ライフキャリア総研★主筆の部屋

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2003年06月22日
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「キャリアカウンセリング入門――ジョブクラブの輪を全国へ!」

●孤立無援の人を救う就業支援として

 若者から中高年に至るまで、就職難に苦しんでいる。中高年については、厚生労働省がキャリア・コンサルタントという制度を創設し、企業における専門家の人材育成およびキャリア・コンサルタントによるコンサルティングの実施費用の助成を始めた。個人が自分の意思で、自分の能力や適性、価値観にマッチしたキャリアを選び取り、成長しようとするのを支援しようといものだ。

 だが、企業に所属していないフリーターの若者や長期失業者、再就職志望の主婦などはこの制度の対象外である。ともすると孤立無援になり、進むべき道を見失ってしまいがちな彼らを支援するよい方策はないだろうか。

 そこでヒントになるのが、欧米で失業者や移民労働者の支援策として成功している「ジョブクラブ」である。ジョブクラブとは、ピア・カウンセリングの要素も取り入れた就職援助手法であり、求職者がグループで行う自主的な求職活動を、活動場所や活動資源(電話、文房具、新聞など)の提供、専門家によるアドバイス等により支援するものである。1970年代初期にアメリカで開発され、イギリスでは80年代半ば以降公共職業安定所の有力な支援メニューとなっている。

●日本版「ジョブクラブ」も動き出した

 わが国では、中高年齢求職者向けの「キャリア交流プラザ」事業(平成11年度より実施)においてジョブクラブの手法が採用されている。

 また、厚生労働省が若年者の就職を支援するために設置を進めている「ヤングジョブスポット」もジョブクラブの日本版といえる。2004年3月待つまでに全国で15カ所設置する計画であるという。職業意識が乏しく、自分の適職が分からない若年層の相談に応じたり、若者同士が互いに励まし合う場所を提供し、自発的にフリーターから抜け出す努力を後押しする。

 施設はフリーターらが集中する大都市部の繁華街に近い場所などに設置する。3月中にさいたま、横浜、名古屋、大阪の4市で拠点を確保、4月以降は順次、東京をはじめ10都道府県、11カ所に開く計画だ(以上、日本経済新聞2003年4月5日朝刊より)。

 定職に就けずにいる若者は就職活動を途中で断念しがち。同じ立場のひとが集う場があれば、「自分も頑張ろう」という意欲を持ってもらいやすくなると厚労省は判断したという。

 こうした国の動きよりも早く、地方で独自にジョブクラブの試みが始まっている。「彩の国 再就職クラブ」は、埼玉県立女性職業能力開発センターの教室を使って2001年から実施されている。職を失った人たちが、立場や年齢の違いを超えて励ましあい、再就職を目指すというもの。仲間の存在で孤独感から解放され、就職意識を持ち続けられるとのこと。たとえば、模擬面接を行ってお互いにアドバイスし合う。「そこまで言うと、いやみになる」、「人柄をもっとアピールしたほうがいい」などと体験者だからこそ言える批判や励ましがある。

 3週間で1クール。2001年から8月から12月まで3回実施した結果、初回は13人中5人が再就職を果たしたという。次第に希望者が増え、3回目には20人の枠に73人の応募があった。

 センターの職業訓練指導員、小島貴子さんらが米国でキャリアカウンセラーが活躍している話を知り、資格を取って個別相談に力を入れ始めたのがきっかけだ。中高年支援事業を続ける中で、仲間の必要性やカウンセリングの希望が多いことがわかり、欧米で成果を上げているという「クラブ」づくりに踏み切った。

 参加した女性(39)は手伝ってきた家業の継承が難しくなり、2年前から求職活動中。「一人で探していると沈み込んでしまうし、わからないことがいっぱいある。ここで仲間から客観的に見てもらえるのは、本当に心強い」と話す。

 受講中に就職の内定を受けた男性(54)は、入社時期を1週間延ばしてもらい最後まで参加した。男性の分まで求人票を見てきてくれる仲間たちを得難く感じたからだ。「営業職しか目になかったのが、仲間と話しているうちにもう少し柔軟になってみようと思った」。再就職先では総務の責任者として働いている。

小島さんは「米国のように就職できた人から抜けていく競争型でなく、一緒に畑を耕す農耕民型を目指している。素直に自分を出し合えて、表現する力と自信をつけてほしい」と話している(以上、朝日新聞2002年1月10日東京夕刊より)。

●援助し合い自尊感情を取り戻す

 ジョブクラブを開発したのは、アメリカのカウンセリング心理学者であるアズリンらである。当初の対象者は犯罪歴のある人、生活保護受給者、心身障害者、高校中退者であった。そのクライエントに共通しているのは、さまざまな社会的障害や過去のネガティブな生活体験がもとで、職業選択行動が身に付いていないだけでなく、自尊心も、働く意欲も失った人々であった。

 アズリンらは、「失敗は、必要な行動を学習していないか、あるいは非効率的な行動を学習してしまっているのであり、失敗が予期不安をもたらし、そのために非効果的行動や不適応行動を引き起こし、ひいては自尊感情がもてなくなる」という考えに立ち、プログラムを開発した。

 そして、プログラムが進む過程での強化づけ(他者からの承認や成功体験)が自信を回復させることが不可欠と考えた。このようなグループプロセスを用いた利点は、プログラムに一緒に取り組むなかで、相互に教えあい援助しあうことができ、その結果自尊心をもてるようになるし、安心してソーシャルスキルも学習できるということであった(以上、『キャリアカウンセリング入門』渡辺三枝子、E.L.ハー著、ナカニシヤ出版より)。

 自尊心も、働く意欲も失った人々……とは言い切れないが、ジョブクラブの手法は正社員を志望しながらうまくいかないフリーター、長期失業者、再就職志望の専業主婦にも有効であるように思われる。

●再就職志望の専業主婦向けにも

 私はいま、松戸市女性センターの依頼で、主婦による主婦のための再就職支援システムを構築するためのお手伝いをしている。手始めに行っているのが、「しごとサポートボランティア」の育成である。参加者は松戸市内に住む主婦で、年齢は30代から60代までと幅広い。自身が再就職を考えている人もいれば、定年退職後に時間をもて余している女性もいる。当初は20人も集まれば上出来とセンター側は考えていたが、蓋を開けてみれば40人以上が集まった。

 講義では働く女性が置かれている現状と問題点、その問題点を解決するための視点、キャリアカウンセリングの初歩について話し、また、参加者によるグループワークも毎回必ず取り入れている。ゆくゆくは彼女たちがファシリテーターとなり、松戸版ジョブクラブをつくって再就職志望の主婦たちを支援することになるので、体験学習を通じてグループアプローチの方法を身につけてほしいと考えている。

 参加者はとても意欲的で、「ゆくゆくはボランティアではなく、NPO法人を作って収益を上げられるようになろう」などという声も出てきた。頼もしい。

 養成講座は来年3月末で終了し、新年度から松戸版ジョブクラブが始動するはずである。この試みがうまくいったら、そのノウハウを全国の女性センターなどに提供し、ジョブクラブの輪を広げていきたい。


 ……いかがでしょうか。

 カウンセリング・フォーラムでは仲間を募集中です。年会費2,000円で隔月発行のミニコミ誌をお送りします。そのうちメルマガも始めようかな。よろしくね。

 カウンセリング・フォーラムは、「お祭り広場」をイメージして命名しました。カウンセリングにはいろいろな療法や学説があります。クライエント(=相談者)の助けになるならば、ありとあらゆる方法を総動員するのがカウンセラーの使命です。そこで、まるでお祭りの屋台のように、いろいろな学説や療法を得意とするカウンセラーが集まり、誰でも気軽に相談を受けられるような「お祭り広場」をつくりたいと考えたのでした。

「お祭り広場」をバーチャルな場に設けることもできそうですよね。そのひとつの試みが、キャリアカウンセリングを専門とするこの私のホームページだったりもするわけです。今後ともよろしくお願いします。






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最終更新日  2003年08月22日 09時44分57秒


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