江戸東京ぶらり旅

江戸東京ぶらり旅

東京の富士山<富士信仰>

富士見坂,富士見ヶ丘・東京にあるたくさんの富士山


 日本人は富士山が大好き。「一富士,二鷹,三茄子」と言うくらいだからね。
 富士山は均整のとれた美しい山,末広がりで子孫繁栄,商売繁盛祈願に最高。鷹は高く舞い上がり,運勢も上昇,今年こそいいことがあるぞと信じるには絶好。茄子には毛が生えてないので「怪我無い」と,江戸人のダジャレ,でもこれで家内安全確実。これら三つを初夢で見るなら,最高の年になりますね。

富士山と日本人 江戸の祈り 【富士・赤富士・吉祥】「一富士二鷹三茄子」 平松惇作(富士の掛け軸)

招布一富士二鷹 安川眞慈『一富士二鷹三茄子』複製


 江戸には富士信仰というのもありますね。日本最高峰の山ですから,きっと神や仏がいるに違いない,行って拝めば何か御利益があるかも知れないと思っても不思議はないですね。それでできた民間の信仰が富士講。江戸の庶民に広く浸透したそうですね。でも,健脚の方なら富士山までの旅は可能でしたが,足の不自由な人や病気の人,年配者などは行きたくても行けない。それで富士山に似たミニチュア( 富士塚 )をつくって,「これを富士山と思って拝みましょう」ということが流行ったのです。

 富士塚は都区内だけで58以上が現存するようですよ。全日空だか日本航空だったか忘れましたが,都内のある富士塚にお参りに行っているようで,「富士(ぶじ)に帰ってこられるように」という趣旨の立て札がありました。江戸時代ばかりでなく,今でも願かけをおこなう人たちがいるのはおもしろいですね。

 富士塚で有名なのが,駒込のその名も「 富士神社 」。もともと古墳があったところにつくったもので,拝殿は富士山に見立てた山の上にあり,江戸時代には富士信仰の拠点の一つとなったそうです。6月末から7月はじめの山開きには夜店が出て賑わうそうですよ。

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 ということで,都内には富士見坂や富士見ヶ丘といった「富士」と名のつく地名が結構ありますよ。でも実際に富士山が見える場所となるとどうでしょう。空気の澄んだ冬にビルの高い所から見えることもありますがね。日暮里の 富士見坂 が唯一富士山が見える坂だというので,行ってみました。JR日暮里駅を出て諏訪台通りを南下,途中右手に法光寺に向かう下り坂がありますが,ここが「富士見坂」。この日は,ご覧の通りでしたが,通りかかった小学生の一団に「ここから富士山見たことある?」との問いに対して,「うん,見たことあるよ」「僕のうちからも見えるよ!」ってなことでした。歌麿さんや広重さんの浮世絵には富士山がよく登場するので,その時代はよほど見えたのでしょうね。空気も綺麗だし,ビルもないしで。

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