江戸東京ぶらり旅

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明治神宮<原宿>


 訪れるにはJR原宿駅が最も便利。坂下口ではなく,表参道口から出て右へ。

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すぐ明治神宮の入口(南口), 第一鳥居 が目の前に。真っ直ぐ進むと,右手に休憩所,左手に 御苑 (入場料が必要です,南池などのある庭園です)がありますが,さらにその先,左手に木造では日本一大きな 大鳥居 (第二鳥居)が現れます。これは台湾で見つけた樹齢1500年を超えるヒノキの巨木で作られたもの。大鳥居をくぐると大参道,玉砂利を踏みながら進みます。参道はやがて枡形と呼ばれて右折しますが,直角には曲がっていません。なぜか88度,末広がり,目の前には 本殿 が見えてきます。ここがお正月,初詣客でごったがえす場所なのですね。このような位置関係なので,本殿は真南を向いていません。

<ちょっとご注意>
お正月はJR原宿駅に停車した渋谷側からの電車のドアは,いつものホーム側ではなく,神宮側に開きます。竹下通りの住人は第一鳥居側からぐるっと遠回りして帰ってこなければなりません。三が日は参詣客でいっぱいなので,ほとぼりの冷めた頃,お参りにいくことになります。日頃は訪れる人も多くはないのですが,お正月は遠くから賽銭箱めがけて硬貨を投げつけることになるのです。これでは御利益も半減。

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<それから>
 お参りが済んだら,本殿の左出口から出ます。やがて芝生の広場が現れます。右手の池は北池,その向こうの建物は 宝物殿 (入場料が必要)です。明治天皇ゆかりの品々が展示してあります。その左の建物は武道館ですが,宝物殿の前を右に進むと北口,すぐに住宅が現れ,間もなくJR代々木駅が見えてきます。新宿までぶらりと歩いて,山手線で原宿駅へ戻る,これが私のいつものコースですが。

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<植生について>
 ところで,明治神宮の森はたくさんの種類の樹木で構成されています。都庁の展望台からも鬱蒼とした森が見られ,ずっと昔からあった原生林をそのまま神宮の境内にしたようにも見えます。ところが違うのですね。明治神宮の造営は1915年(大正4年),明治天皇とそのお后の昭憲皇太后のために造られたのですが,明治時代までは葦が生える沼沢地やせいぜい畑,ほとんどが荒れ地だったのですね。全国から青年団などのべ10万人のボランティア,1920年に完成しました。森を作るに当たって,将来自然林として育つように植物学者たちが知恵を出し合いました。

 日本列島の丘陵や平野部の植生ですが,九州から福島県までは 照葉樹林 (常緑広葉樹林),その北の宮城県から北海道東部までは 夏緑樹林 (落葉広葉樹林)ができる地域です。人間が手を加えないで自然に放っておけば,長い年月のあいだにはこのような森林ができるという意味ですよ。照葉樹林を作っている具体的な木はシイ,タブ,カシの仲間。葉っぱの表面がワックスを塗ったようにテカテカしていて,光が当たるとキラッと光ります。だから「照葉」と言います。一年中葉をつけているので「常緑」,広い葉っぱなので「広葉」。新しい葉だって出てきますから,古い葉と入れ替わります。決して落葉しないというわけではありません。木全体としては,いつ見ても葉をつけているということです。東京では,この照葉樹が一番育つのに適しているのですね。ちなみに,東京よりも寒い地域(降水量はあまり違わないのですが)である仙台では,照葉樹は少なくなり,落葉樹が多くなります。寒い季節になると葉を落として休眠状態に入る樹木です。寒いので光合成もできなくなる,ならエネルギーの無駄遣いをやめるために葉を落としてしまえ,という植物の知恵ですね。夏には葉をつける樹木なので「夏緑」。代表的な木はブナやミズナラ。

 神宮の森をつくるとき,このような植物の生態の知識を応用したのです。このとき日本全国,遠くは台湾からも,合計10万本もの木,365種類がプレゼントされましたが,やはり東京の気候に合わないものもあって,現在は247種類に減っているそうです。しかしながら,この自然のルールを重視した森作りはみごと成功,50年で自然に近い森が形成されたのです。50種類を超える野鳥,このえさになる昆虫類なども豊富で,全体として一つのまともな生態系ができあがったのですね。スギやヒノキだけといった単一の樹木でつくった森林は自然の法則を無視したものなので,病気や特定の害虫の大量発生で樹木が次々枯れてしまうという現象が見られるようになるよですよ。それに周辺の住民は花粉症で悩まされたでしょうね。





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