売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

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2025.07.29
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​ビジネススクールや社内MDスクールの教え子たちの悩みや質問に答えるためこのブログを始めたのはライブドア事件があった2006年、堀江貴文さんが自分の考えをブログ発信しているのに感化されました。個人的意見であっても立場上発信できない期間もあって何度か中断、最初の頃にアップしたものは全て削除しました。




次にFacebookを開始。ブログほど長文でなく、こちらは日々の出来事や気になったことをメモのようにアップし、10年以上続けております。同系列Instagramも何度かトライ。でもInstagramを開始するとFacebookに怪しい投資話や援助交際系の友達申請がたくさん来るので、こちらは参加と退会を繰り返しています。

そして、InstagramにリンクするThreads(スレッズ)を仲間がやっているので、最近これも始めてみました。正直言ってThreadsはちょっとヤバいかもしれません。タチの悪い業者が書いているとすぐわかる気持ち悪いお誘いメッセージは少なくありません。が、中には仕事上参考になる書き込みもあるので続けております。

Facebookは基本実名なので私としては一番安心かな、と。一方Threadsはほとんど匿名なんでしょう、会社の愚痴、仕事上の悩み、上司の悪口などがどんどん登場します。まだ始めたばかりなので本当のところは分かりませんが、病院や介護施設、ハードな仕事をなさっている職種の方々の愚痴が多いように感じます。その中でファッション販売スタッフの書き込みがいくつか気になります。

かつてアパレル企業経営者だった頃、販売スタッフの処遇改善はもっとできないかものかと相当力を入れました。その頃びっくりしたことがありました。アパレル経営者との会食時、店頭スタッフの閉店後の業務時間は案外長いという話になりました。百貨店やファッションビル閉店後プロパー商品とセール品との入れ替え作業や店頭ディスプレイの交換作業がかなり重荷、しかもその残業を本社はよく掌握していません。これを改善しないと販売スタッフはサービス残業を強いられることになるのでは、そんな話をしました。

ところが、びっくり仰天のコメントが先方からありました。なんとこの会社はタイムカードを従業員に与えず、本社管理部門が出勤時間と退社時間を手書きしているというのです。つまり残業時間をむやむやにして残業代を従業員にきちんと払っていない。こんなこと許されるわけありません。この会社の本社所在地はアパレル系企業が多い渋谷区ではなく、区の労働基準部署がアパレル系には緩いと聞いて二度びっくり。いくら役所の監督が緩くても従業員が働いた時間の給料を払う義務があるのに、です。

すでにインターネット時代、退職者や現役従業員からSNSで暴露されたら企業イメージやブランドイメージは一気に低下します。過去の経営者からずっと継続している仕組みなのでしょうが、経営者は絶対に悪き仕組みにメスを入れなければダメです。

当時ブランド知名度高く業績良好、しかし従業員にサービス残業を半ば強要していることで有名な某企業が渋谷区内にありました。朝から働き始めて所定の勤務時間をはるかに超えて深夜まで連日働く従業員たち、早く帰宅して良い空気は社内になかったし、夜11時過ぎまで「上がります」と言い出せなかったそうです。

もちろんこんなサービス残業を当たり前にやらせている「昭和な会社」、当局にタレ込まれるのは時間の問題、何度も厳重注意があったようです。そのためか渋谷区管内ではよく査察があり、さらに他の区にある百貨店ブランドショップも調査。百貨店売り場のガサ入れでは当該アパレル企業のみならず全てのブランドショップの本社にも調査が及びました。

Threadsでもアパレルメーカー販売スタッフの愚痴がよくアップされます。彼らのコメント読むと、人ごととは思えません。アパレル企業の経営者は自らThreadsに匿名で参加して彼らの愚痴、売り場での残酷物語を正しく認識すべきではないでしょうか。タイムカードを渡していない、残業代は申告させないなんてあってはならないと思います。

販売スタッフのことではもう一点。おそらくいまもそうでしょうが、アパレル企業が新卒採用するとき「総合職」と「販売職」を分け、初任給から前者は後者よりも高く設定され、数年経過するとその差はもっと広がります。たとえ同じ大学、同じ専門学校を卒業しても、総合職と販売職とでは支給される給料に差があるのが当たり前、こんな状況も長く続いています。

東京コレクションを運営するCFDの責任者だった頃から、私はこの給料の格差に違和感がありました。どうして総合職の方が販売職より高いのか、後者の貢献度は前者のそれよりも本当に低いんだろうか、CFD会報でも勉強会でもその疑問を投げかけたことがありました。

なぜならニューヨークで仕事してきた私は米国有力小売店の経営者から「うちの販売員の中にはバイヤーより高いサラリーを稼いでいる者がいる」と度々聞いていたから。基本給に販売実績がコミッションとして上乗せされる給与体系が昔から米国業界にはあります。販売成績の良い販売スタッフは会社の利益に大きく貢献しているので、経営者はスタッフを繋ぎ留めるため厚遇するのです。

にも関わらず日本のファッション業界では販売職は本社総合職よりも給与が低いのはおかしい、と主張してきました。自分が当事者になったら、自ら販売職にマーチャンダイジングの基礎や発注の仕方を教えてレベルアップを図り、給与格差の是正にも努めました。後輩経営者が現在販売職経験者の女性ふたり(ひとりはいまも店頭勤務)を執行役員に任命していると聞いてホッとしています。


 中国SPA企業GOELIA(ゴエリア)ライブ販売スタッフ訪日団

訪日研修で知り合った中国SPA企業GOELIAの創業経営者、以前ブログでも触れましたが本当に立派なのです。現在中国のファッション販売の中核とも言えるライブ販売スタッフの成績上位者約20名をご褒美として桜の季節日本に連れてくる、社員はやる気出ますよね。彼女たちがひとりで毎月どれくらい売上あるのか聞いてみたら、なんと日本円換算2千万円売るそうです。処遇がいいから頑張るスタッフ、やる気を引き出す経営、良い会社だと思いませんか。

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中国内のユニクロ店舗

ユニクロは新卒初任給の水準を大幅に上げて世間をびっくりさせました。業績がいいからできることでしょうが、それにしてもものすごい給与アップ、これでアパレル業界全体のレベルはかなり上がるでしょうし、社員は俄然やる気出ますよね。こういう企業が次々現れ、販売職を十分ケアする会社が増えることを期待したいです。

アパレル企業の経営幹部の皆さん、マーケティングのつもりでThreadsの書き込みをじっくり読んでみてはどうでしょう。





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Last updated  2025.07.29 14:02:52
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