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魂の還る場所
…prologue…
…水の恵みに 魂(こころ) 傾けよ…
…流れゆく宿命(さだめ)は 止(とど)まるを知らぬ…
…汝ら民の定めるままに 望まぬ故(ゆえ)にして…
…安らぎを求める刻(とき) やがて訪れ…
…風の道標(しるべ)に 導かれん…
遠くで、歌声が聴こえる。
微かなそれは、低く、耳に心地好かった。
初めて聴く旋律。聞き覚えのない声。
柔らかな声は子守歌のようでもあり、違うようでもあり、不思議に胸に届く。
それに紛れ。
---…ッ…
どこかで、一滴の水の音。
辺りの景色が波紋に揺れる。
「…ラッ!リーウーラったら!
起きなさい!朝よ!」
「…んー…」
目覚めた時には、「夢を見た…らしい」ということを、覚えていただけ。
晴れ渡った空が世界中に続いている気がするほど、雲の見えない一面の青。
「おー、洗濯日和だね!」
木と木の間にぴんっと張られたロープが、シーツやシャツを受け止めていく。
姉のシエナが仕事に出掛けた後、リウラが持ち前の気紛れを発揮したのは、この快晴からのことだった。一通りの家事は出来るのに、ほとんどのことはシエナに任せっきりなのだ。
シエナは六歳離れた妹のことを、「溺愛」や「過保護」と言われるほど大切にしていた。両親を亡くし、病院を手伝うことで生計を立て、リウラを育てなければならなかったのだから普通は「姉妹で力を合わせていこうね」となるはずが、そうはならなかった。彼女は「リウラのことは、お父さんとお母さんの分まで大事にするわ!」と力一杯宣言し、その通りになってしまった。たまに手伝ったりすると、予想以上に感激され、感動され、感謝されてしまうので、リウラの家事における行動は、気紛れが管理するところとなってしまった。
その気紛れは、あまりに上機嫌な空のこの日、リウラに「洗濯指令」を出した。
「…ほんと良い天気だなー。
こんな日には散歩に行きたくなるよね?」
勿論リウラは一人である。話相手になる人間は何処にも居ない。
話しかけた相手は人間ではなく、側に舞い降りた小鳥だった。
小鳥は忙しなく動かしていた頭を一瞬だけ上向け小さく鳴いて、すぐに啄む作業へ戻っていった。草の種子のほうが大事だと言うように。
「…うーん…」
全て干し終わると、青空に目を細めながら決意を固める。
「やっぱり散歩だね、散歩」
大きな籠を抱え、家の中へと入っていく。
知らず知らず歌を口ずさむほど、その日は楽しい気持ちで一杯だった。
思いつくまま、風に乗るメロディ。
歌は、夢の中とよく似ていた。
「今日のお昼ごはんね」と残された手紙と一緒のパンは、『お昼ごはんの予定のお弁当』に名を変えた。
元気良く道を進んでいくと、顔見知りと出会った。
「あー、ルウさんルウさん、おいでー」
声を掛けるとすぐに近寄ってくる愛想の良さと人懐こさを備えた彼女は、友人宅の猫である。
にゃあおと一声上げ、真っ白な体に尻尾をぴんと立てて、優雅に歩いてきた。屈み込むと、足元にころん…と転がった。
「日向ぼっこ?今日は天気良いもんね」
ふと思い立ち、喉を鳴らす猫を撫でる手を止めて、自分の長い茶色の髪を、その前で揺らしてみた。
猫の前足が、じゃれつき捕まえようと機敏に動く。
くすくす…と笑って眺めた。
…その声に、違う声が重なったのは、それからすぐのことだった。
振り返ると、リウラの背を遥かに越えた大きな男が笑っていた。立ち上がっても、頭一つ分の差が裕にある。
初めて見る彼は、どう見ても「旅の者」という姿をしていた。
少し首を傾げるようにして見上げると、彼はリウラとの距離を腕一本分程にまで縮めた。
「友達?」
突然何のことかと思えば、彼の視線は足元に注がれている。
「うん」
大きく頷くと、彼は少し笑って「そうか」と言った。ぼそりと「似てるな…」と付け加えて。
それはリウラの耳にも届いていて、何が?と訊こうとしたが、彼が先に口を開いたことで声になることはなかった。
「君は、ここの人、だよね?」
改めてリウラを見た彼がそう尋ねた。
青さを含んだ彼女の瞳は、この土地に住む者たち---水の民特有のものだった。その色合いに多少の違いはあれど、水の民は皆、青みを帯びた色をしている。
彼の質問は、正確には確認なのだ。
リウラは彼を見つめていたが、もう一度こくりと頷いてみせる。
「金細工師の人を探してるんだけど、どこに居るのか教えてもらえるかな?」
「…金細工師?」
ここで金細工師をしているのは、たった一人。知らないも何もない。
皆が一つの家族のような環境の中でも特に、リウラにとって近しい者なのだから。
「あの…」
リウラは自分が来た道を振り向き、真っ直ぐに指し示した。
「この道を真っ直ぐ行くと町があるよ。そのまま進むと大きな井戸があってね、右に行って通りに入って、三軒目が金細工師さんのところ」
説明する指先を辿って、彼は「そう」とリウラを見た。
「どうもありがとう」
そう言って彼は身を屈め、彼女と視線の高さを合わせた。
くしゃ…と優しく頭を撫でると、彼は教えられた通りに歩いていった。
「…」
残されたリウラは、自分の頭に手を伸ばしてみる。
「…私…これでも十六なんだけど…な…」
どう考えても子供扱いされてしまった。
初対面の男の人に。
「…なんか、変なの」
呟いたのは、自分の中に過ぎったものに対する不思議。
「…」
懐かしさに似ていたのは、誰かと似ていたせいだろうか?
…だとしたら、一体誰に…?
相変わらずの快晴の下、リウラは散歩を再開した。
町から少し離れた山の、樹々茂る中を真っ直ぐに進んでいく。小鳥や小動物の声が時折聞こえ、木洩れ日が輝きを降り注ぎ、覗く青空に幸福を感じながら歩いて。
この日の散歩は、「目的のある散歩」なのだ。
この山の、この森の奥を抜けると、「目的」に辿り着く。
幾らか呼吸が乱れ始める頃に、視界に入るそれ。
「…やっと着いたぁ!」
呼吸の乱れは、疲れよりも嬉しさのせいだ。
「婆様!」
簡素な作りの小屋。扉を叩くと返事が聞こえる。
「リウラかい。よう来た、よう来た。お入り」
開けた扉の向こうで、老婆が揺り椅子に座り、口元に笑みを覗かせていた。
「お散歩をついでにね、婆様に会いに来た」
散歩のついで、ではなくて、婆様に会うついでの散歩。
リウラの言葉に婆は笑う。
この婆は、水の民を見守り祭事を司る巫女である。盲(めし)いた目の代わりに未来を引き寄せ、悩みを持つ者たちに忠言する。そのためか、婆は人々から離れた処に住み、人々もまた滅多に訪れようとはしない。ここに来るのは悩みや迷いを抱えた者たちだけなのだ。
ただ、リウラたち姉妹を除いては。
「お昼ごはん一緒に食べよう。婆様、食べちゃいけないものってないよね?」
リウラは窓を開けて、風を入れた。
近くを流れる小川のせせらぎと共に。
「あ。ここに来る途中、お客さんに会ったよ」
思い出したのは、あの長身の男のことである。
水の民は移動することはなく、居を定めるとそこから離れることは滅多にない。当然、村全体がまとまりを見せ、ほとんど家族の状態になるのは、点在する水の民の血を引く者たちに共通していることだった。そのためか訪れる旅人は「客」と呼ばれていた。
「お兄ちゃんを探してたみたいだけど」
リウラの言う「兄」とは実の兄ではなく、従兄のことである。昔から一緒に居て、遊んでもらって、面倒を見てもらっていたので、その呼び方が定着してしまったのだ。
「ほぅ…そうかい、そうかい…」
婆は楽しそうに目を細め、リウラの話を聞いている。
他の者たちとは違い自分に会いに来るだけの姉妹を、婆は実の孫のように可愛く思っていた。能力故の孤独さを薄れさせる一条の光を二人に見ていたのだ。
その膝元に座り込んだリウラの頭を、皺の刻まれた手が撫でる。
しかし、ふと、婆の瞳に僅かながら影が落ちた。
「…運命に触れたんだねぇ…」
婆の呟きは、当然リウラには何のことだか解らない。
「婆様?どうしたの?」
見上げてみても、婆は笑みを見せるのみ。
「水も本来、流れてゆくものだというのに…」
「…え?」
リウラの頭に浮かんだ疑問符は、数を増すばかりだった。
水は、流れるもの。
しかしいつしか、その流れは穏やかなものとなり。
変化を望まず、動くを好まず、安定を求めた。
再び「風」が吹く、その日まで。
---…一滴の滴が 汝を待つが故に
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