江戸東京ぶらり旅

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目黒雅叙園




 交通量の多い権之助坂ではなくて,その隣の狭い通り,行人坂を下ってすぐ,目黒川の太鼓橋の手前左の建物よ。行ったことない? それじゃちょっと散歩にいきなさいよ。


 えっ? それで何があるって? そりゃ今では結婚式場として土曜,日曜は何組も披露宴があるのよ。昨日みたいに夏の暑いまっさかりだって少なくとも十組は式をおこなったはずですぞ。雅叙園内部の壁には絵画が描かれ,よく見ると凹凸があるから石膏を塗って形をつくり,その上から絵の具を塗った感じになっていますよ。

 えっ,お手洗い? なんたってトイレがすごい。畳二畳分もありそうな個室,もちろん江戸間の広さで言っているのですがね,広いばかりでなく,トイレの中まで絵が書いてあって,こりゃなんだ,こんなとこでトイレをして構わないのかと一瞬ためらってしまいそう。

 それもそのはず,季節限定というか期間限定で入口向かって左手にあるエレベーター,このドアにも絵が描かれているの,お気づきでしたか。それもクロチョウガイなのかあるいはアワビなのか,螺鈿なのですよ。漆喰に貝の裏面の虹色に光るその部分を切り取って,金属に焼き付けてある。こんなエレベーターのドア,他ではみられないでしょうね。

 期間限定だから,予約すれば,このエレベーターに乗って,その上から続く百段階段をみられるのでございますよ。えっ?階段を見たってしょうがない。そりゃそうでしょうね。でもね,まずエレベーターの内部も螺鈿づくりになっていて,ここで何が始まるのという雰囲気に中で,いや予感といったらいいかな,百段階段を上っていく途中途中に部屋があるのですよ,その部屋はそれぞれ違った絵画が壁や天井に描かれ,床の間の柱は樹齢何百年のイチイだったりケヤキだったり,そりゃお金に換算するとこれだけで相当な金額になる,東京の一等地にあるマンションだってあっという間に買えてしまうぐらいなんだから,たいしたものですよ。

 えっ? 絵画は? それは何かしらのテーマが一部屋ごとにあるので,春夏秋冬だったり,物語だったりと,解説してもらえばよく分かるのですがね,なるほど古来日本ではこんな伝統行事をしてきたのか,なんて感心する絵もありますよ。あ,そうそう現代なら鏑木さんの,ちゃんと綺麗に保存されていたなら,一枚億の値段になるかも知れない絵もありますね。

 大工さんたちの休憩所に使われた部屋ではもう絵もくすんでいたり,これをしっかり保存しておけばもっとすごかったのでしょうね。千と千尋の神隠しってご存じでしょ? えっ? 知らない。じゃDVDで見てごらんなさいよ。ここがその部屋,なんていうのがあるのですよ。

 とにかくこれを見学したあとは,洋食なり中華なりのコースのお食事が待っていますから。暇とお金がちょっとだけある人は,一度は目黒雅叙園ってどんなところか,行ってみるのも良い経験になりますよ。内部は撮影禁止なので,今日は写真はここに載せられないのが残念ですが,とにかく一見は何とかで,オススメしますよ。トイレがどうして素晴らしいのか,そして戦災でもし燃えなかったらどんなに素晴らしい部屋が現代においても見られたか,そんなことが理解できますよ。

 えっ? 行く気になった? そりゃおめでとう。それじゃ, 目黒雅叙園のHP をしっかり見て,多少勉強してからどうぞ。


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