夏風

2013/08/08
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カテゴリ: 震災・災害
■想像を絶する大増税

「大企業は本社機能や製造拠点を別の都市や海外に移すなど、事業継続のための方法を考えているでしょう。

 しかし関連する中小企業の事態はより深刻です。工場が無事であっても本社機能が失われると命令を出せなくなり、生産機能が麻痺したままになる。特殊な部品の供給などが滞れば、結果的に長期間、製造がストップする製品が出てくるかもしれない」(前出・一橋大学大学院佐藤教授)

 楽天証券経済研究所客員研究員で経済評論家の山崎元氏は、直感的にはGDPが20~30%低下した状態が1~2年は続くのではないかと話す。

「気になるのは復興の財源をどう確保するかです。東日本大震災では復興国債による借金と復興増税が実施されました。地震の被害が10倍以上になれば、それぞれの規模も10倍以上になっておかしくない」

 東日本大震災後、政府は復興増税として、

・所得税の2・1%上乗せ
・個人住民税の一律年1000円上乗せ
・法人税の10%上乗せなどを行い、計10・5兆円の財源を確保する予定。



 南海トラフ大地震がなくとも、日本ではすでに消費税など各種の増税や控除の廃止などが決められており、'12年8月に大和総研が発表した試算によると、40歳以上の片働き4人世帯・年収1000万円の家庭で'16年時点での負担増は年間61万6800円という。今後南海トラフ大地震が起きれば、合わせて年間80万円近い大増税社会がやってくることになる。ただし、前出の佐藤氏はこう話す。

「経済的なダメージが大きいなかで増税をすると経済に対する悪影響も大きくなる。また震災後はすぐに復旧・復興を始める必要があり、増税は時間がかかる。

 すると、現実的に取りうる主な手段は借金になります。国内は企業も個人も資金需要が逼迫していると思われるから、『外債』が中心となるでしょう。関東大震災の際も主な復興財源には外債が活用されました」

 その発行額はどれくらいになるのか。東日本大震災で政府は復興国債を'12年度末までに約14・3兆円発行したが、かりにこれを13倍すれば185・9兆円。GDPの約40%にも達する。

「問題になるのは金利です。関東大震災のときの外債は金利が日露戦争当時に日本が発行した外債の利回り5%強~6%を上回る8%となり『国辱公債』と批判されました。恐らく同様な事態になると思われます。

 震災時の経済環境にもよりますが、いまのスペイン、イタリア国債並みの5~6%になることは覚悟しなければいけない」(前出・一橋大学大学院佐藤教授)

■「日本に住む」ことがリスク

生き残っても安心できない
http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/c/d/323/img_cd7111e4806b079722bb5b6124e42978178030.jpg


 スペイン、イタリアといえば、財政悪化で破綻寸前と目される国だ。25歳以下の失業率も50%近い異常な状況が続いている。日本は一流国の座から完全に滑り落ち、三流国に転落すると言っても過言ではない。

 一方、震災で生産能力が低下し、国債増発で金利が上昇すれば、庶民の懐を直撃するのがインフレだ。



 これはとくに年金生活をしている人や預金を切り崩して暮らしている人に大きな影響を与えます。年金は物価スライドとなっていますが、震災後に予想されるような大幅なインフレには到底対応できない。日常生活にも困窮することになりかねません」(前出・一橋大学大学院佐藤教授)

 悲劇的な予測だが、これでもまだ穏やかなものだといえる。南海トラフの大地震がなくとも、日本の国債発行残高は'13年度末で855兆円と過去最高。GDPの2倍近い数字に膨れ上がっている。

 このうえ大規模な借金を重ねようとすれば、国債金利が急騰し財政破綻する可能性も否定できない。地方自治体も公共サービスを停止。町には回収されないゴミが溢れ、警察、消防、自衛隊も機能しない。復旧・復興の手も止まる。

 こうなればもはや、社会福祉などとは言っていられない。現在でさえ、財政運営の失敗のツケが社会福祉のカットにつながり、高齢者の医療費の窓口負担が増やされたり、年金の支給開始年齢が引き上げられたりしているが、最悪の場合、年金廃止や医療費の全額自己負担もありえるだろう。

「企業の海外移転も進み、空洞化が進行することもありえるでしょう。復興需要があっても、すべての業種に恩恵があるわけではない。もともと海外市場のほうが国内より発展の見込みもあり、この際、海外に出ようと考えるのは当然です。生産拠点の一部ではなく、本社機能ごと海外に移す企業も出てくるでしょう」(前出・経済評論家山崎氏)



 こうした事態に備えて、政府はどのような財源の手当てを考えているのか。

「実際に被害が起きていない段階で検討するのは、あくまで防災予算です。実際に被害が起きて、それを計測しないと復旧・復興予算というのは国会の審議をお願いできません。まして、見込みの金額で財源の手当てを検討することなどありえない」(財務省広報室)

 必ずやってくる大地震。私たちはいま、日本に住みつづけることの絶望的なリスクを突きつけられている。そのとき、「こんなことになるとは考えもしなかった」と茫然自失しないためには、いまから準備を始めるしかないのだ。


「週刊現代」2013年6月22日号より

阿修羅
http://www.asyura2.com/13/jisin19/msg/155.html





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Last updated  2013/08/09 12:27:10 AM
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