妖精のいたずら

つれづれ草・・・第七章・・・

　　　　　　　　　　　　　「母娘」

「おかあさん、おはよう！」
びっくりして思わず飛び起きてしまった。　娘の麻紀が立っていた。
「どうしたのこんなに早く？」昨夜はまだ帰っていなかったので先に寝てしまった。　いつもなら起こしたってなかなかおきないくせに・・・。
（まさか朝帰り）「あなたもしかして？」
「ごめんなさい！」ちょんと首をすくめている。
「二十歳を過ぎたからといって、していいことではないでしょ！」
「ごめんと言ったんだからいいでしょ。　ね！」
「ごめんではすみませんよ！だいたいどうして・・・」
「まあ、朝から文句は言わないの！それより朝ごはん出来てるから食べよ！」
そういうとさっさと部屋を出て行ってしまう。
その素早さに呆れながら時計を見る。　まだ、５時ではないか。
（もう・・。まだ早すぎるじゃないの）ぶつぶつ言いながら布団をかぶろうとしたら麻紀の声が聞こえた。
「お母さん早くしなさい。冷めちゃうわよ！」
（まったく、これじゃいつもと反対じゃないの）ぐずぐずと布団を抜け出しながらキッチンに向かう。　　　驚いた！。
なんと麻紀一人ではなかった。
「おはようございま～す」　「ございますです」　「おじゃましてま～す」
麻紀の友達が・・・？　「あっ！おはよう」（どうなっているのこれって？）
「お母さん！」　「はい。？」　「上着・上着」「えっ？なに？」
思わず自分の姿を・・・。「きゃ！」　「ごめん！」あわてて部屋に戻る。
なんかドキドキしていっぺんに目が覚めてしまった。
上着を羽織って改めてキッチンに行くとなんとにぎやかな光景が・・・。
一人、麻紀だけが恥ずかしそうな顔で私をにらんでいるではないか。
「ごめん・ごめん」言いながら席に着くなり「もう！おかあさんたら・・・」
「ごめん、だって、一緒だなんて言わないからつい」
「気にしない・気にしない　さあ麻紀食べよ・たべよ」
みんな（食べることが大好き！）そんな顔で箸をせわしなくうごかしている。
私もつられながら食べ始めた。女ばかり５人・・・にぎやかな朝食になった。
一息ついてから私はおもむろに「どうしてここに？」
「はい、終わってからカラオケ行って騒いでたらこんな時間になっちゃたんです」「そう、『それでどうしようか？』ってことになったら」
「麻紀が『みんなで私の家に来ればいいよ』っていってくれたんです」
「だからこうしてみんなで『お邪魔してま～す』」「以上！」
「アーそうなんですか。　でも食事のしたくは？」
「それは麻紀で～す　上手なんですよ！」
「えっ！そうなんですか？」
そんなことを言われたのは初めてだったし、まさか、娘に出来るとは・・。
いつも家では何もしない子が・・・。
改めて後片付けするわが子をまじまじと見てしまった。
片付けを終えてコーヒーを運びながら麻紀が心配そうに聞きだした。
「ところでさぁ今日もあの須藤とか言う事務所に行くの？」
「えぇそうよなんで？」
「べつに・・・ただここの所ずっとだからどうしてかとおもって」
「うん。新しい企画を一緒に任されてね。だからそれで」
「ふ～んそうなんだ。」　
（この子はこの子なりに心配してくれているのか。　がんばらなくちゃ！）
「あのー？　そこってもしかしたら『片岡さん』て言う人いません？」
突然一人が聞いてきた。髪が長くチョットおっとりした子だ。
「えぇいるわよなんで？」
「やっぱりそうか！」
みんなの視線が集まっているのもきずかず一人で納得している。
「沙織！　何で知ってるの？」麻紀が代表するようにききだした。
「え！うん・・以前チョットね！」「何よ変よ！一人でにやけてるなんて」
「えっ？　違うわよそんなんじゃないもん！」
「言いなさいよ！　何で知ってるのその人？　　まさかあなた・・・？」
「違う違う！　チョットお世話になった人なの」
「何のお世話よ？内緒でなにしてたの？」
「こらこら・いいじゃないの！そんなに責めないの！」
さあて「私は仕事の出かけるけどあなたたちはどうするの？」
「今日はみんな午後からの授業だからここで少し寝てから学校に行くわ」
「そう、じゃあ後は頼むわね」彼女らと付き合うと遅刻してしまいそうだ。
あわてて着替えて出かけていく。
（それにしても、あの【片岡さんと知りあいだなんて】なんなのかしら？）
キッチンではまだみんなで騒いでいる。　何でも楽しい時期なんだろう！
彼女達以上にに興味を感じながら車を走らせていく。

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