続・ハラヘリビトノウタ

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Tommy-japan

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2006.08.15
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カテゴリ: カテゴリ未分類
「人間はみんな、ちがった目で星をみてるんだ。
旅行する人の目からみると、星は案内者なんだ。
ちっぽけな光くらいにしか思っていない人もいる。
学者の人たちのうちには、星を難しい問題にしている人も
いる。
僕の会った実業家なんかは、金貨だと思ってた。
だけど、相手の星は、みんな、なんにも言わずに黙っている。
でも君にとっては、星が、ほかの人とは違ったものになるんだ」

――「星の王子さま」より




その時にアメリカンな雑貨やおもちゃが沢山ある、
倉庫のようなお店を訪れた。

私はこういう所へくるといつも、「星の王子様」の作者の
こんな言葉を思い出す。
きっとある人からみたらガラクタにしか見えないだろう昔のおもちゃや食器、置きものなど。
でも他のある人にとったら、プレミアもので、何の役にも立たないとか、部屋が狭くなるとかならないといった問題ではないのだ。


**

塾で教えていた頃、小学生のゆうや君が、大事に飼っていた
学校のにわとりの卵が、全部犬に食べられてしまったと言って
とても悲しそうにしていた事があった。

「今日は産まれてるかな。何個卵があるかな。」

せっせとにわとり小屋に向かったのだろう。

まず、卵を食らう犬ってどうよ?と私は心の中でつっこみをいれていたが(笑)、まぁそれはいいとして、
私は、そこでただ「悪い犬さんだねぇ」とは、
言えなかった。
どうしてだろう?



主人公が、るみちゃんという保母をしている友達と会話している場面。
「聞いてよ、この間、ある男の子が、はとの雛を拾って、門のところに鳥かごをおいて、一生懸命育てていたの。もう本当に一生懸命に。その子ははととすっかり心を通わせて、その子は、鳥というもの全般を本当に愛するようになったの。でも、その鳩、浮浪者に食べられちゃったの。もう、どうしていいかわからなかったよ。」
「た、食べる?」
「この話をきいて、笑ってしまいたくなると同時に、ちくっとするところがあるじゃない?」
「ちくっとするどころかずきずきするよ。」
「そう、もう全く違う世界に生きているから、どっちが正しいっていうことはいえないのかもしれないもんね。あのおじさんは君と見ている世界が違うから、自分の世界を大切にして、なんど壊れても作り直してね。って言って上げるしかできなかった。」

**

あまりに私の経験と似た文章だったので驚いた。

生徒にとっては、ひたすらにわとりを可愛がって、愛して、
その大事な大事なにわとりの卵だったけれど、やってきた犬にとっては、生きていくために必要な食料だったのだ。
そう考えると、「わるい犬さんだねぇ。どうしようもないねぇ」とうかつに言えない気がしたのだ。
だって私たちだって、色々な動物の肉を食べて生きているんだもの。


そう、だから、どっちが正しいと言うことはいえないのだ。
動物を愛護する彼の思いが一見清らかで美しいように見えてしまうけれども。

自分が美しい、可愛い、大事だと思っているものを、誰かがけなしたり否定したり、粗末にしたりしたら悲しいし苦しい。
けれどそんなときには、この話を思い出したい、といつも願う。

そして、けなした誰かを責めたり憤慨したりするのではなくて、ただただ、人によって星の見え方が違うんだと解釈すること。
そして、自分の世界を大切にして、自分が見て感じること、自分が感じて行うことを、作り直してはかため、守っていけば
いいのだということ。

**

ファイサルさんの授業があった。
バーベキュー以来だ。とても忙しそうだったが、面白さは今日も爆発だった。
奥さんのザイアナさんが群馬からわざわざ取り寄せてくれたと言う、あの日のメインディッシュともいえたやぎのお肉が
とても美味しくて忘れられないと言うと、ファイサルさんは言った。

「インドの人たちは牛肉を食べられないし、ザイアナは豚肉を食べられない。だからヤギにしたんだよ。」

宗教、主義、いろいろなものによって、食べ物も人それぞれ違うけれど、
それをごく自然に受け入れ合い、誰もが食事を楽しんで歓談している光景は本当に素晴らしかった。
今まで数え切れないほどの留学生や外国人と出会い、文化の違いは当たり前のように感じてきているけれど、
なんということはない、私たち一人一人に好き嫌いがあるように、誰もが自分の世界を大切にしているだけのことだ。

ある人にとっては生きていくのに欠かせない星が、ある人にとっては食べてはならない星。
どの星も美しいし、どの世界も正しくてまっとうだ。


「でも僕は、何でも食べちゃうけどね」
いたずらな瞳で笑うファイサルさんは、やっぱり最初に思ったとおり、限りなくジェントルなコメディアンだと思った。





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Last updated  2006.08.15 08:49:58
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Milky5555 @ 神田川のほとり こんにちわ 私は子供の頃、神田川のほと…
Milky5555 @ 無の涙 「無の涙」それはきっと表現できない感情な…
Tomomi@ Re:友達っていいね(02/17) Milky5555さん >さり気なく傍に居てくれ…
Milky5555 @ 友達っていいね さり気なく傍に居てくれる事が 何よりも…

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