妖精のいたずら

妖精のいたずら

つれづれ草・・・第四章・・・



何なんだこの忙しさは・・。
あの仕事が決まってから急にあちこちから依頼が殺到してきた。
他の社員はもち論、社長まででてきて対応にてんわわんやの状態になっている。
うちはたかだかよくて市か県のそれも小さなイベントの仕事ばっかりだったのが今では大手企業の受注までこなさなくてはいけなくなった。
おかげで、俺は小夜子の会社の企画見積もりにさえ手も出せない状態だ。
「こんにちは。堂本企画の小野です」
「何だこの忙しいときにのこのこ出てくるやつは・・。」
「お手伝いに来ました」(さわやかに言いやがってこの状況わかってるか?)
文句の一つも言い出したとき電話が鳴った。  あいつはさっと取りやがった。おまけに「はい。 須藤サービスです」ぬけぬけと電話対応していやがる。
ほかの社員はと、みんな電話対応に追われている。  電話に出ないのは俺だけか・・。
恨めしげに俺を見ながら話をしているところを見るとまた新しい仕事の話か!
無視することに決めた俺の前にあいつが寄ってきて
「例の新製品に関する打ち合わせで来て欲しいとの電話でしたが、どうします?」
このやろう判ってて言いやがる。むかつきながら「わかった後2時間ほどでいけるから返事してくれ」
「はい、そう思って返事しておきました。」
「・・・・・・」唖然としてあいつの顔を見てしまった。
おれの考えがわかるのか? 今までわかったのは小枝子しかいなかったのに。
鼻歌交じりに椅子に腰掛け社長と話をしているがその社長さえニコニコしている。
煮詰めきれない提案書を持って席を立つとあいつも一緒に出かける支度をしている。   「?」  
「お供します」「・・・?」社長は物知り顔で(うん・うん)と頷くだけだ。
どうなってるんだ?  
「いいから連れて行きたまえ」社長が彼女の顔を見ながら俺に言った。
「でも」  「かまわん・大丈夫だから」  「・・・?」
(えーーーいどうとでもなれ)そう思いながら「いくぞ」  バッグを片手にドアへと向かう。  後ろからばたばた付いて来る気配を感じながら憮然としながら俺は車に乗り込んだ。
(こいつはいったい何者なんだ?)訝しげに見る俺を無視して勝手に書類をめくっている。
(今度もこいつに惑わされるのかな? もう、ごめんだな)
とまどいと・不安を載せて車が目的地・・・(小澤貿易)に着いてしまった。
建物はどうということもないごく当たり前だが内装はさすが世界に名だたるだけのことはある。世界中の逸品がさり気なく当たり前のように置いてある。
さらに、スタッフが洗練されたユニホームときびきびした動きが気持ちいい。
うちの会社のユニホームとは段違いで場違いを感じてしまう。(ま、作業服だもんな)受付で用件を告げしばらく待たされていると、なぜか、小夜子がなぜかうれしそうに近づいてきた。
「ご苦労様」  
「いえ、先日はありがとうございました」
「これから大変だけどあなたなら大丈夫よね?」
「はい、がんばります。  ところで何故秘書の君が?」
「今日はあなたに会いたくてむかえにきたのじゃないのよ。」
「へえ じゃなんで?」
「私はこの人を迎えに出てきたの」言いながら隣にいる彼女に挨拶しだした。
「ご無沙汰しております。お変わりありませんか?お嬢様」
「お久しぶりですね小夜子さん」
「?」  (お嬢さん?こいつが? 何だどういうことだ?)
俺の胸中を無視して親しげに話をする二人・・・。
  さっきの戸惑いと・不安が倍増して来て俺はただ立ちすくむだけだった。








© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: