引き続き育児休業のお話です。
育児休業取得率(平成19年度) 女性89.7% 男性1.56%
同 (平成17年度) 女性72.3% 男性0.50%
この数字だけを見ると、女性については育児休業を望めばだれでも取得しやすくなったかに見えますが、本当にそうでしょうか。
この数字の中には、「仕事か子どもか」の二者択一に迷って仕事を選択した人や、子どもを選択した人は含まれていないのです。
昨日の日記では、「仕事をあきらめて子どもを選んだ」女性について書きましたが、今日は「子どもをあきらめて仕事を選んだ」女性について考えてみたいと思います。
こんな話を聞きました。
「子どもは欲しいけれど、いまは産めない。なぜかというと、いまは、とてもやりがいのある仕事を与えられていて、これを手放すのが惜しいから。妊娠・出産となると、どうしても仕事を休むか、ペースダウンしなければならないので、他の人への気兼ねもあるし、評価が落ちるかもしれないのが気がかりだから」
成果主義の競争社会の厳しさをうかがわせる言葉ですが、なるほど、その気持ちもよく分かります。ただ、疑問も湧いてきます。
・40年近い会社員人生の中で、妊娠や育児でペースダウンするのは、たかだか1年か2年。その差は、それほど大きく評価や昇進に直結するのか?
・人間の成長の度合いには個人差がある。伸びの傾斜が緩やかな人もいれば、停滞期があってもちょっとしたきっかけで爆発的に伸びて先行者を追い越せる人もいる。その成長力の差を生かせるような評価・活用の仕組みが企業の中には存在しないのだろうか?
・大学教員や外資系企業のエリートの間ではサバティカル休暇のような長期休暇の慣行が当たり前になりつつある。会社員の男女も育児経験という貴重な人生経験をもつことにより、リフレッシュすると同時に「人間力」を高めて、より高い生産性を発揮する潜在能力を獲得できるのではないだろうか。
・育児の負担をすべて女性が担うのは無理があり、何より不公平ではないだろうか。男性も育児を分担し、休業を取ることによって、過当で不公正な競争が改められるのではないだろうか。
そんな疑問を抱きつつ、では、男女共同参画においては日本の遥か先を行く北欧社会では、男性の育児休業取得率がどのようになっているのかについて調べてみました。
( )制は、育児休業の一定期間を男性に割り当てる制度です。1993年に世界で初めてノルウェーでスタート、95年にスウェーデンに広がりました。これらの国では、( )制が、女性の働く権利を保障すると同時に、育児に携わる父親の権利を保障する制度として歓迎され、定着してきています。
ノルウェーの育児休業は年々期間が伸び、54週間(賃金8割保障)または44週間(同10割保障)になっています。そのうち6週間は( )制によって、父親に割り当てられています。父親が育休を取らなかった場合には、育休期間が短くなる仕組みです。制度開始の翌94年の男性の取得率は40%でしたが、いまでは90%に増えています。
「しんぶん赤旗」2007年7月21日の記事より。
以上は、ノルウェーおよびスウェーデンにおいて、男性の育児休業取得率を高めるばかりか、出生率の向上にもつながった、ある画期的な制度についての説明です。この制度はなんと言う制度でしょうか。日本でもいま、少子化対策の切り札になるかもしれないと、この制度の利点を取り入れて、わが国における男性の育児休業取得率向上につなげようとしています。
答えは、 パパクォータ制度 。「クォータ(QUOTA)」とは、「割り当て」を意味します。
もうひとつ、興味深い記事を引用しておきましょう。
スウェーデンでは70年代、女性の社会進出が顕著になり、出生率は70年1.9、80年1.7と減り続けた。政府は74年、180日の休業に所得保障をする育児休業制度を始め、数年おきに休業日数を増やしたが、減少傾向は止まらなかった。
このため95年、育休制度に所得の8割保障と「450日休業のうち1カ月は父親が取るべきだ」と付記。以降、父親の育休取得率は伸び、97年に10%になった。それでも出生率は改善せず、99年と00年は過去最低の1.5を記録。政府は更に02年、育児休業を480日※に増やし、「うち2カ月は父親が取るべきだ」とした。
こうした施策の結果、06年には父親の育休取得率が2割を超え、呼応するように、出生率も06年1.85まで回復した。ちなみに、日本での男性の育休取得率はわずか0.5%だ。
※現在は480日の休業のうち390日について、所得の最大80%が国の予算から支払われる。
以上、毎日新聞2008年1月30日朝刊より。
景気悪化で働き始める専業主婦が増えている 2009年06月29日
育休は、みんなの問題 2009年06月26日
育児・介護休業法改正 2009年06月25日