江戸東京ぶらり旅

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超美人のカフェ<日暮里>


 JR日暮里駅で降りましょう。改札から出て右に進むと下りの階段があって,王子街道へ出ます。多少南へ進むと,江戸時代からの老舗「 羽二重団子 」がありますから,ちょっと腹ごしらえもいいですね。醤油とあんこの串お団子に,急須に入った緑茶付きです。それで,もとの駅改札へ戻り,今度は逆方向の谷中霊園側へ進みます。道なりにほんの少し進むと,左手にあるのお寺,ここが「 天王寺 」です。

天王寺.JPG


 このお寺,江戸時代に幕府から睨まれ,お取りつぶしになるところでした。特別に許されて,天台宗に改宗。徳川家の一番大事な上野にあったお寺,寛永寺に従うお寺になったのですね。

 このお寺は,目黒不動,湯島天神とともに江戸の三富と呼ばれ,境内で「 富くじ 」が行われました。要するに「ジャンボ宝くじ」の江戸版ですよ。お寺や神社の修理をするという名目で,寺社奉行管轄でお金を集めたのですね。最初の頃は一枚が結構高額だったようですね。後に多少安くなりましたが,それでも庶民には高い。
 最高額は100両とか1000両とかありましたが,例えば100両当たれば10両はお寺や神社へ寄付,5両は次回の富くじを買わされる,そして5両は富くじの主催者への謝礼として,これで20両は消えます。ご近所にも何もしないわけにはいきませんね。残るのは70両程度かな。

 それで,富くじとともに境内の笹森稲荷にあった「 鍵屋 」というカフェが大評判でした。美人の娘(こ)がいるということで江戸中からたくさんのお客がこの娘を人目みようと訪れました。その名は「 笹森お仙 」。鈴木春信さんという美人画の絵師が彼女を描き大評判に。春信さん自身がお仙さんに一目惚れしたのですね。お茶を何度もお代わりしてお腹をこわした人も出る始末。それで,どのカフェでもスタイルの良い女の子をスカウト,お茶の代金も値上がりしました。そのうちにこのような看板娘のランキングまで出されるようになり,お仙は「大極上上吉」のベスト評価。看板娘は二十歳で引退しましたが,かわいい子に江戸中が酔うのは良い事じゃないとして,幕府は「茶屋に出す娘は13歳以下か,40歳以上の年増にしなさい」とお触れを出しました。やれやれですね。


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