ライフキャリア総研★主筆の部屋

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2009年06月25日
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カテゴリ: 女性労働研究
改正育児・介護休業法が昨日、参議院本会議で可決・成立しました。今後、1年以内に施行されます。

改正のポイントは、

▽育児支援として、事業主に対し、3歳までの子どもがいる従業員に、1日6時間の短時間勤務制度を設けることや、従業員からの求めに応じて、所定外労働(残業や休日出勤)を免除する制度を設けることを義務づけています。

▽介護支援として、介護が必要な家族が1人いる場合は年5日、2人以上いる場合は年10日の短期の休暇制度を設けることも盛り込んでいます。

▽法律に違反し、厚生労働大臣の勧告に従わない企業については、企業名を公表するほか、うその報告をした場合は、20万円以下の罰金を科すとしています。

▽改正育児・介護休業法は、公布の日から1年以内に施行されますが、企業名などの公表については、急激な雇用情勢の悪化で、育児休暇中に仕事を解雇されるケースが相次いでいるとして、施行日が3カ月以内に前倒しされます。

▽また、付帯決議で、育児休業を理由とした解雇など不利益取り扱いをする「育休切り」を防止するため、育児休業を申し出た従業員に休業期間を明記した書面公布を企業に求めるよう厚労省令を改めること、としています。「育休切り」対策は政府原案にはありませんでしたが、与野党で修正し、盛り込みました。


育児休暇中の解雇である「育休切り」はもちろん、妊娠・出産を理由にした解雇も法律違反です。今回の改正で「育休切り」をなくすために迅速に対応したことは高く評価できると思います。

昨年末から妊娠・出産を理由にした解雇などに関する相談が増えています。都道府県の労働局によると、相談件数は2007年度の1,711件に対して08年度は2,030件に達しました。



解雇は、企業がこれを避けるために手を尽くした上でなければ行うことはできません。これを解雇権濫用の法理といいます。2003年の労働基準法改正で、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合はその権利を濫用したものとして、無効とする」という一文が追加され、解雇権濫用の法理が法制化されました。

なお、2007年の労働契約法制定により、この条文は労働基準法から労働契約法第16条へ移されました。労働契約法は昨年3月1日から施行されています。

解雇は、以下の4つの条件を満たして初めて正当な整理解雇として認められます。

1)倒産の恐れがあるなどの経済的な必要性があること(経済的必要性の存在)
2)解雇を回避するために残業規制、配置転換、希望退職募集などの努力を尽くすこと(解雇回避義務)
3)客観的、合理的な基準に基づいて被解雇者を選定すること(客観的、合理的な選定基準)
4)解雇の必要性、実施方法などについて労働組合、社員に対して説明・協議すること(説明・協議の必要性)

このうち3)については、他の法律が関係してきます。たとえば、育児・介護休業法のからみでいえば、妊娠・出産や育児、介護を理由に被解雇者を選定してはならないのです。

育児・介護休業法も、解雇権濫用法理が盛り込まれた労働基準法も、私たちが勝ち取った権利です。この権利が守られるためには、行政による管理・監督や指導、処罰を待つまでもなく、私たちがきちんと働き方のルールについての知識を持ち、ルールを守らない雇用者に対しては異議申し立ての声を上げることが大切です。ただ、労働者単独では雇用者に対して相対的に弱い立場にありますから、そこで労働組合などのヨコの連帯や社外の専門家、相談機関によるサポートが必要になってきます。

ヨコの連帯という点で言えば、こと育児・介護休業法については、育児・介護を理由にだれかが休めば、その「シワ寄せ」が仲間に及ぶ場合もあることを忘れて欲しくないと思います。だからといって権利行使を遠慮せよということではありません。

チームのメンバーに仕事を配分する責任は上長(マネジャー)にあります。産休や育休で欠員が出たにもかかわらず、仕事量が増えても増員しないとなれば、労働強化によって心身の不調者が現れたり、個人の士気や人間関係に悪い影響が出てくるでしょう。モラルハザードの心配もあります。



つまり、法の権利を行使する個人対組織という対立構図にならないように、組織全体で、個人の権利を守るようなかたちで動いていかなければ、働き方のルールが機能しないということを忘れてはならないと思います。

育児・介護休業は、子育てを卒業した人にも、子どもを産まなかった人にも、すべての老若男女にとって無関係な問題ではないのです。とくにこれからは介護の問題が増えてくるし、深刻化するであろうと思われます。

特別な親孝行でなくても、だれでも親の介護について、あるいは自分自身が要介護状態になったときのことや、「死にざま」を考えねばならないときがやって来るでしょう。心の準備をするのに、早過ぎるということは決してないでしょう。

明日はわが身のお互い様、そんな気持ちで、人間の弱い部分を支えあう職場でありたいものです。





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最終更新日  2009年06月25日 18時43分42秒
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