江戸東京ぶらり旅

江戸東京ぶらり旅

江戸の正月

武士の正月


 江戸の武士,つまり国家公務員ですがね,かれらのお正月は大変でしたね。
 まあ,立場は霞ヶ関の役人という感じでしたが,庶民のようには気楽には過ごせない。なにせ上下関係で成り立つ階級社会だから,うっかり礼を失してはあとが怖い。

 朝7時には将軍にとって親戚の中の親戚,なにかあったときのスペーアとしての親戚である尾張,紀伊,水戸の御三家。それに身内として考えて良い譜代大名。この方々が烏帽子(えぼし),大紋(だいもん)で江戸城へ。将軍にお会いして新年のご挨拶。まあ,将軍だってこの方々にいちいち会わなければならないから,面倒なこっちゃ。



 で,それよりも地位の低い旗本とか御家人,官庁の課長・係長クラス以下かな,麻の上下(かみしも)で上司のお宅に年始回り。この挨拶回りにはお供をつれているのですね。それも決まった数のお供なので,安い給料ではいつもこんなお供を雇っていられない。それでバイトのお供というのもあり,でしたね。とにかく挨拶回りをしなければならない上司の数が多い。玄関先で失礼,というだけなのですが,それでも気は遣う,疲れる。こうして自宅に帰ると,こんどは部下が訪ねてくる。もうこないかなと袴を脱いだら,「御免下さい」とまたやってくる。なんでこんなばかばかしいこといつまでも,と思っても,じゃやめようという人もいない。


 これが江戸だけでなく,地方でも行われるのですね。あちこちの藩(例えば,埼玉県や群馬県とでも考えましょう)では,お城の主(藩主)に年賀のご挨拶。元日は朝4時起床,麻の上下(かみしも)に着替え,雑煮を食べて,それから神仏に参り,ああ忙しい。それで,午前7時に一同がそろって登城。「おめでとうございます」と年賀のお祝いを申し上げた後は,お殿様からおおとそを頂戴し,江戸と同じように御家老,御中老,御奉行の家を回り年賀のあいさつをしたのですね。

 武士の正月料理は,品数が多く手も込んでいたようです。数の子(カドの子),イワシ,カジカ,コイ,エビ,カモ,ブリ・・・。雑煮には焼豆腐,青菜,焼きぐり,結昆布,大根,里芋,もち・・・。でも,将軍が食べる雑煮は意外と質素だったようですね。

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