今、この世界のどこかで
この雨を見てるのかな

9■■桃色の想い出■■

桃色桜が散り始めた頃
貴女は一枚の手紙を残し
桃色の花びらとともに消えた
手紙を手にし、鮮明に思い出される
桃色の頬を伝う涙を拭う君を
手紙は嘘の塊
また会えると綴ってあるのに
君を待って早幾年
君はあの古い革の鞄を持って
どこへ消えてしまったのか
あの桃色の花びらのように
きっと君は私が待っていることさえ知らない
あの桜のように
あの桜のように

桜を見ると思い出す
君の桃色の頬
それを伝った涙
桃色で染まった想い

10■■桃色の思い出・その後■■

夢の中　君は泣いていた
僕はどうすることもできなくて
ただ無意識のうちに手をのばす
触りそこねた黒髪はさらさらと落ちて
気づけば手の内にあったのは花びらだけ
彼女の好きな、桃色の桜
ああ桜よ　教えてくれ
彼女は今、笑っているだろうか
春の日差しのようなあの笑顔で
ああ桜よ　見守ってくれ
僕の愛したあの笑顔が曇らぬよう
永遠に