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ブログ更新をずっとさぼっている間も、粛々と読書生活は続いていた。そんな中、これは!と思ったのが、本日の日記タイトルの作品。目頭を熱くさせながら一気に読了。その後、あちこちでも話題になり、次回の本屋大賞へのノミネートも決まったそうな。
・・・とまぁ、普通なら「面白かった~」ですむのだけれど、この辞書編纂の裏側、という点で、自分のような人間にはさらなる思い入れを抱いて読んでしまう。というのも、修士の頃から日本国語大辞典第2版の下働きをしていたからだ。 いつも用例カードを手放さない松本先生は、辞書編纂のために大学教授職を早期退職となどとあり、「ん~、M先生そのまんま(亡くなってはいませんけど)」などと重ね合わせてしまう。夕方来て終電ぎりぎりまで働く院生って、オレだよ、オレ(という学生多数)。怒鳴っている元編集長とか、営業に回ったチャラオとか、ファッション雑誌から回ってきた女性編集者とか。この作家はニッコクと何かあるのかと思っていたら、末尾の謝辞にあそこの編集部の方々の名前が並んでいた。なるほど。
もちろん実在の人物そのものではなく、あくまでも登場人物の参考ではあろうが。
そうした点を除いても、人物の描写や、人々が辞書の編纂に向けて奮闘する様子が胸を打つ。言葉の海に漕ぎ出す舟を編む。そういう部分がひしひしと伝わるから思わず泣けてしまうのだろう。辞書を作る国語学者の視点ではなく、編集者側からの視点というのも面白かった。ここ数か月で一押し。
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