妖精のいたずら

妖精のいたずら

つれづれ草・・・第十八章・・・。



 もうどうでもいいことなのにふと、「小夜子」のことが頭をよぎる。
 向うへ行ったきりどうしているんだろうかなんて余計なことを考える自分についつい嫌気が差してしまう。
 幸子とはあれっきり何事も無く普通に生活が続いている。
 俺はといえば相変わらず飲んだくれの生活・・・。
 初めのころは息子も幸子もいろいろ言っていたが最近は諦めたのか飲んで帰った俺を見てもなにも言わなくなっている。(むしろ無視されているといったほうが良いのかな・・・。)

 今夜もいつものようにご機嫌で家に帰ってみたら、いつもと違いやけに静か過ぎるのだ。
 そっとドアを開けてみても聞こえてくるのはテレビの音だけ・・・。
 違和感を感じながらリビングに入るといつものように息子と幸子そして幸子の娘がいる。
 いつもと同じ光景なのにみんな押し黙ったまま何も話そうとしない。
 「ただいま」・・・聞こえないかのように誰も見むきもしてくれない。
 「どうしたんだみんな?」少し大きな声で話しかけてみた。
 「ぁ~~オヤジ」それっきりまた何もしゃべろうとしなくなった。
 「なんだなんだ みんな揃ってお通夜じゃあるまいし」
 「いったいなにがあったんだ?」
 そう話しかけても答は来ない。幸子にしてもただ両手で顔を隠すだけ、息子は何かにこらえようと必死に唇を噛んだまま、そして俺の顔をみずにこういいやがった。
 「お袋が死んじまった!!」

 「



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