エトナの独り言

エトナの独り言

序2


『用がなきゃあたいは来ちゃダメだってゆーのかい?ええっ!!』とすごまれてしまうかもなぁ。
『そんなこともあったのかい。まったくどうしょもないねぇルミナときたら。』
とあたしをチラッと見ながらおばさんは小さくため息をつく。
この表情はあたしは何回見てるんだろ?
『それはそうとフレイ、あんたなんか用でもあってきたんじゃないか?あんたがここにくっるてことはまた厄介ごとでも引き受けてきて子分が足りなくなったんじゃないのかい?』
なんてタイミングの良さ。聞きたいことズバリだよ、おばさん。
でもその内容、ちょっと気になるわね。
『おばさんご明答~!!』
はしゃぎながらヘレンおばさんの問に答える。
あたしだったらきっと想像していた回答が返ってくるってぇのに何でおばさん相手だとそんなにうれしそうなのフレイさん…。
それはそうとご名答って今度はどこに行かされるのかしら…。
『ルミナ!喜びなっ!今回の相手はこいつぅっ!』
勢い良くフレイさんはあたしの顔の前に紙を突きつけようとする。
ゴッ!
案の定フレイさんなりの喜びのあまり!?拳があたしのおでこに命中。
『あ、悪い悪い。柄にもなくはしゃいじゃって~!』
悪いなんて思ってないだろうなぁ~。毎回だもん。
それで…今回の相手って…

古塔にすみつく古龍撃退…

なにそれっ!
そんなの無理に決まってるじゃない。
いくらフレイさんの依頼だってこんなの無理よ。
あの・・・なんだっけ、テ、……テオ……
そう!テオ=テスカトル!あたしはうわさくらいしか聞いたことないけど、なんでも燃石炭を食べて炎の息を吐き、爪は岩を削る
すさまじい炎をまとい、炎の龍の王……とかって。
あたしの狩るモンスターたちとは本当に格が違いすぎる。
あたしどうすればいいんだろう……。

こんな虫達や蜂蜜、変な石やきのこなんかじゃ役に立たない。
あたしは生き残れるんだろうか…。
落ち込んでいるあたしを横目にヘレンおばさんはいつになく真剣な顔でフレイさんに話す。
『フレイ!あんたそれ本気で言ってるの!こんなひよっ子にそんな無茶を言って死なすんじゃないのかい!あんたにはそれをさせないためにここに着たんだろ!この子にはそんな腕はないんだよ!あんたに…、あんたにこの子を守れんのかい!』
しばしの沈黙…。
フレイさんは思いつめたような表情に変わっていた。
でもしっかりと、けして大きくはないけど、はっきりした声でおばさんに話し始めた。
『あたいはもうだれも死なせないつもりだよ。もうたくさんだ。
それにね……ルミナの持ち物だって知ってる。あたいが取れって言ったものをあたいが連れて行った依頼ごとに必要なものは取らせてるからちゃんと使い道だってあるし、生き延びる方法だってあるんだ。この子は使い方を知らないだけなんだよ。これから旅に出る前にちゃんと教える。あたいがどうなろうとこの子だけは生きておばさんの前に連れてくる。ちゃんと約束するよ。』
『あんたもどうなってもよくはないんだよフレイ!それを忘れるんじゃない。こんな年寄りに心配ばかりかけさせるんじゃないよ。』
『はい・・・、わかってるよ・・・。あたいは大丈夫だって…、おばさん。』
こんなに思いつめたフレイさんを見るのは初めてかもしれない。
『それにね、ちゃんと助っ人も頼んである。分け前は減るけれど、あたいはどうしてもあの炎王龍に借りを返さなきゃならないから。』
助っ人!?そんな人いたの、フレイさん!?それに借りって…。なにかあったのかしら。
おばさんはふっと軽くため息をついた。
『しょうがないねぇ。あんたがそういうなら…ルミナ、手伝っておやりよ、この子の為に…。でも忘れるんじゃないよ、背伸びなんかしないでダメならダメですぐケツまくってにげるんだよっ!あんたはフレイ達みたいに自分で自分に身をちゃんと守れるわけじゃないんだから。』
『ありがと、おばさん。でも大丈夫、この子にはちゃんとやってもらわなきゃならないことはあるけど、死ぬような目にだけはあわせないから。』

スイマセン。いつもいろんな意味で合わされているんですけど…。

序3に続く


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