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中学のころの友達に十数年ぶりに会った。
そのころにいた街を、私はとうの昔に出ていて、以来ほとんど全く訪れていない。
同窓会もあるのかないのか知らず、当時の友達も彼女の他にはいない。
同級生の名簿を見せてもらって、あれこれ当時の話をする。
ひとりでには決して思い出せないのに
名前を見るといるんなことが思い出されるのが不思議だ。
現在の彼女が住む下関近郊の角島(つのしま)に、彼女のダンナどのの運転にて連れてもらう。
普段、瀬戸内地方の比較的大きな街なかに住む私は
海の色が濁っていることに常々違和感を感じていて
そんな海には決して体を浸したくないと思っているのだが
水は本来透明で、大量の水は青い、ということ
まして天気のいい日には水はほんとに水色なんだということを
久しぶりに思い出した。
とてもきれいな海だった。
そこでさざえのつぼ焼きをいただき
その近くの名物、瓦蕎麦をいただく。
瓦蕎麦。熱く焼いた瓦の上に茶蕎麦を乗せ、豚肉のそぼろと錦糸玉子とともに
レモンの輪切りを浸した蕎麦つゆで食す。
だんだんと焦げてパリパリになってゆく蕎麦が香ばしい。
5,6歳年上の優しいダンナどのは、終始運転手とカメラマンに徹してくださり(ついでにお財布係も)
私は友達といろんないろんな話をした。中学のころって、興味はいつも自分自身にあって、実は全然人を見てなかったんだ、と
つくづく思った。
十何年も離れていたのに
友達とは好むものが似ていた。
好きな作家、好きな歌うたい。意外と人とは合わないそんな分野が不思議に一致していて驚いた。
が、彼女のお勧めの本は読んだことのないものだった。
『モンテ・クリスト伯』。
文庫本にしてゆうに7巻あるその世界の名作の
タイトルを生身の人間の声で耳にしたのは
全く初めてだった。
次に目にしたら必ず読みましょう、と約束する。
昨年からひき続き珍しい人に会う機会に恵まれている。

