丑寅おじさんの開業奮闘記

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年俸制賃金の注意点



 労働基準法第24条第2項では「賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と定めています。いわゆる「毎月払い」「一定期日払い」の原則です。これは、賃金の支払いに当たっては毎月、一定の期日に支払うことを定めている規定ですので、賃金を年俸制にしても、それを12等分にして毎月支払う、または15等分などにして毎月の支払いに加えて夏冬の賞与として15分の3を振り分けても労働基準法上の問題はありません。
 しかし、この年俸の15分の3にあたる部分を賞与という名目で支給するとしていても、「賞与とは、定期または臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定していないものをいうこと。定期的に支給され、かつその支給額が確定しているものは、賞与とみなさいない」という行政通達があります。さらに「賞与として支払われる賃金は、労働基準法施行規則第21条第4号の『臨時に支払われた賃金』及び同条第5号の『1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金』のいずれにも該当しないものであるから、割増賃金の算定基礎から除外できない」という行政通達も平成12年に出されています。
 ここまで書くとお分かりになると思いますが、年俸制で15等分、16等分などにして毎月の給与と賞与を分割しても、その賞与は割増賃金の計算基礎に参入しなければならないということです。
 そもそも年俸制は、労働者個人の成果や業績に基づいて賃金を決定しようという考え方で、管理監督者などになじむ賃金決定方法です。一般社員のように労働時間による管理をし、時間外勤務には割増賃金の支払いが発生するような労働者に適用する場合には十分な注意が必要です。



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